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本編
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「ユーベルト様、お探しの方はいらっしゃいましたか?」
「いや、いなかった」
2人のフード姿の人物が、コソコソと話している。1人はユーベルト。もう1人は先程のおじ様ことルンガだった。
「しかし、金髪の美女ですか……」
「あぁ、言葉遣いと所作からして貴族ではないとは思うのだが」
その言葉にうーんと考え込むルンガ。何故なら、それにそっくりの人物に会ったからである。
「先程、商売でお邪魔した貴族の屋敷にはその容姿にピッタリの方がいらっしゃいましたよ。それから、龍族の方も」
ですが、貴族でないなら違いますよねぇ。と、また考え始めるルンガ。商売となると彼は物凄く頭の回転が速いが、それ以外となるとほとんどポンコツなのだ。
「龍族がいたと?」
「ええ、それはもう。こちらが真っ赤になりそうなほどの溺愛っぷりでした。髪を長く伸ばしていらっしゃったので王族の方でしょうな。あのような美しい番に出会えるなんて、幸せでしょう。それに、番様は知らないようですが、高度な魔法までかけられておりましたので、稀に見る純愛でしたぞ」
ぽわぽわとした雰囲気でそう言うルンガは、探していた人物がまさにその2人だとは思ってもみない。
チッとユーベルトが舌打ちした。
「もう少し商売以外にも頭の栄養を使ったらどうだ?」
「はて?」
虎ではなく狸のようなやつだ。ユーベルトはそう毒づいて、歩きだした。
「あ、ちょっ! どこに行かれるので?」
「一旦帰って、精鋭を連れてくる。夜に忍び込むぞ」
「な!?」
「金貨100だ」
「ふむ、ならば飲みましょう」
途端にキリッとした顔になったルンガにユーベルトは悪態を吐きながら急いで国へと戻るのだった。
「さて、では屋敷の地図を用意しますかな」
「魔法の無効化の道具もだ」
「ええ、分かっておりますとも」
対するルンガはゆっくりと歩きながら、先程後にしたアイリーン達の屋敷に再び足を向けるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝起きると、お気に入り登録者数が500人を超えていてビックリしました。また、感想もいただいており日々の励ましとなっております。
これからもこの物語をよろしくお願いいたしますm(_ _)m
「いや、いなかった」
2人のフード姿の人物が、コソコソと話している。1人はユーベルト。もう1人は先程のおじ様ことルンガだった。
「しかし、金髪の美女ですか……」
「あぁ、言葉遣いと所作からして貴族ではないとは思うのだが」
その言葉にうーんと考え込むルンガ。何故なら、それにそっくりの人物に会ったからである。
「先程、商売でお邪魔した貴族の屋敷にはその容姿にピッタリの方がいらっしゃいましたよ。それから、龍族の方も」
ですが、貴族でないなら違いますよねぇ。と、また考え始めるルンガ。商売となると彼は物凄く頭の回転が速いが、それ以外となるとほとんどポンコツなのだ。
「龍族がいたと?」
「ええ、それはもう。こちらが真っ赤になりそうなほどの溺愛っぷりでした。髪を長く伸ばしていらっしゃったので王族の方でしょうな。あのような美しい番に出会えるなんて、幸せでしょう。それに、番様は知らないようですが、高度な魔法までかけられておりましたので、稀に見る純愛でしたぞ」
ぽわぽわとした雰囲気でそう言うルンガは、探していた人物がまさにその2人だとは思ってもみない。
チッとユーベルトが舌打ちした。
「もう少し商売以外にも頭の栄養を使ったらどうだ?」
「はて?」
虎ではなく狸のようなやつだ。ユーベルトはそう毒づいて、歩きだした。
「あ、ちょっ! どこに行かれるので?」
「一旦帰って、精鋭を連れてくる。夜に忍び込むぞ」
「な!?」
「金貨100だ」
「ふむ、ならば飲みましょう」
途端にキリッとした顔になったルンガにユーベルトは悪態を吐きながら急いで国へと戻るのだった。
「さて、では屋敷の地図を用意しますかな」
「魔法の無効化の道具もだ」
「ええ、分かっておりますとも」
対するルンガはゆっくりと歩きながら、先程後にしたアイリーン達の屋敷に再び足を向けるのだった。
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朝起きると、お気に入り登録者数が500人を超えていてビックリしました。また、感想もいただいており日々の励ましとなっております。
これからもこの物語をよろしくお願いいたしますm(_ _)m
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