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本編
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カタンッ
深夜2時ぐらいだろうか。屋敷全体が寝静まった頃、数人の人影が滑るように建物の中へ入り込んでいった。
『この先を真っ直ぐです』
『そうか、行くぞ』
『『『『はっ』』』』
1人の男の掛け声と共に、侵入者達は走り出す。まるで狩りをする虎のように物音一つ立てない。
『ここか』
ゆっくりと開けられた扉の奥。月明かりに照らされながらグッスリと眠る人物をみて、男の目が細められる。
『途中で目覚められては困るからな』
そういうと、懐から取り出した布でベッドで眠る人物の口もとを覆った。そして、布団でより深い眠りへと入った人物を包んで持ち上げる。
『よしいくぞ』
そうして、来た時と同じように静かに去っていった。
○○○
翌朝、いつものごとくアイリーンを起こしに来たルベリオスは空になったベットを見て、顔を歪めた。
よほど急いでいたのだろう。強い睡眠薬の残り香と、嗅ぎ覚えのある臭いがしたからだ。
「おのれ……忠告してやったのだがな」
そう呟くと、ルベリオスは窓から飛び出していた。
虎族がちょっかいをかけてくるのは知っていたが、アイリーンを危険に晒すつもりはなかった。
ルベリオスには、誰が来てもアイリーンを守る自信があった。しかし、優れていたはずのルベリオスの防御をすり抜けた。虎はそれの上を行ったのだ。
認めたくはないが、この時たしかにルベリオスは虎族に敗北した。己の慢心が招いた事態。
「すまぬ、アイリーン」
一言、そう呟くとルベリオスは龍の姿になって空へと昇った。自分の國に戻り、今度こそ虎族を完膚なきまで叩きのめし、大事な大事な番を取り戻すために。
○○○
「番が攫われた」
番探しのために一時留守にしていた王が、怒り狂って帰って来たのはつい先程。
「もう、番を見つけられたのですか?」
「あぁ、やはり人族だった」
受け答えはしっかりしてくれているものの、今すぐにでも暴走しそうなほど膨張した魔力に、周囲の者達は恐れ慄いた。
「虎ですか」
「そうだ。どうやったのか、うまく我の張っていた魔法をすり抜けおった」
ゴオッと周囲にあった家具やらが竜巻のように舞い上がる。ルベリオスは我慢していた。1度目は。
「探索が得意な者を集めるのだ」
静かに命を下すルベリオスに、サッと数名の部下達が集まる。
未来の妃を取られてはたまらない。龍族全員の想いは、それが1番大きかった。王は、國の象徴であり国力を見せつけるためのもの。それになるまでに、どれだけ争いが起こったか。龍は今は虎族に平和バカと言われているが、実際は違う。
個々の力は凄まじく、集団で戦えば大陸さえも破壊する。過去に一度、その過ちが起きてしまったことがあった。それ以来、王族が統率を図ってきたのだ。
いわば、虎族は龍族の王によって助けられて来たも同然。知らなかったとはいえ、ストッパーに手をかけそれを壊した。
王は強い。普通の龍達でさえ小さな国なら壊滅させることができる。王はそんな龍達が何匹集まっても太刀打ちできない強さを持っている。
「そなたらは虎族の国へ向かえ。我は伝を辿って探す」
そういうと、ルベリオスは空へと飛び立ったのだった。
深夜2時ぐらいだろうか。屋敷全体が寝静まった頃、数人の人影が滑るように建物の中へ入り込んでいった。
『この先を真っ直ぐです』
『そうか、行くぞ』
『『『『はっ』』』』
1人の男の掛け声と共に、侵入者達は走り出す。まるで狩りをする虎のように物音一つ立てない。
『ここか』
ゆっくりと開けられた扉の奥。月明かりに照らされながらグッスリと眠る人物をみて、男の目が細められる。
『途中で目覚められては困るからな』
そういうと、懐から取り出した布でベッドで眠る人物の口もとを覆った。そして、布団でより深い眠りへと入った人物を包んで持ち上げる。
『よしいくぞ』
そうして、来た時と同じように静かに去っていった。
○○○
翌朝、いつものごとくアイリーンを起こしに来たルベリオスは空になったベットを見て、顔を歪めた。
よほど急いでいたのだろう。強い睡眠薬の残り香と、嗅ぎ覚えのある臭いがしたからだ。
「おのれ……忠告してやったのだがな」
そう呟くと、ルベリオスは窓から飛び出していた。
虎族がちょっかいをかけてくるのは知っていたが、アイリーンを危険に晒すつもりはなかった。
ルベリオスには、誰が来てもアイリーンを守る自信があった。しかし、優れていたはずのルベリオスの防御をすり抜けた。虎はそれの上を行ったのだ。
認めたくはないが、この時たしかにルベリオスは虎族に敗北した。己の慢心が招いた事態。
「すまぬ、アイリーン」
一言、そう呟くとルベリオスは龍の姿になって空へと昇った。自分の國に戻り、今度こそ虎族を完膚なきまで叩きのめし、大事な大事な番を取り戻すために。
○○○
「番が攫われた」
番探しのために一時留守にしていた王が、怒り狂って帰って来たのはつい先程。
「もう、番を見つけられたのですか?」
「あぁ、やはり人族だった」
受け答えはしっかりしてくれているものの、今すぐにでも暴走しそうなほど膨張した魔力に、周囲の者達は恐れ慄いた。
「虎ですか」
「そうだ。どうやったのか、うまく我の張っていた魔法をすり抜けおった」
ゴオッと周囲にあった家具やらが竜巻のように舞い上がる。ルベリオスは我慢していた。1度目は。
「探索が得意な者を集めるのだ」
静かに命を下すルベリオスに、サッと数名の部下達が集まる。
未来の妃を取られてはたまらない。龍族全員の想いは、それが1番大きかった。王は、國の象徴であり国力を見せつけるためのもの。それになるまでに、どれだけ争いが起こったか。龍は今は虎族に平和バカと言われているが、実際は違う。
個々の力は凄まじく、集団で戦えば大陸さえも破壊する。過去に一度、その過ちが起きてしまったことがあった。それ以来、王族が統率を図ってきたのだ。
いわば、虎族は龍族の王によって助けられて来たも同然。知らなかったとはいえ、ストッパーに手をかけそれを壊した。
王は強い。普通の龍達でさえ小さな国なら壊滅させることができる。王はそんな龍達が何匹集まっても太刀打ちできない強さを持っている。
「そなたらは虎族の国へ向かえ。我は伝を辿って探す」
そういうと、ルベリオスは空へと飛び立ったのだった。
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