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本編(シャルロ視点)
暁の騎士 エドウィン・ハーシャル
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「シャルロ話がある。少しいいか?」
「? もちろんいいけど」
シャルロが寮に帰り、夕食を終え一人部屋に戻ると、扉の前にエドウィンが待っていた。
エドウィン・ハーシャル。明るい赤髪にルビーのような赤い瞳のがっしりとしたマッチョだ。騎士の家系で、明るく爽やかな性格は頼れる兄貴みたいな存在である。
【花の騎士】の一人で、攻略対象。goodエンドは共に騎士となり切磋琢磨し、trueエンドは田舎で結婚して剣道場を開き幸せになり、badエンドだと邪神討伐で両目と右手左足を失ったエドウィンの性処理の穴としてレオは一生を過ごす。
エドウィンはいい奴だがbad展開は二人にとって不幸でしかない。
「あ、ここで立ち話もなんだよな。中に入ってくれ」
「ああ、お邪魔する」
シャルロの部屋は他より一部屋多く、寝室が別れているため友人たちの溜まり場にされている。
そのため座る場所もおおよそ決まっていた。シャルロとエドウィンはソファーに向かい合わせで座る。レオは必ずシャルロの隣を陣取った。
(そういえばレオ以外と部屋で二人になるの初めてかも……と、いかんいかん。未練を断ち切ると決めたばっかりなのに)
いつもなら自分の隣にいるレオがいなくて、なんだか居心地が悪い。
「シャルロ? 大丈夫か?」
「あ、ごめん。平気」
「ならいいが、顔色が……て、おい、大人しくしてろ」
思わずため息をついたシャルロにエドウィンが心配げに声をかけたが、その会話を断ち切るように、エドウィンの横に置かれた篭ががたがたと揺れた。
ピクニックに行くときにお弁当を入れてそうな篭だ。正直エドウィンが持っているには不似合いだが、【花の騎士】はモテるので卒業を間近に後輩からプレゼントを貰うことも多く、てっきり手作りのお菓子でも貰ったのかと思っていたが。
「わぁっ! 可愛い猫だな、どうしたんだその子?」
暴れた篭の蓋を押し上げて、ひょこっと顔を出したのは美人な黒猫だった。
じっと見つめてくる黒猫の紫の瞳をシャルロも見つめ返して微笑む。にゃんこ可愛い。可愛いは正義だ。落ち込んでいた気持ちが少し癒された。
「えっと……エミリアから預かった」
「エミリアから? 怪我でもしてて保護したとか?」
「いや、そういう訳じゃないが、ちょっと理由ありで」
二人が話している間に黒猫は篭から這い出ると素早く動き、シャルロの隣に我が物顔で寝転んだ。
にゃんっと一声鳴いてゴロゴロ喉を鳴らす様子は愛嬌たっぷりである。
「へぇ、なんか人懐っこいなぁ可愛い」
「人懐っこ……気に入ったならとりあえず良かった。悪いがそいつ、預かってもらえないか?」
黒猫の体を撫でようとしたら身を固くされたので、頬を指で撫でる。その手がエドウィンの言葉で止まる。
「??? エミリアから頼まれたのはエドウィンだろ? 話ってそれか?」
「いやそれはついでだ。話というかメインは報告だな。エミリアに【開花の儀式】を申し込んだ」
「おおおお! で、どうだった????」
「先ほど、……受けると返事を貰った」
「おおおおおお、おめでとう!!」
(エミリアが言ってた意中の相手ってエドウィンだったのか!)
髪や瞳だけでなく顔まで赤く染め、照れつつも真顔で話すエドウィンの両手をシャルロは身を乗り出して握る。
「良かったな! みんな集めてお祝いしなくちゃ!!」
「やめてくれ、恥ずかしい」
手を握ったまま上下に大きく振るシャルロにエドウィンは真っ赤になりつつ苦笑する。黒猫もお祝いに参加したかったのか、エドウィンの肩に飛び乗った。
「ほほーう、もしかして早速今夜儀式をするから、この猫を預かってくれっていうんだな。なるほどなぁ」
「それは違……おい、気色悪い顔で笑うな」
ヌフフフと笑うシャルロを真っ赤な顔のままジトリとエドウィンが睨む。睨まれてもこれっぽっちも怖くない。
「ぶっちゃけそりゃやりたいが……実際早い方がいいのか……どうなんだ? シャルロは邪神がいつ現れるか視えてるんだろ? そろそろなのか?」
「え、なんで……誰にも言ってないのに」
驚くシャルロの顔にエドウィンは自分の考えを確信すると言葉を続けた。
「最近魔物の数が増えているし、強くなってきただろう? それにレオに言われて気付いたが、シャルロは卒業後の話を極端にしない。今までは俺達が危険を回避できるよう、未来視を伝えてくれていたのにだ」
「ぐっ……」
「だから卒業後、わりとすぐに邪神が現れるんじゃないかと俺とレオ、エミリアは予想している」
(レオは流石だけど、エミリアとエドウィンもなかなか鋭いな)
卒業後の未来視が出来ないのは、レオに選ばれなかったキャラのその後がゲームで描かれていなかったからだ。なのでシャルロの未来視の力はもうすぐ使えなくなる。
シャルロがどう答えるべきか言い淀んでいると、黒猫がエドウィンの頬をグイグイと頭で押していた。
「? もちろんいいけど」
シャルロが寮に帰り、夕食を終え一人部屋に戻ると、扉の前にエドウィンが待っていた。
エドウィン・ハーシャル。明るい赤髪にルビーのような赤い瞳のがっしりとしたマッチョだ。騎士の家系で、明るく爽やかな性格は頼れる兄貴みたいな存在である。
【花の騎士】の一人で、攻略対象。goodエンドは共に騎士となり切磋琢磨し、trueエンドは田舎で結婚して剣道場を開き幸せになり、badエンドだと邪神討伐で両目と右手左足を失ったエドウィンの性処理の穴としてレオは一生を過ごす。
エドウィンはいい奴だがbad展開は二人にとって不幸でしかない。
「あ、ここで立ち話もなんだよな。中に入ってくれ」
「ああ、お邪魔する」
シャルロの部屋は他より一部屋多く、寝室が別れているため友人たちの溜まり場にされている。
そのため座る場所もおおよそ決まっていた。シャルロとエドウィンはソファーに向かい合わせで座る。レオは必ずシャルロの隣を陣取った。
(そういえばレオ以外と部屋で二人になるの初めてかも……と、いかんいかん。未練を断ち切ると決めたばっかりなのに)
いつもなら自分の隣にいるレオがいなくて、なんだか居心地が悪い。
「シャルロ? 大丈夫か?」
「あ、ごめん。平気」
「ならいいが、顔色が……て、おい、大人しくしてろ」
思わずため息をついたシャルロにエドウィンが心配げに声をかけたが、その会話を断ち切るように、エドウィンの横に置かれた篭ががたがたと揺れた。
ピクニックに行くときにお弁当を入れてそうな篭だ。正直エドウィンが持っているには不似合いだが、【花の騎士】はモテるので卒業を間近に後輩からプレゼントを貰うことも多く、てっきり手作りのお菓子でも貰ったのかと思っていたが。
「わぁっ! 可愛い猫だな、どうしたんだその子?」
暴れた篭の蓋を押し上げて、ひょこっと顔を出したのは美人な黒猫だった。
じっと見つめてくる黒猫の紫の瞳をシャルロも見つめ返して微笑む。にゃんこ可愛い。可愛いは正義だ。落ち込んでいた気持ちが少し癒された。
「えっと……エミリアから預かった」
「エミリアから? 怪我でもしてて保護したとか?」
「いや、そういう訳じゃないが、ちょっと理由ありで」
二人が話している間に黒猫は篭から這い出ると素早く動き、シャルロの隣に我が物顔で寝転んだ。
にゃんっと一声鳴いてゴロゴロ喉を鳴らす様子は愛嬌たっぷりである。
「へぇ、なんか人懐っこいなぁ可愛い」
「人懐っこ……気に入ったならとりあえず良かった。悪いがそいつ、預かってもらえないか?」
黒猫の体を撫でようとしたら身を固くされたので、頬を指で撫でる。その手がエドウィンの言葉で止まる。
「??? エミリアから頼まれたのはエドウィンだろ? 話ってそれか?」
「いやそれはついでだ。話というかメインは報告だな。エミリアに【開花の儀式】を申し込んだ」
「おおおお! で、どうだった????」
「先ほど、……受けると返事を貰った」
「おおおおおお、おめでとう!!」
(エミリアが言ってた意中の相手ってエドウィンだったのか!)
髪や瞳だけでなく顔まで赤く染め、照れつつも真顔で話すエドウィンの両手をシャルロは身を乗り出して握る。
「良かったな! みんな集めてお祝いしなくちゃ!!」
「やめてくれ、恥ずかしい」
手を握ったまま上下に大きく振るシャルロにエドウィンは真っ赤になりつつ苦笑する。黒猫もお祝いに参加したかったのか、エドウィンの肩に飛び乗った。
「ほほーう、もしかして早速今夜儀式をするから、この猫を預かってくれっていうんだな。なるほどなぁ」
「それは違……おい、気色悪い顔で笑うな」
ヌフフフと笑うシャルロを真っ赤な顔のままジトリとエドウィンが睨む。睨まれてもこれっぽっちも怖くない。
「ぶっちゃけそりゃやりたいが……実際早い方がいいのか……どうなんだ? シャルロは邪神がいつ現れるか視えてるんだろ? そろそろなのか?」
「え、なんで……誰にも言ってないのに」
驚くシャルロの顔にエドウィンは自分の考えを確信すると言葉を続けた。
「最近魔物の数が増えているし、強くなってきただろう? それにレオに言われて気付いたが、シャルロは卒業後の話を極端にしない。今までは俺達が危険を回避できるよう、未来視を伝えてくれていたのにだ」
「ぐっ……」
「だから卒業後、わりとすぐに邪神が現れるんじゃないかと俺とレオ、エミリアは予想している」
(レオは流石だけど、エミリアとエドウィンもなかなか鋭いな)
卒業後の未来視が出来ないのは、レオに選ばれなかったキャラのその後がゲームで描かれていなかったからだ。なのでシャルロの未来視の力はもうすぐ使えなくなる。
シャルロがどう答えるべきか言い淀んでいると、黒猫がエドウィンの頬をグイグイと頭で押していた。
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