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たぶん「好き」だと気付いてる

8.「お土産」

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 翌朝、寝てる各務くんをそのままに部屋についている露天風呂で身体を伸ばす。
 朝日は既に昇っていたけど、一緒にお風呂から朝日を見たりしたら贅沢だろうな、なんて思った。

 朝食後に各務くんがバイト先にお土産を買うと言うので、俺も職場に何か買おうかなと一緒に売店をぶらつく。
 だけどここで俺がお土産買っていったら槇さんの尋問がはじまる気しかしない。

「ねぇ各務くん、各務くんにお土産買いたいけど何がいい?」
「は?」
「お土産」
「それはわかった。なんで一緒に来てるのに土産買うんだよ?」
「買いたいからかな」

 お土産が買いたいけど買う相手がいない。
 素直に説明すれば、各務くんの顔が何とも微妙な表情になった。

「あんた、本当に友達いないんだな」
「失礼だな。いないんじゃなくて気軽に会える友達が減ったんだよ」

 各務くんも周りが家庭を持ち始める歳になれば実感するよ、絶対に。

「それなら昨日飲んでた酒がいい。あれ美味うまかったし」
「お、いいね。そうしよう」

 あとお酒にあいそうなチーズと海鮮がコラボしたおつまみとかを適当に選ぶ。
 自宅に送る程でもないけどどうするかな、と思ったら「配送代で、も一本買える」と各務くんが瓶を追加した。
 一緒に持ってくれると言うので、言葉に甘えることにする。

「あんたの家に置いといてよ。今度飲みに行く」
「うん、いいよ。あ、でも一本は持って帰りなよ、友達が来た時飲んだらいいし」
「日本酒は飲む奴いねぇ……ってか酒飲む奴もほとんどいねぇ」
「そうなの? ああ、今の子は煙草も吸わないよね」

 俺の時はそれなりに大学内に喫煙所とかあったけど、今はほとんどないみたいだし。

「あんた吸うの?」

 各務くんのこの言葉に、周りに喫煙者が居ないんだなと実感する。

「吸わないよ。吸ってたら一緒に居る間に何度も吸いに行ってるから判るよ」
「そういうもん?」
「人にもよるけどね。今はあまり聞かないけど、トイレ休憩と同じくらい、たばこ休憩も認められていたんだよ」
「へぇ」

 こういうところにちょっと歳の差を感じてしまい、苦笑してしまった。

 昨日の時点でどこかに行く予定はなくなっていたので、せっかくだからと各務くんに朝風呂を勧める。レイトチェックアウトを選んでいたので昼頃まで旅館でのんびりしてから帰宅する事にした。
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