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「ナタリアさんは、漁師なんですか?」
「どーなんだろうねぇ。漁師もやっているが、木こりもやっているからね。後は、大工なんかも人手が足りない時とかはやってる。つまりは何でも屋って所か。リコは? あんた、ここの人じゃないだろう? 私があんたを回収したすぐ後に、お貴族様が乗った馬車が近くに来てたんだ。"不思議な服装の人物"を探していると言われたからてっきりリコのことだと思ってたんだけど……そこんとこどうなんだい??」
何気なく放たれたナタリアの言葉。それは、莉子を混乱の渦に突き落とした。
(どういうこと? あの人達が"何かを探していた"? 前は偶然通りかかって助けてもらったはずなのに……ーーあれ? なんで"偶然"って私思ったんだろう? あの人たちの生活を見れば、鋪道もろくにされていない、危険な河べりなんか行くはずがない。……つまり、最初から私がそこにいることがわかっていたということ⁉︎)
俯いて黙り込んでしまった莉緒を、ナタリアは心配そうに見つめた。
「リコ、言いたくないなら大丈夫だよ。やっぱり、あの貴族達からリコは逃げたんだね?」
(逃げた……か。うん、意識があったら絶対逃げてたし)
「そうですね、私は逃げていました」
「大方検問で引っかかったんだろう? その透明な容器もーー確かペットボトルと言ったかい? あれはひと財産築けるほどの素晴らしい物だからねぇ。そりゃあこんな所までお貴族様が探しに来るはずだよ」
納得したように頷くナタリアに、「実は日本では100円ほどで買えます」なんていえるはずもない莉子は困った顔で頷いておくことしかできなかった。
(どうしよう? ナタリアさんが言ったことを考えれば、私の服装ではすぐに気づかれる。この国から気づかれずに出るにはどうしたらいい⁇)
「リコ、あんたはこの後どうするんだい? 私のところはもう一度あいつらがやってこないとは限らないから匿ってやることも難しいかもしれない……」
心配そうにリコの顔を覗き込むナタリア。出会ってまだ数時間ほどしか経っていないのに、彼女はとても莉子のことを案じてくれていた。
「えーっと、その事なんですが」
「なんだい?」
「ふ、服を。この国でも目立たない服をお借りできないでしょうか? お礼と言ってはなんですが、このカバンの中にある物をお好きなだけ持っててもいいので‼︎」
ガバッと頭を下げた莉子。ギュッと目を瞑り、ナタリアの返事を待っていた。しかし、一向に返事はなく、
(やっぱりダメか……)
そう思って頭を上げた莉子の目の前には、肩を震わせ必死に笑いを堪えているナタリアの姿があった。
「あんた、いきなり頭を下げるなんてどうしたんだい? ふふふ、私を笑かせようとしてたのかい?」
(いや、真剣なお願いをしようと……)
そこまで考えてハッとする莉子。そう、この世界にはお辞儀という文化がないのだ。
「あ、えっと、これはですね、誰かにお願いしたいときにする私の国の文化のようなもので……決して笑わせようとしたわけでは!」
あせあせと説明をする莉子の頭に、ポンと大きな手のひらがのる。
「そんなことは大体察しはついているよ。ふざけてごめんよリコ。ひとつだけあんたに伝えておきたいことがある」
そう切り出して、真剣な顔になったナタリア。やはりダメなのだろうか? そう身構える莉子の頭を撫でながら、彼女は話し始めた。
「アンタは頼るという意味を知らないんだろう? 私はアンタに出会ってからすでに他人のようには思えない。なんなら妹同然に思っている。だからね、そんな他人行儀なマネはしないでおくれ。服なら沢山ある。何かと交換ではなく、私を頼ってくれるかい?」
「あ……」
(頼ってもいいの? 本当に?)
「リコ、アンタの国の文化は私が今まで聞いたこともないようなものだった。だから相当遠い場所からここまでやってきたんだろう? 旅の途中で騙されたりすることもあったと思う。まだこんなに若いのにここまで来るのは大変だっただろう? だからこそ、私を頼って欲しいんだよ」
「なた……りあさん……」
チラリと彼女の顔を見れば、ナタリアはにっこりと笑っていた。
ふっと莉子の口元が緩む。
「ありがとうございます」
「どうぃたしまして。ついでに敬語もやめてもらおうかね」
再び元のニカっと笑いに戻った彼女は莉子のほっぺたをむにむにといじりながらおちゃらけたようにそう言った。
「敬語ですか……この口調には慣れてしまったので直すのが難しいんです。でも、ナタリアさんには出来るだけ敬語はやめますね!」
そういう莉子は、今も敬語になってしまっているのを気づいていないのだろう。
(しっかりしているようで結構抜けているところもあるようだねぇ。ふふ、天然ってところかね?)
「それじゃあ莉子、服を合わせようか。私はね、こんな見た目だけど裁縫も得意なんだよ。私のお古があると思うからそれを手直しして着れるようにしよう」
「はい!」
椅子から立ち上がったナタリアに続くように莉子も立ち上がる。その様子は正に姉を慕う妹のように見えた。
「さ、行くよ」
「わかりました! ねぇ、ナタリアさん。私、ナタリアさんみたいにカッコいい服装がいいです!」
「……うーん、胸の方がねぇ」
「へっ⁉︎ そ、そこはナタリアさんの技術でなんとか!」
「あははははは! まぁ人には合う合わないがあるから、着てみないところには何とも言えないね」
久しぶり気安い会話に、ナタリアは楽しそうに笑い呟いた。「リコ、ありがとうね」とーー
「どーなんだろうねぇ。漁師もやっているが、木こりもやっているからね。後は、大工なんかも人手が足りない時とかはやってる。つまりは何でも屋って所か。リコは? あんた、ここの人じゃないだろう? 私があんたを回収したすぐ後に、お貴族様が乗った馬車が近くに来てたんだ。"不思議な服装の人物"を探していると言われたからてっきりリコのことだと思ってたんだけど……そこんとこどうなんだい??」
何気なく放たれたナタリアの言葉。それは、莉子を混乱の渦に突き落とした。
(どういうこと? あの人達が"何かを探していた"? 前は偶然通りかかって助けてもらったはずなのに……ーーあれ? なんで"偶然"って私思ったんだろう? あの人たちの生活を見れば、鋪道もろくにされていない、危険な河べりなんか行くはずがない。……つまり、最初から私がそこにいることがわかっていたということ⁉︎)
俯いて黙り込んでしまった莉緒を、ナタリアは心配そうに見つめた。
「リコ、言いたくないなら大丈夫だよ。やっぱり、あの貴族達からリコは逃げたんだね?」
(逃げた……か。うん、意識があったら絶対逃げてたし)
「そうですね、私は逃げていました」
「大方検問で引っかかったんだろう? その透明な容器もーー確かペットボトルと言ったかい? あれはひと財産築けるほどの素晴らしい物だからねぇ。そりゃあこんな所までお貴族様が探しに来るはずだよ」
納得したように頷くナタリアに、「実は日本では100円ほどで買えます」なんていえるはずもない莉子は困った顔で頷いておくことしかできなかった。
(どうしよう? ナタリアさんが言ったことを考えれば、私の服装ではすぐに気づかれる。この国から気づかれずに出るにはどうしたらいい⁇)
「リコ、あんたはこの後どうするんだい? 私のところはもう一度あいつらがやってこないとは限らないから匿ってやることも難しいかもしれない……」
心配そうにリコの顔を覗き込むナタリア。出会ってまだ数時間ほどしか経っていないのに、彼女はとても莉子のことを案じてくれていた。
「えーっと、その事なんですが」
「なんだい?」
「ふ、服を。この国でも目立たない服をお借りできないでしょうか? お礼と言ってはなんですが、このカバンの中にある物をお好きなだけ持っててもいいので‼︎」
ガバッと頭を下げた莉子。ギュッと目を瞑り、ナタリアの返事を待っていた。しかし、一向に返事はなく、
(やっぱりダメか……)
そう思って頭を上げた莉子の目の前には、肩を震わせ必死に笑いを堪えているナタリアの姿があった。
「あんた、いきなり頭を下げるなんてどうしたんだい? ふふふ、私を笑かせようとしてたのかい?」
(いや、真剣なお願いをしようと……)
そこまで考えてハッとする莉子。そう、この世界にはお辞儀という文化がないのだ。
「あ、えっと、これはですね、誰かにお願いしたいときにする私の国の文化のようなもので……決して笑わせようとしたわけでは!」
あせあせと説明をする莉子の頭に、ポンと大きな手のひらがのる。
「そんなことは大体察しはついているよ。ふざけてごめんよリコ。ひとつだけあんたに伝えておきたいことがある」
そう切り出して、真剣な顔になったナタリア。やはりダメなのだろうか? そう身構える莉子の頭を撫でながら、彼女は話し始めた。
「アンタは頼るという意味を知らないんだろう? 私はアンタに出会ってからすでに他人のようには思えない。なんなら妹同然に思っている。だからね、そんな他人行儀なマネはしないでおくれ。服なら沢山ある。何かと交換ではなく、私を頼ってくれるかい?」
「あ……」
(頼ってもいいの? 本当に?)
「リコ、アンタの国の文化は私が今まで聞いたこともないようなものだった。だから相当遠い場所からここまでやってきたんだろう? 旅の途中で騙されたりすることもあったと思う。まだこんなに若いのにここまで来るのは大変だっただろう? だからこそ、私を頼って欲しいんだよ」
「なた……りあさん……」
チラリと彼女の顔を見れば、ナタリアはにっこりと笑っていた。
ふっと莉子の口元が緩む。
「ありがとうございます」
「どうぃたしまして。ついでに敬語もやめてもらおうかね」
再び元のニカっと笑いに戻った彼女は莉子のほっぺたをむにむにといじりながらおちゃらけたようにそう言った。
「敬語ですか……この口調には慣れてしまったので直すのが難しいんです。でも、ナタリアさんには出来るだけ敬語はやめますね!」
そういう莉子は、今も敬語になってしまっているのを気づいていないのだろう。
(しっかりしているようで結構抜けているところもあるようだねぇ。ふふ、天然ってところかね?)
「それじゃあ莉子、服を合わせようか。私はね、こんな見た目だけど裁縫も得意なんだよ。私のお古があると思うからそれを手直しして着れるようにしよう」
「はい!」
椅子から立ち上がったナタリアに続くように莉子も立ち上がる。その様子は正に姉を慕う妹のように見えた。
「さ、行くよ」
「わかりました! ねぇ、ナタリアさん。私、ナタリアさんみたいにカッコいい服装がいいです!」
「……うーん、胸の方がねぇ」
「へっ⁉︎ そ、そこはナタリアさんの技術でなんとか!」
「あははははは! まぁ人には合う合わないがあるから、着てみないところには何とも言えないね」
久しぶり気安い会話に、ナタリアは楽しそうに笑い呟いた。「リコ、ありがとうね」とーー
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