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もののけとの出会い
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「伏見稲荷大社の敷地内での散歩に飽きた妾は禁を破っ――遠出をする事にしたのじゃ。そこでお主を見かけて気になったのじゃ!」
「うんうん。……。え? 終わり?」
「うむ!」
え? なんで? なんでそんなに満足げなの? 全て言い切ったみたいな顔してるけど、情報は1ミリも増えてないよ? そんな困惑している私に気付く事なく、葉子ちゃんが話してくる。
「妾も美裕に聞きたい事がある」
「ん? なにかな?」
真剣な目で私を見ている葉子ちゃんに思わずドキッとする。見た目は幼女で可愛いのに、目だけが爛々と輝いて大人びてるの。
ギャップに萌えるよね!
「……。また、妙な事を考えておらんか? ……。まあ、よい。妾が聞きたいのは美裕の霊能力の高さじゃ!」
「はい?」
思わず間抜けな声を出したけど勘弁して欲しい。いきなり霊能力が高いと言われても身に覚えも、心当たりも皆無だよ。
「昨日の夜、妾を弾き飛ばした結界。妾が放った拘束する力を霧散させた美裕の拒絶の力。それと神の眷属である妾を素手で拘束し続けた力。本当に何者じゃ?」
「『何者じゃ?』と言われましても……。可愛い物が大好きな普通のOLで、大人しい女の子だよ!」
みゃは! と、普段なら絶対にしない動作まで入れたのに葉子ちゃんの反応は悪かった。あれ? やっぱダメ? ごめん、そんな目で見ないで。やった私も「ないわー」と思ってるから。
でも、本当にこれ以上の情報はないよ?
「なるほどな。無自覚の高位霊力者か。厄介じゃの。それにしても妾の力を無力化するほどの逸材を、なぜ今世の陰陽師達は放置しておるのか?」
葉子ちゃんがブツブツとなにか独り言を言っているね。どうすっかなー。暇だなー。でも、尻尾を触ったら怒るんだろうなー。こっそりモフってみる?
「でもバレるだろうなー。どうすればバレないようにモフれるかなー? そうだ! まずは背後から抱きしめてお持ち帰りする案がいいと思います! おお! それは良い案ですね。その通りですね。それは素晴らしいアイディアですねー」
「じゃから! 心の声が漏れておると言うとる! その物騒な発想なんとかせんか!」
「いやだなー。そんな事ないよー。ごく一般的な考え方だよー。当たり前の話だよー」
「さも自分が普通みたいな言い方をするでないわ!」
あれ? いきなり距離を取られちゃった。コワクナイヨー。むしろ怖いのは物の怪の方だよー。あっ! でも葉子ちゃんは別格だよ。幼女で妖狐は正義だよ! ん? さっき、葉子ちゃんは『昨日の夜』と言った?
「葉子ちゃん。ちょっと確認だけど。昨日、2段ベッドの上から覗いていたのは葉子ちゃんなの? 物凄く怖かったんだよ?」
「昨日は妾の力を恐れておったのか。その割には今日はグイグイくるのう。なぜじゃ?」
こてん。と首を傾げながら問い掛けてくる葉子ちゃんが不思議そうにしてる。まさか、あの怖いと思った視線が葉子ちゃんだったとは……。
「なんたる不覚!」
「にゃー! な、なんじゃ突然叫びおってからに! 驚くではないか!」
「これを不覚と言わずになんというのよ! 怖がっていたのが馬鹿みたいじゃない。葉子ちゃんだと分かっていたら、捕獲して朝までモフって愛でて抱きしめたのに!」
私が後悔を含めて鼻をピスピスさせながら叫んでいると、なにか可哀想な者を見る目で葉子ちゃんが私を見ていた。
「本当に残念なやつじゃの。美裕は」
なんでため息を吐くかな? この私の熱い思いを! 心の底からの後悔を感じ取って欲しいのだよ!
「うんうん。……。え? 終わり?」
「うむ!」
え? なんで? なんでそんなに満足げなの? 全て言い切ったみたいな顔してるけど、情報は1ミリも増えてないよ? そんな困惑している私に気付く事なく、葉子ちゃんが話してくる。
「妾も美裕に聞きたい事がある」
「ん? なにかな?」
真剣な目で私を見ている葉子ちゃんに思わずドキッとする。見た目は幼女で可愛いのに、目だけが爛々と輝いて大人びてるの。
ギャップに萌えるよね!
「……。また、妙な事を考えておらんか? ……。まあ、よい。妾が聞きたいのは美裕の霊能力の高さじゃ!」
「はい?」
思わず間抜けな声を出したけど勘弁して欲しい。いきなり霊能力が高いと言われても身に覚えも、心当たりも皆無だよ。
「昨日の夜、妾を弾き飛ばした結界。妾が放った拘束する力を霧散させた美裕の拒絶の力。それと神の眷属である妾を素手で拘束し続けた力。本当に何者じゃ?」
「『何者じゃ?』と言われましても……。可愛い物が大好きな普通のOLで、大人しい女の子だよ!」
みゃは! と、普段なら絶対にしない動作まで入れたのに葉子ちゃんの反応は悪かった。あれ? やっぱダメ? ごめん、そんな目で見ないで。やった私も「ないわー」と思ってるから。
でも、本当にこれ以上の情報はないよ?
「なるほどな。無自覚の高位霊力者か。厄介じゃの。それにしても妾の力を無力化するほどの逸材を、なぜ今世の陰陽師達は放置しておるのか?」
葉子ちゃんがブツブツとなにか独り言を言っているね。どうすっかなー。暇だなー。でも、尻尾を触ったら怒るんだろうなー。こっそりモフってみる?
「でもバレるだろうなー。どうすればバレないようにモフれるかなー? そうだ! まずは背後から抱きしめてお持ち帰りする案がいいと思います! おお! それは良い案ですね。その通りですね。それは素晴らしいアイディアですねー」
「じゃから! 心の声が漏れておると言うとる! その物騒な発想なんとかせんか!」
「いやだなー。そんな事ないよー。ごく一般的な考え方だよー。当たり前の話だよー」
「さも自分が普通みたいな言い方をするでないわ!」
あれ? いきなり距離を取られちゃった。コワクナイヨー。むしろ怖いのは物の怪の方だよー。あっ! でも葉子ちゃんは別格だよ。幼女で妖狐は正義だよ! ん? さっき、葉子ちゃんは『昨日の夜』と言った?
「葉子ちゃん。ちょっと確認だけど。昨日、2段ベッドの上から覗いていたのは葉子ちゃんなの? 物凄く怖かったんだよ?」
「昨日は妾の力を恐れておったのか。その割には今日はグイグイくるのう。なぜじゃ?」
こてん。と首を傾げながら問い掛けてくる葉子ちゃんが不思議そうにしてる。まさか、あの怖いと思った視線が葉子ちゃんだったとは……。
「なんたる不覚!」
「にゃー! な、なんじゃ突然叫びおってからに! 驚くではないか!」
「これを不覚と言わずになんというのよ! 怖がっていたのが馬鹿みたいじゃない。葉子ちゃんだと分かっていたら、捕獲して朝までモフって愛でて抱きしめたのに!」
私が後悔を含めて鼻をピスピスさせながら叫んでいると、なにか可哀想な者を見る目で葉子ちゃんが私を見ていた。
「本当に残念なやつじゃの。美裕は」
なんでため息を吐くかな? この私の熱い思いを! 心の底からの後悔を感じ取って欲しいのだよ!
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