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本編

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「???」

 突如、ゾワッと嫌な寒気が私を襲った。ここにいたらいけない気がする。

 息を潜めて約1時間。嫌な予感のした私は待機していた箱から私は抜け出した。

 ルベリオス様に助けに来てもらいたいけど、来たらルベリオス様が殺される。そんなの嫌だ。とすれば、自分で逃げるしかない。

 虎って猫科だよね? つまり、鼻も効く。だったら、この国の人達が着ている服を着ればいい。

 私の今の服は水着もかくやと言わんばかりの薄っぺらい服。しかも、ユーベルト様がひっついていたから、その臭いもついているだろう。

「これ、着れるかな?」

 籠の中には、男物の服。

 袖を通せば、ちょうど良く私の身体にフィットした。

 着替えた私はそっと周囲を確認してから廊下へ出る。金髪の髪が今は鬱陶しかった。とりあえず、近くの布で隠したけど、それでも不審者にしか見えない。

「最悪だ」

 庭らしき場所には人工的な池と川があった。

 お? これは泳げるのでは? 臭いも消えるし、一石二鳥じゃないの!!!!

 酒を飲んだまま水に入ることがどれだけ危険か。当時の私はそんな事はすっぽり抜けていて、思いついたままに水に飛び込んだ。

 案外アッサリと水の出入り口が見つかり、それも人1人なら潜れるくらいだったものだから、私は何も考えずにそのまま潜った。

 服を脱ぐべきだったと後悔したのはそのすぐ後。だけど、引き返せるわけもなく私は渋々水路の中を泳いだ。

「ぶはっ!!!!」

 水の流れも後押しして、そこそこスムーズに水路を抜けた私が酸素を供給できたのは、約3分後。

「わぁ」

 周りは広大な草原で私は、とても広い川の一歩手前にいた。だが流れが早く、もしそのまま泳いでいたら溺れていたであろう川だった。今更ながらに、自分の短絡的な思考にゾッとする。

「ハハ、ナニモナクテヨカッタ」

 ふらふらと水から上がり、陸地にたどり着くと今までの疲れがどっと押し寄せた。

 あぁ、やばい。ここで倒れたら一貫の終わりだ。

 そう思うも、瞼は重く。足は動いてくれない。

「せめて、草むらまで……」

 びちょびちょになったターバン代わりの布を頭に巻き直し、私は少し川から離れた草原まで辿り着いたところで倒れ込んでしまった。

 ルベリオス様……

 何故か、今日はルベリオス様のことばかり考えてしまう。一体私はどうしたんだろう?

 そんな事を思いながら、私の意識はまるで泥の中に沈むようになくなっていった。

 
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