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第66話【行商準備の最終チェック】
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無事に儀式を完了させた僕達は、いよいよ行商に出る最終準備に入った。
商人ギルドから馬車を受け取り運ぶ荷物を確認し、追加の品物を吟味して収納鞄に詰め込んだ。
結局、酒の瓶問題は解決策が思い付かず街を出てから収納鞄に入れて運ぶことにした。
水物が少なくなるので荷車が軽くなり馬の負担も減るだろう。
「一応これで全部ですか?」
シミリが荷車の内容確認していき、僕が足りない物を補充していくようにしていた。
「殆んどの荷物は収納鞄に入れたから荷車にはダミーの酒瓶と干物、塩などと馬の餌から僕達の食料がそれっぽく積んであるだけだよ」
「結局、運ぶ品物は殆んど酒と塩物になるんですね」
「まあ、今回は様子見だからね。
初めて行く街にピンポイントで爆売れする商品を運ぶのはなかなか難しいからね。
今回リサーチをしておいて次回があれば対応して行けばいいんじゃないかな」
「そうですね。
ギルドの依頼と薬の在庫を持って行けば今回の行商は成功したようなものですもんね」
「まあ、そうだね」
シミリの言葉に頷いた僕だったが重要な事を忘れていた。
「ああ、そういえば冒険者ギルドに依頼が出ているか見るのを忘れていたね。
今から見に行っておこう」
「私も一緒に行ってもいいですか?」
「もちろん、一緒に行こうか」
僕はそう言うとシミリの手を取ってギルドに向かった。
ーーーからんからん。
お馴染みの冒険者ギルドのドアベルだ。
いつもどおりに冒険者達が反射的にこちらを見てすぐに自分の用事に戻っていった。
「さて、依頼が出ているかな?」
僕達は依頼が貼ってある掲示板の前に行き、リボルテの街に関する依頼が無いか確認した。
「なるほど確かに依頼が出ていますね。
それも複数の依頼内容になっています。
これは受付に詳細説明をしてもらった方が良いかと思いますよ」
僕は頷くと3枚の依頼書を外して空いている受付に持って行った。
「この依頼書の詳細説明をお願いしたいんだがここでいいのか?」
「依頼書の詳細説明ですね。
はい、こちらで大丈夫ですよ。
では依頼書をお見せくださいってオルトさんお久しぶりです。
ああ、リボルテの調薬依頼ですね。
これを受けて貰えるのですか?」
受付の女性は僕を知っているようだが僕は彼女の記憶が無いか曖昧になっていた。
「オルト君、スーラさんですよ。
前にお世話になったじゃないですか」
僕はシミリの言葉に記憶を探ってようやく思い出す。
「ああ、スーラさんでしたね。
ええ、明日からリボルテの街に行商で行く予定になってますので何か運搬の依頼でもないかなと思い確認に来たんですよ。
それでリボルデの依頼にそれがあったので詳細説明をお願いします」
「いえ、いいのですよ。
オルトさんはあまり冒険者ギルドには顔を出さないですから仕方ないですよ。
ええと依頼の詳細ですがひとつずつ説明しますね」
スーラはそう言うと依頼書を一枚ずつ僕達の前に置いて説明をしてくれた。
「まず、これが“怪我の治療に使う傷薬の調薬依頼”です。数は100名分。
報酬は基本が銀貨100枚ですが薬の効果により増減ありとなります」
(100本の傷薬か。
素材が足りれば特に問題ないかな)
「次に“リボルテへの護衛任務”です。
カイザックからリボルテに仕事の為に引っ越す家族の護衛を募集しています。
馬車等の準備は依頼主が全てするそうです。
報酬は片道分しか出ませんので銀貨30枚になります。
3人パーティで1人10枚になりますね。
帰りは向こうでまた護衛依頼を受けて帰るのが普通ですね」
(うーん。護衛任務は今回の僕達には向かない内容だな)
「えーと、最後はリボルテ冒険者ギルドのギルドマスターへの手紙運搬ですね。
大抵はギルド便が定期的に持って行くのですが今回は手違いで行き違いになって未発送になっているのです。
だからリボルテの向かう冒険者にお願いしているところなんです。
報酬は少ないですが銀貨1枚になります」
(手紙か……。
どうせリボルテの冒険者ギルドには顔を出すのだから受けてもいいかな)
「以上になります。どれか受けられますか?」
「傷薬の調薬と手紙の配達を受けたいと思います」
僕がスーラに言うと彼女は頷いて書類の手続きを始めてくれた。
「ありがとうございます。
リボルテでは鉱山で怪我をした人の治療薬が間に合ってないそうですので今回の依頼以外にも向こうで新たに頼まれるかもしれません。
それを受けるかはご自分で判断されてください。
あと、当然ですが手紙は開封せずに先方に渡してくださいね。
これは信用問題なのでお願いします。
報酬はリボルテのギルドで依頼達成時に半額、戻られてからカイザックのギルドで報告後に残りの半額をお支払致します」
「分かりました。
では契約書をお願いします」
僕達はスーラから契約書と手紙を預かると冒険者ギルドを後にした。
商人ギルドから馬車を受け取り運ぶ荷物を確認し、追加の品物を吟味して収納鞄に詰め込んだ。
結局、酒の瓶問題は解決策が思い付かず街を出てから収納鞄に入れて運ぶことにした。
水物が少なくなるので荷車が軽くなり馬の負担も減るだろう。
「一応これで全部ですか?」
シミリが荷車の内容確認していき、僕が足りない物を補充していくようにしていた。
「殆んどの荷物は収納鞄に入れたから荷車にはダミーの酒瓶と干物、塩などと馬の餌から僕達の食料がそれっぽく積んであるだけだよ」
「結局、運ぶ品物は殆んど酒と塩物になるんですね」
「まあ、今回は様子見だからね。
初めて行く街にピンポイントで爆売れする商品を運ぶのはなかなか難しいからね。
今回リサーチをしておいて次回があれば対応して行けばいいんじゃないかな」
「そうですね。
ギルドの依頼と薬の在庫を持って行けば今回の行商は成功したようなものですもんね」
「まあ、そうだね」
シミリの言葉に頷いた僕だったが重要な事を忘れていた。
「ああ、そういえば冒険者ギルドに依頼が出ているか見るのを忘れていたね。
今から見に行っておこう」
「私も一緒に行ってもいいですか?」
「もちろん、一緒に行こうか」
僕はそう言うとシミリの手を取ってギルドに向かった。
ーーーからんからん。
お馴染みの冒険者ギルドのドアベルだ。
いつもどおりに冒険者達が反射的にこちらを見てすぐに自分の用事に戻っていった。
「さて、依頼が出ているかな?」
僕達は依頼が貼ってある掲示板の前に行き、リボルテの街に関する依頼が無いか確認した。
「なるほど確かに依頼が出ていますね。
それも複数の依頼内容になっています。
これは受付に詳細説明をしてもらった方が良いかと思いますよ」
僕は頷くと3枚の依頼書を外して空いている受付に持って行った。
「この依頼書の詳細説明をお願いしたいんだがここでいいのか?」
「依頼書の詳細説明ですね。
はい、こちらで大丈夫ですよ。
では依頼書をお見せくださいってオルトさんお久しぶりです。
ああ、リボルテの調薬依頼ですね。
これを受けて貰えるのですか?」
受付の女性は僕を知っているようだが僕は彼女の記憶が無いか曖昧になっていた。
「オルト君、スーラさんですよ。
前にお世話になったじゃないですか」
僕はシミリの言葉に記憶を探ってようやく思い出す。
「ああ、スーラさんでしたね。
ええ、明日からリボルテの街に行商で行く予定になってますので何か運搬の依頼でもないかなと思い確認に来たんですよ。
それでリボルデの依頼にそれがあったので詳細説明をお願いします」
「いえ、いいのですよ。
オルトさんはあまり冒険者ギルドには顔を出さないですから仕方ないですよ。
ええと依頼の詳細ですがひとつずつ説明しますね」
スーラはそう言うと依頼書を一枚ずつ僕達の前に置いて説明をしてくれた。
「まず、これが“怪我の治療に使う傷薬の調薬依頼”です。数は100名分。
報酬は基本が銀貨100枚ですが薬の効果により増減ありとなります」
(100本の傷薬か。
素材が足りれば特に問題ないかな)
「次に“リボルテへの護衛任務”です。
カイザックからリボルテに仕事の為に引っ越す家族の護衛を募集しています。
馬車等の準備は依頼主が全てするそうです。
報酬は片道分しか出ませんので銀貨30枚になります。
3人パーティで1人10枚になりますね。
帰りは向こうでまた護衛依頼を受けて帰るのが普通ですね」
(うーん。護衛任務は今回の僕達には向かない内容だな)
「えーと、最後はリボルテ冒険者ギルドのギルドマスターへの手紙運搬ですね。
大抵はギルド便が定期的に持って行くのですが今回は手違いで行き違いになって未発送になっているのです。
だからリボルテの向かう冒険者にお願いしているところなんです。
報酬は少ないですが銀貨1枚になります」
(手紙か……。
どうせリボルテの冒険者ギルドには顔を出すのだから受けてもいいかな)
「以上になります。どれか受けられますか?」
「傷薬の調薬と手紙の配達を受けたいと思います」
僕がスーラに言うと彼女は頷いて書類の手続きを始めてくれた。
「ありがとうございます。
リボルテでは鉱山で怪我をした人の治療薬が間に合ってないそうですので今回の依頼以外にも向こうで新たに頼まれるかもしれません。
それを受けるかはご自分で判断されてください。
あと、当然ですが手紙は開封せずに先方に渡してくださいね。
これは信用問題なのでお願いします。
報酬はリボルテのギルドで依頼達成時に半額、戻られてからカイザックのギルドで報告後に残りの半額をお支払致します」
「分かりました。
では契約書をお願いします」
僕達はスーラから契約書と手紙を預かると冒険者ギルドを後にした。
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