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本編
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「アイリーン、朝だぞ。起きろ」
耳元で聞こえる耳慣れない声。
「んぅ、まだ寝る……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーうん?
いつも私を起こしてくれるのって侍女さんだよね? アレ? おっかしいなぁ、男の人の声がしたんけど。
「起きぬのか?」
「……」
まてまてまてまてまてまてまて!?
薄目を開けた先に見える、満面の笑みを浮かべたイケメン。
「………………おはようございます……」
「おはよう」
まるで朝チュンのようなシチュエーション。しかも、何故か布団に手をかけているルベリオス様。
「ちなみに、何をしようとしてたので?」
「あぁ、そなたを起こしてやろうとな。布団から出してやろうと」
こうやってな。そう言われた瞬間、私の視界が高くなりました。ええ、もうお分かりですね?
「ひっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ククク。目が覚めたか?」
「あ、あ、おろ、下ろしてぇ‼︎ 怖い怖い怖い怖い!!!!」
「怖かったのか? すまぬ」
極度の高所恐怖症は前世から変わっていなかったようです。水泳の飛び込み台ですら怖かったのに……こ、腰が抜けた。
ジロリと睨めつければ、くつくつと笑う元凶の姿。
高所恐怖症の上に、あったばかりの乙女に手を出すとは! 許さん!!!!
「ん? 腰が抜けたのか! ははははははっ! どれ、我が運んでやろう」
「い、いや、大丈夫ーーーーひっ!?」
グンッと上がる視界。半泣きの私。それを楽しげに見るルベリオス様。最悪の構図で食堂に向かった私達を見た使用人達の目といったら。
「うっくっ……ひどい!」
「お嬢様、我々もお止めしようと思ったのですが……」
「本当に?」
「ええ……」
おい、そこ、何故目を逸らす!
サッと目を逸らす使用人一同と、どこか満足げな表情のルベリオス様が。
「ルベリオス様?」
「ん? まぁ、好きになってもらうには努力は必要だろう?」
嘘つけ! 怖がってるのを楽しんでたくせに!!!! お陰で私は恐怖の原因を作り出している元凶にしがみつかなきゃならなかったんだぞ!?
「ルベリオス様」
「なんだ?」
「私は高い所が苦手なんですの。ですから、次からはやめてください」
でないと嫌いになります。言外に含ませて言ってみる。
「ふふっ、あぁ、善処する」
おーい? 善処するって? またやる可能性もあるってことじゃないのかなぁ? ルベリオス様ぁ? 次やったらただじゃ置かないからね?
「まぁ、そう睨みつけるな。しばらくはやらぬ」
「!?!?!?!?」
「ははは、怒るな。そなたの反応が可愛いからいけない」
「~~っ可愛くないですよ!!!!」
こちとら、必死なんだぞ!?
「まぁ、そう怒るな。とはいえ、高い所が苦手とは困るな」
フンッと顔を背けた私を背に、ふーんと考え込んでしまったルベリオス様に、私は嫌な予感がしてゆっくりと振り向いた。
まさか、龍族の方の国って……
「我が国は結構高い場所にーー」
「っ! すみません、無理です!!!! お帰りください!!!!」
「まてまてまてまてまてまて! そう、早まるでない!!!!」
早まるも何も、高いところで暮らせってのは私にとって地獄なのよ!!!!
「高いとはいえ、いくまでは一瞬だ。目をつぶってちょいだ、ちょい!」
なぁーにが"ちょい"だ!
「無理です」
「大丈夫だ」
「いえ、無理です」
「……よし、この話はまた今度にするとしよう」
え"!?
「ほら、ご飯が冷めるだろう? 早く食べろ」
「むぐっ!?」
ちぎったパンを口に突っ込まれる貴族令嬢って絵柄的にどうなのよ!!!!
耳元で聞こえる耳慣れない声。
「んぅ、まだ寝る……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーうん?
いつも私を起こしてくれるのって侍女さんだよね? アレ? おっかしいなぁ、男の人の声がしたんけど。
「起きぬのか?」
「……」
まてまてまてまてまてまてまて!?
薄目を開けた先に見える、満面の笑みを浮かべたイケメン。
「………………おはようございます……」
「おはよう」
まるで朝チュンのようなシチュエーション。しかも、何故か布団に手をかけているルベリオス様。
「ちなみに、何をしようとしてたので?」
「あぁ、そなたを起こしてやろうとな。布団から出してやろうと」
こうやってな。そう言われた瞬間、私の視界が高くなりました。ええ、もうお分かりですね?
「ひっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ククク。目が覚めたか?」
「あ、あ、おろ、下ろしてぇ‼︎ 怖い怖い怖い怖い!!!!」
「怖かったのか? すまぬ」
極度の高所恐怖症は前世から変わっていなかったようです。水泳の飛び込み台ですら怖かったのに……こ、腰が抜けた。
ジロリと睨めつければ、くつくつと笑う元凶の姿。
高所恐怖症の上に、あったばかりの乙女に手を出すとは! 許さん!!!!
「ん? 腰が抜けたのか! ははははははっ! どれ、我が運んでやろう」
「い、いや、大丈夫ーーーーひっ!?」
グンッと上がる視界。半泣きの私。それを楽しげに見るルベリオス様。最悪の構図で食堂に向かった私達を見た使用人達の目といったら。
「うっくっ……ひどい!」
「お嬢様、我々もお止めしようと思ったのですが……」
「本当に?」
「ええ……」
おい、そこ、何故目を逸らす!
サッと目を逸らす使用人一同と、どこか満足げな表情のルベリオス様が。
「ルベリオス様?」
「ん? まぁ、好きになってもらうには努力は必要だろう?」
嘘つけ! 怖がってるのを楽しんでたくせに!!!! お陰で私は恐怖の原因を作り出している元凶にしがみつかなきゃならなかったんだぞ!?
「ルベリオス様」
「なんだ?」
「私は高い所が苦手なんですの。ですから、次からはやめてください」
でないと嫌いになります。言外に含ませて言ってみる。
「ふふっ、あぁ、善処する」
おーい? 善処するって? またやる可能性もあるってことじゃないのかなぁ? ルベリオス様ぁ? 次やったらただじゃ置かないからね?
「まぁ、そう睨みつけるな。しばらくはやらぬ」
「!?!?!?!?」
「ははは、怒るな。そなたの反応が可愛いからいけない」
「~~っ可愛くないですよ!!!!」
こちとら、必死なんだぞ!?
「まぁ、そう怒るな。とはいえ、高い所が苦手とは困るな」
フンッと顔を背けた私を背に、ふーんと考え込んでしまったルベリオス様に、私は嫌な予感がしてゆっくりと振り向いた。
まさか、龍族の方の国って……
「我が国は結構高い場所にーー」
「っ! すみません、無理です!!!! お帰りください!!!!」
「まてまてまてまてまてまて! そう、早まるでない!!!!」
早まるも何も、高いところで暮らせってのは私にとって地獄なのよ!!!!
「高いとはいえ、いくまでは一瞬だ。目をつぶってちょいだ、ちょい!」
なぁーにが"ちょい"だ!
「無理です」
「大丈夫だ」
「いえ、無理です」
「……よし、この話はまた今度にするとしよう」
え"!?
「ほら、ご飯が冷めるだろう? 早く食べろ」
「むぐっ!?」
ちぎったパンを口に突っ込まれる貴族令嬢って絵柄的にどうなのよ!!!!
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