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8、据え膳食わぬはと言うけども
しおりを挟む私はショウマとの一夜の思い出が欲しかった。ショウマと交わりたいと願った。
だけどそれと同時にショウマにも気持ちよくなって欲しいのだ。
私の褒美と言ったがそんなつもりは毛頭ない。救世主となってこの世界に来てから、ショウマは交わりを持っていないはずだ。少なくとも旅に出て、私たちと毎日いるようになってからはないだろう。
私は救世主と旅に出る時にそういった事の相手も出来るように学んでいた。たぶんそれはダンもエミリーも同じだ。あの二人にそういった行為を、いや私にも、ショウマが求めることはなかったし、年頃の異性を求めることもなかった。
ショウマはずっと「あいつ」を想っているのだ。
だから今も、本当に、私が言った褒美が欲しいと言う世迷言を叶えるために気持ちよくしてくれただけなのだろう。
「ショウマ……」
負けることはないとショウマの作戦を信じてはいたが、妖魔の核との決戦を前に私は気持ちが昂ぶっていた。
「ん?……ちょっ、なにしてっ…」
「ショウマ…様にも気持ちよくなって、欲しい」
私はベッドに背をつけると自分の足を肩に着くようにもたげて、ショウマに見えるように先ほどまで弄られていた尻穴を指で広げる。
ショウマがごくりと唾を飲みこんだ。
良かった、興味がないわけではないようだ。
「あいつ」でなくても私でもいいのだと、どろりとした欲望とも言える気持ちが湧き上がる。
「ここに入れて、揺すれば、気持ちいいはずだ」
浅ましくみっともない姿かもしれない。だけど、私の出来る精一杯だ。羞恥で身体が熱い。だがそれだけでなく恍惚とした気持ちが溢れる。
「メイラはもう本当に、そういうとこ潔いっていうか、すごいけど! そんな簡単に大事なトコロを見せちゃいけません!!!」
ショウマは慌てたように私の手首を両方掴んで、穴から指を引きはがした。
軽蔑されるのかと思えば、目の前のショウマのギラギラとした瞳と目が合う。戦闘中よりもずっと雄々しくて思わずごくりと唾を飲んだ。
「脚、閉じておさえてて、うんそう、そんな感じ」
私の両手を膝に乗せれば、自分の膝を両方からおさえて太腿を揃えるように指示された。
言われた通りにすれば、熱い猛りが私の太腿から生えてきて、私のモノと並ぶ。ショウマが自身の陰茎を私の太腿の間に差し入れたのだ。
「あ、穴にいれるんじゃない、のか?」
「ん、そっちはさ、妖魔の核倒してからのお楽しみにさせてよ」
ショウマの陰茎が私の陰茎に触れる。
熱いし……硬い。ショウマも感じているのだと思うと私の下腹にも熱が集まっていく。
ショウマが覆いかぶさって来れば私の額にキスをして、そのまま腰を激しく振り始める。私のモノも擦れ刺激され、ベッドがショウマの動きに合わせて軋む。その感覚が、熱が、私の頭を錯覚させた。
何も遮るもののない口からは、揺すられるたびに甘えるような高い声が漏れ、それを聞いたショウマが嬉しそうに笑う。
「……あ、んぁ…んっ、あっ、やぁっ…」
「ね、ちゃんと役目を果したら……メイラを全部、頂戴。今度は、俺にご褒美! ね?」
次第に激しくなる動きに大きくなるショウマの陰茎が震えれば、私の腹に白濁をまき散らした。その量は多く、ショウマの快感に震える顔を見れば私の陰茎からも白濁が飛び出た。私とショウマの命が腹の上で混ざり合う。
思わずぐったりと力が抜ければ、ショウマに抱きしめられた。
「ふふっ、普段ストイックなメイラがえっちなのめちゃくちゃ滾る……ご褒美期待していい?」
「……」
達したからか冷静になってきた私は、じっと見つめらるのが耐え難くなって俯く。俯いて小さく頷いた私の動きをショウマは見逃さなかった。
「ありがとうメイラ。俺、頑張るよ」
「……ああ」
「平和になったら一緒に田舎で農業とかしてのんびり過ごそうね」
「それは……考えておく」
「メイラが冷たいっ!」
楽しそうなショウマの声に視線をあげれば、そこには子どものように、太陽のように明るい笑顔があった。
決戦が終わるまでの少しの時間でいい。
「あいつ」の変わりでも、ショウマの心に私がいられることが嬉しかった。
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