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本編
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ルベリオス様が来てから、屋敷に色々な人が来るようになった。代表例は、ちびっ子である。
「ルベリオス!!!! 今日は、鬼ごっこをするぞ!!!!」
「やだ! ルベリオスさまは私たちとおままごとするんだから!」
男子と女子の取り合い。君たち、ルベリオス様は龍族の方でものすごい偉い人なんだよ?
「我は"だるまさんがころんだ"がやりたい」
"鬼ごっこ"も"だるまさんがころんだ"も私がちびっ子たちと親交を深めようとして教えた遊び。ルベリオス様はそれが大のお気に入りのようだ。
「えーー、しょうがないな。じゃあ、中庭でやろう!!!!」
「ルベリオスさまが鬼ね!!!!」
「なんだと? そこは公平にじゃんけんだろう!」
「「「「「えーー大人なんだからいいでしょ!」」」」」
全く強かな子供たちである。
途端に騒がしくなった屋敷内では、使用人の方々が大忙し。高価な壺などが子供たちによって割られてしまったらーーと、急いで屋敷内の調度品を片付けていた。私も手伝った。
『もうちょっと飾りつけよーよ』
その結果、あまりの簡素な屋敷に不満を感じた子供たちによって屋敷が飾り付けされてしまうと言う珍事も起こった。ちなみに、1番最初に飾り付けられたのは、元は壺が置いてあった場所。置かれたのはあるちびっ子の渾身の力作であるツルツルピカピカの泥団子である。
ひょえわぁぁーーーー!?!? と使用人さんが悲鳴を押し殺していたが、まぁ、いいじゃないかと今も飾っている。
「じゃあ、ちょっと泳いでくるね」
「はい」
子供たちと遊び始めたルベリオス様を置いて、私は日課となっているプールへ向かった。
「最近、龍族がこの近くに現れたと噂されているのだが、知らないか?」
………ねぇ、ここのプールって誰も来ないから屋根無しにしたんじゃなかったの? ねぇ!?
さあ、水着に着替えよう! そう意気込んでいた私に話しかけてきた人物は、ルベリオス様と全く対照的な人物だった。
彫りの深い顔立ちに、白銀の髪に真っ白な肌。瞳はルビーのような赤という出立ち。
まるでアルビノでヨーロッパ系のモデルと会っているような感覚。
でもまぁ、ルベリオス様の方がカッコいいかなと僭越ながら私は思いました。この方はかっこいいというより神秘的? な感じ。
「ルベリオス様のことですか?」
「ん? 知っているのか?」
そりゃあまぁ、うちの屋敷にいるからね。
「番を見つけたらしいのだが、どんなものか見たいと思ってな。案内せよ」
ぞんざいに言う神様(※アイリーン命名)。
「え、龍族の方に会いたいのかと思ったのですが……」
「私があのトカゲに会いたいと? 冗談も大概にしろ」
あら、神様嫌そう。え、じゃあ、案内したらヤバいんじゃないの?
それに、ルベリオス様をトカゲ呼ばわりするのは嫌だなぁ。
「ルベリオス様はトカゲじゃないですよ。龍です」
「ほう? まるで見たことがあるような言い方じゃないか。お前は龍をみたことがあると?」
ええ、そりゃあ、見せてもらいましたとも! すごい立派だったんだからね? トカゲじゃないよ‼︎
「ご立派でした」
「見たんだな?」
あら、見たっていったらいけない気がしてきたわぁ。
「ミテナイデス。文献に載ってました」
「見たんだな?」
「イイエ?」
「はっ、お前の顔は分かりやすいな。私は見てますって書いてあるぞ? つまり、お前があのトカゲの番か」
当たってるけど、何でルベリオス様の第二の姿を見ただけで番ってなるの!?
ぶっ飛びすぎでしょう。
「言ってる意味がよく……」
「逃げるか? やめておいた方がいいぞ。俺も手荒な真似はしたくないからな」
何で近づいてくるのさ! 私は泳ぎにきただけなのに、ルベリオス様といい神様といい、なんで私の邪魔をするの!?
「じゃあ、近づくのやめてもらえます? 私、今から泳ぐんで。逃げも隠れもしませんよ」
「は? 何を言って……」
「だーーかーーらーー‼︎ 今から私はダイエットのために泳ぐんです‼︎ 邪魔しないでもらえますって言ってるの‼︎」
正確にはリバウンド防止だけどね!!!!
「はっ、威勢がいいな? 俺を相手にそんな事を言ったのはお前が初めてだ。さすがトカゲの番だ。いい獲物が見つかった」
え、こんだけキレても近づいてくるの? もしかして、神様も泳ぎたいの?
「水着無いと入れませんよ?」
「お前はまだそんなことを言ってるのか? この流れだと、どう見ても攫われる直前の会話だろう。観念して、こちらにこい」
デスヨネーー。でも、私は嫌なんだなぁ。ルベリオス様のことトカゲっていうのも嫌だし。もやもやと心の中に靄がある中、近づいてくる神様に私は猫の如く威嚇する。
「来ないでください」
神様との距離がそろそろ手を伸ばせば届く距離になったところで私は森を走った。
「ははは、逃げるか?」
神様の体格から足が速いとは思えないし、私も頑張れば多分逃げ切れると踏んだからだ。
それに、プールの近くには洞窟がある。あそこは滝の裏側にあるので多分見つからないだろう。
「はっはっはっはっ……キツいし苦しいし」
使用人一同に後で苦情を入れてやる!!!!
「ふむ、すぐに捕まえるのも興が削がれるな。少し待とうか」
後ろで神様の呟きが聞こえる。なーにが興が削がれる、っだ!!!!
心の中で毒付きながら、私は必死に滝の洞窟へと走ったのだった。
「ルベリオス!!!! 今日は、鬼ごっこをするぞ!!!!」
「やだ! ルベリオスさまは私たちとおままごとするんだから!」
男子と女子の取り合い。君たち、ルベリオス様は龍族の方でものすごい偉い人なんだよ?
「我は"だるまさんがころんだ"がやりたい」
"鬼ごっこ"も"だるまさんがころんだ"も私がちびっ子たちと親交を深めようとして教えた遊び。ルベリオス様はそれが大のお気に入りのようだ。
「えーー、しょうがないな。じゃあ、中庭でやろう!!!!」
「ルベリオスさまが鬼ね!!!!」
「なんだと? そこは公平にじゃんけんだろう!」
「「「「「えーー大人なんだからいいでしょ!」」」」」
全く強かな子供たちである。
途端に騒がしくなった屋敷内では、使用人の方々が大忙し。高価な壺などが子供たちによって割られてしまったらーーと、急いで屋敷内の調度品を片付けていた。私も手伝った。
『もうちょっと飾りつけよーよ』
その結果、あまりの簡素な屋敷に不満を感じた子供たちによって屋敷が飾り付けされてしまうと言う珍事も起こった。ちなみに、1番最初に飾り付けられたのは、元は壺が置いてあった場所。置かれたのはあるちびっ子の渾身の力作であるツルツルピカピカの泥団子である。
ひょえわぁぁーーーー!?!? と使用人さんが悲鳴を押し殺していたが、まぁ、いいじゃないかと今も飾っている。
「じゃあ、ちょっと泳いでくるね」
「はい」
子供たちと遊び始めたルベリオス様を置いて、私は日課となっているプールへ向かった。
「最近、龍族がこの近くに現れたと噂されているのだが、知らないか?」
………ねぇ、ここのプールって誰も来ないから屋根無しにしたんじゃなかったの? ねぇ!?
さあ、水着に着替えよう! そう意気込んでいた私に話しかけてきた人物は、ルベリオス様と全く対照的な人物だった。
彫りの深い顔立ちに、白銀の髪に真っ白な肌。瞳はルビーのような赤という出立ち。
まるでアルビノでヨーロッパ系のモデルと会っているような感覚。
でもまぁ、ルベリオス様の方がカッコいいかなと僭越ながら私は思いました。この方はかっこいいというより神秘的? な感じ。
「ルベリオス様のことですか?」
「ん? 知っているのか?」
そりゃあまぁ、うちの屋敷にいるからね。
「番を見つけたらしいのだが、どんなものか見たいと思ってな。案内せよ」
ぞんざいに言う神様(※アイリーン命名)。
「え、龍族の方に会いたいのかと思ったのですが……」
「私があのトカゲに会いたいと? 冗談も大概にしろ」
あら、神様嫌そう。え、じゃあ、案内したらヤバいんじゃないの?
それに、ルベリオス様をトカゲ呼ばわりするのは嫌だなぁ。
「ルベリオス様はトカゲじゃないですよ。龍です」
「ほう? まるで見たことがあるような言い方じゃないか。お前は龍をみたことがあると?」
ええ、そりゃあ、見せてもらいましたとも! すごい立派だったんだからね? トカゲじゃないよ‼︎
「ご立派でした」
「見たんだな?」
あら、見たっていったらいけない気がしてきたわぁ。
「ミテナイデス。文献に載ってました」
「見たんだな?」
「イイエ?」
「はっ、お前の顔は分かりやすいな。私は見てますって書いてあるぞ? つまり、お前があのトカゲの番か」
当たってるけど、何でルベリオス様の第二の姿を見ただけで番ってなるの!?
ぶっ飛びすぎでしょう。
「言ってる意味がよく……」
「逃げるか? やめておいた方がいいぞ。俺も手荒な真似はしたくないからな」
何で近づいてくるのさ! 私は泳ぎにきただけなのに、ルベリオス様といい神様といい、なんで私の邪魔をするの!?
「じゃあ、近づくのやめてもらえます? 私、今から泳ぐんで。逃げも隠れもしませんよ」
「は? 何を言って……」
「だーーかーーらーー‼︎ 今から私はダイエットのために泳ぐんです‼︎ 邪魔しないでもらえますって言ってるの‼︎」
正確にはリバウンド防止だけどね!!!!
「はっ、威勢がいいな? 俺を相手にそんな事を言ったのはお前が初めてだ。さすがトカゲの番だ。いい獲物が見つかった」
え、こんだけキレても近づいてくるの? もしかして、神様も泳ぎたいの?
「水着無いと入れませんよ?」
「お前はまだそんなことを言ってるのか? この流れだと、どう見ても攫われる直前の会話だろう。観念して、こちらにこい」
デスヨネーー。でも、私は嫌なんだなぁ。ルベリオス様のことトカゲっていうのも嫌だし。もやもやと心の中に靄がある中、近づいてくる神様に私は猫の如く威嚇する。
「来ないでください」
神様との距離がそろそろ手を伸ばせば届く距離になったところで私は森を走った。
「ははは、逃げるか?」
神様の体格から足が速いとは思えないし、私も頑張れば多分逃げ切れると踏んだからだ。
それに、プールの近くには洞窟がある。あそこは滝の裏側にあるので多分見つからないだろう。
「はっはっはっはっ……キツいし苦しいし」
使用人一同に後で苦情を入れてやる!!!!
「ふむ、すぐに捕まえるのも興が削がれるな。少し待とうか」
後ろで神様の呟きが聞こえる。なーにが興が削がれる、っだ!!!!
心の中で毒付きながら、私は必死に滝の洞窟へと走ったのだった。
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