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本編
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「いやらぁ! もうぅ、やら!!!!」
「ははは、酔った姿もまたいい」
どこへ行くのか……
グルングルン酔いでメチャクチャな頭で考えていた私。抱かれたまま連れて行かれた場所はやたら広く、沢山の柔らかそうな布が敷かれた場所だった。
ドサッと投げ出された時の私の心臓の叫びをわかってくれるだろうか?
一気に酔いが覚めた気分だった。でも、その後もっと目が覚める事が起こる。
なんと、私の上にユーベルト様がのしかかってきたのだ。
酔いが覚めた気分であって、お酒の影響がなくなったわけじゃない。呂律は回らないし、ろくに体は動かない。
這いずって逃げようとする私。チラリとユーベルト様の瞳は爛々と月の光を吸収して輝いていた。まるで猫の瞳だ……ぼうっとそんなことを思い。ユーベルト様から伸びた手にハッと正気に帰って逃げ出す。
「そろそろいいか?」
「らめよ!!!!」
ダ行が言えない!!!!
パシッと全身の筋肉を稼働して、ユーベルト様の手を振り払う。
「う?」
しかし、バランスを崩してコロリと倒れてしまった。
すかさず、私の首に通してある紐をユーベルト様が掴んだものだからさぁ大変。
やばいやばいやばいやばいやばい!!!!
頭の中でガンガンと鳴る警鐘に、パニックになる私。
そんな中私の頭の中に浮かんだのは1人の男性だった。なんで今? とは思ったけど、助けてもらいたかった。
ーーーーーーーーっ! ルベリオス様ルベリオス様ルベリオス様ルベリオス様っ!!!!
「ルベリオスさま、たすけーー」
「トカゲに助けを求めるか?」
「う……」
だけど、その選択は間違いだった。グッと首の紐を引かれ、のしかかってくるユーベルト様の顔はとても剣呑で。
「知っているか? 何故私がトカゲの番を妃とするか? それはな、我が国の伝統だからだ。"龍の番を制したものは世界を征する"とな。私は世界には興味がないが、正式な王と認められるにはこの方法を取るのが1番なのだ」
「え……?」
「助けに来た龍族を番の前で殺す。これが完璧な方法だ。そして、今までそれが失敗した事は一度もない。今回もな……」
ニヤリと浮かべられた笑みは恐ろしくて、ひゅっと息が詰まる。
「それにな、私はこれでもお前に惚れている。こんな美しい女をトカゲにやるつもりはない」
あくまでも物としての扱い。私に惚れていると言いながら、私の名前を知らないこの人はおかしい。
「わたしのなまえは?」
「あぁ、まだ聞いてなかったな。お前の名前は?」
ジッと見てくるユーベルト様に、私はうつ伏せた体勢のまま首だけを向けた。
「教えません」
「なんだと?」
グイッと首の紐が引っ張られる。こんな人をどうやって好きになれというのか。
「ハッ、意地になってるな? まぁ、いい。名は後だ」
「やめっ!!!!」
「うっ!?!?」
首元に顔を埋めてきた感触にゾワリと鳥肌が立ち、自由だった手で引っ掻いた。
相手が怯んだ隙に、下から抜け出し、首の紐の端をユーベルト様から取り返す。
「最低!!!!」
恐怖にポロリと涙が溢れた感覚がしたが、今はそれどころじゃなかった。逃げなければ、必死に足を動かし、部屋から逃げた。
「っ! 待て!」
背後から怒鳴り声のようなものが聞こえるが、無視する。近くにあった部屋の籠の中に隠れて私は息を潜めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【※ボツにしたやつです】
「わたしのなまえは?」
「ん? あぁ、そういえば知らないな。だが、元の名はいらん。私がつけてやろう。そうだな……フロリンとかどうだ?」
何そのド○ゴンボールの敵役にいそうな名前。
「ふざけてます?」
だいぶ、酔いが解けてきた。
「不満か? ならば、フロリゲンとかどうだ?」
それ、植物ホルモンの名前よ。
「もう、知りません!!!!」
こんなネーミングセンスがない王なんて聞いたことがない!
「うっ!?」
ガバッと起き上がり、ユーベルトが体勢を崩したところで、首の紐を取り返す。そのまま、私は部屋を抜け出した。
「ははは、酔った姿もまたいい」
どこへ行くのか……
グルングルン酔いでメチャクチャな頭で考えていた私。抱かれたまま連れて行かれた場所はやたら広く、沢山の柔らかそうな布が敷かれた場所だった。
ドサッと投げ出された時の私の心臓の叫びをわかってくれるだろうか?
一気に酔いが覚めた気分だった。でも、その後もっと目が覚める事が起こる。
なんと、私の上にユーベルト様がのしかかってきたのだ。
酔いが覚めた気分であって、お酒の影響がなくなったわけじゃない。呂律は回らないし、ろくに体は動かない。
這いずって逃げようとする私。チラリとユーベルト様の瞳は爛々と月の光を吸収して輝いていた。まるで猫の瞳だ……ぼうっとそんなことを思い。ユーベルト様から伸びた手にハッと正気に帰って逃げ出す。
「そろそろいいか?」
「らめよ!!!!」
ダ行が言えない!!!!
パシッと全身の筋肉を稼働して、ユーベルト様の手を振り払う。
「う?」
しかし、バランスを崩してコロリと倒れてしまった。
すかさず、私の首に通してある紐をユーベルト様が掴んだものだからさぁ大変。
やばいやばいやばいやばいやばい!!!!
頭の中でガンガンと鳴る警鐘に、パニックになる私。
そんな中私の頭の中に浮かんだのは1人の男性だった。なんで今? とは思ったけど、助けてもらいたかった。
ーーーーーーーーっ! ルベリオス様ルベリオス様ルベリオス様ルベリオス様っ!!!!
「ルベリオスさま、たすけーー」
「トカゲに助けを求めるか?」
「う……」
だけど、その選択は間違いだった。グッと首の紐を引かれ、のしかかってくるユーベルト様の顔はとても剣呑で。
「知っているか? 何故私がトカゲの番を妃とするか? それはな、我が国の伝統だからだ。"龍の番を制したものは世界を征する"とな。私は世界には興味がないが、正式な王と認められるにはこの方法を取るのが1番なのだ」
「え……?」
「助けに来た龍族を番の前で殺す。これが完璧な方法だ。そして、今までそれが失敗した事は一度もない。今回もな……」
ニヤリと浮かべられた笑みは恐ろしくて、ひゅっと息が詰まる。
「それにな、私はこれでもお前に惚れている。こんな美しい女をトカゲにやるつもりはない」
あくまでも物としての扱い。私に惚れていると言いながら、私の名前を知らないこの人はおかしい。
「わたしのなまえは?」
「あぁ、まだ聞いてなかったな。お前の名前は?」
ジッと見てくるユーベルト様に、私はうつ伏せた体勢のまま首だけを向けた。
「教えません」
「なんだと?」
グイッと首の紐が引っ張られる。こんな人をどうやって好きになれというのか。
「ハッ、意地になってるな? まぁ、いい。名は後だ」
「やめっ!!!!」
「うっ!?!?」
首元に顔を埋めてきた感触にゾワリと鳥肌が立ち、自由だった手で引っ掻いた。
相手が怯んだ隙に、下から抜け出し、首の紐の端をユーベルト様から取り返す。
「最低!!!!」
恐怖にポロリと涙が溢れた感覚がしたが、今はそれどころじゃなかった。逃げなければ、必死に足を動かし、部屋から逃げた。
「っ! 待て!」
背後から怒鳴り声のようなものが聞こえるが、無視する。近くにあった部屋の籠の中に隠れて私は息を潜めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【※ボツにしたやつです】
「わたしのなまえは?」
「ん? あぁ、そういえば知らないな。だが、元の名はいらん。私がつけてやろう。そうだな……フロリンとかどうだ?」
何そのド○ゴンボールの敵役にいそうな名前。
「ふざけてます?」
だいぶ、酔いが解けてきた。
「不満か? ならば、フロリゲンとかどうだ?」
それ、植物ホルモンの名前よ。
「もう、知りません!!!!」
こんなネーミングセンスがない王なんて聞いたことがない!
「うっ!?」
ガバッと起き上がり、ユーベルトが体勢を崩したところで、首の紐を取り返す。そのまま、私は部屋を抜け出した。
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