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23.フォースの嘘

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「くっ‼︎」
「ほらほら、足元にも注意しなさい。でなければ体勢を崩して殺されてしまいますよ」

 フォースの猛攻に、ルイの顔が歪む。腕が限界なのだ。

 フォースの方がルイよりも身長があるため、剣が重い。
 ルイは今まで剣を沿わせて、力を分散していた。が、慣れない森の中ということと、視界がすぐれない事でその得意分野が封じられていたのだ。

(やっぱり副隊長は強い。こんな森の中でも、いつもみたいに動き回れてる)

 場所が変わるだけでこうも違うのか……ルイは経験と力量の差に愕然としながら剣を受け続けていた。もはや、防戦一方で勝ち目はない。だが、ギリギリのところで粘っている。そんな状態だった。

 ビッとフォースの剣がルイの肩口の服を破く。

「あぁ、すみません」

 しゃべった事で、フォース気が少し緩む。ルイはその瞬間を逃さなかった。

「大丈夫ですっ!」

 返事をしながら、グッと踏み込んでフォースの懐に飛び込む。

「おや、疲れていたと思っていましたが。まだ体力は残っていたようですね」
「ははは、残ってませんよ。最後の足掻きです!」
「……そのようですね。いつものキレがありません」
「ぐっ⁉︎」

 ガキィッと鈍い音が響き、ルイの剣が弾き飛ばされた。ついでに、折れてもいた。

(うわぁ、すごい)

 未だに、じぃんと痺れが残る手を頭の横にあげ、降参のポーズをとるルイ。

「負けました」

 と、苦笑しながら負けを認めたのだった。が、すぐにルイの表情が険しくなる。

(まずいな、嫌な気配がこちらに近づいている)

「副隊長、もしかすると周囲を囲まれたかもしれません。この森には狼がいると聞きます、早く逃げましょう」

 パシッと折れた剣を拾い、副隊長に近寄るルイ。だが、すぐに副隊長の様子がおかしい事に気づいた。

(なんだ? この状況で、なぜ笑みを浮かべている⁇)

「……フォース様?」

 訝しげに、フォースの顔を見るルイ。

「リュイ、安心してください。この者たちは私が呼んだんです」

 途端、リュイとフォースを取り囲むように、黒服の覆面たちが現れた。

「……フォース様、これはいったいどういう事ですか」

 どう見ても、この国の者ではない事に、リュイはフォースを睨みつける。

「ふふふ、詳細は後ほど。リュイはもう少し他人を疑う事を身につけた方がいいですね」

 次の瞬間、リュイの目の前にフォースの顔があった。

(っ!? いつ移動した!?)

 逃げようと腰を落とせば、逃がさないとばかりにフォースの足が腹部に迫る。

「ちなみに私は体術の方が得意なんですよ」
「ぐぅ!?」

 ガンッと蹴り飛ばされ、地面に倒れ込むリュイに、にっこり微笑んだフォースがゆっくりと近寄り側にしゃがみ込んだ。

「うぅ……」
「おやおや、ちょっと強く蹴りすぎましたね。すみません、今楽にして差し上げます」
「何をっ!? がっ‼︎」

 グラグラと揺れる視界の中で、フォースが手を振り上げる動作を目にするルイ。直後、首に強い衝撃を感じ、ルイの意識は闇に沈んだのだった。
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