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本編

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 温水プールは領地ですっかり有名になった。
 
 中でも、女性に人気だ。お肌がもちもちすべすべになるから! 最初は怖がっていた使用人のみんなも、今ではすっかり温泉の虜。最近、私が思っていることといえば、壁に富士山欲しいなぁってことです。でも日本ではないので、やめました。

「ぶくぶくぶくぶく……」

 今は潜水中。水泳のおかげでスレンダーかつ、いい感じのお胸とお尻ができた為か、今や私に合う服が無かった。

 そして、覗きが増えた。

『お嬢様がこのプールにこられると、迷惑ですので森の方に新たな温泉プールを作りました。そこでゆっくりしてください』

 と、使用人の1人に言われたのはつい最近のことだ。解せぬ。

 でもまぁ、用意された場所は結構いいところだった。なんと、横には川も流れていた。ちなみになぜか屋根はなかった。

 理由は、景観を損ねるから、だそう。なんの景観だ、なんの!

 屋根がない分、落ち葉やらなんやら入って来そうだがそこはみんなが綺麗にしてくれているらしい。いつも、とても綺麗なプールが用意されていた。

「ぶくぶくぶくぶくぶくぶく……(暇だなぁ。ちびっ子に水泳でも教えるか……)」

 多分、約5分は潜っていたんだと思う。

「~! ~~~~~~!!!!」

 突然、水面の向こう側に人影が見えたと思ったら、ものすごい勢いでプールから引き摺り出された。

「ぐっ!? ごほっ!」

 いきなりのことにびっくりして水を飲んだものだから、気管に入って大変な目に遭ったのはいうまでもない。何すんだ‼︎  と睨みつけた相手は、心配そうにこちらを見ていた。

「大丈夫か!?」

 目の前に、国宝かと思うほどの美しい顔が……!?

「溺れたのかと思って助けたのだが……」

「あ、あぁ、そうでしたか。ご心配をおかけして申し訳ありません。溺れてはいませんよ」

「だが、長い間水の中に……」

「潜っていただけです」

「そうなのか」

「はい」

 the、南国のイケメン! のような雰囲気の男性にガン見されてるんですが、私ってなんか悪いことしましたっけ? してないよね⁇

「そ、その……そなたの服は……」

 ……さっきの言葉は訂正します。猥褻物陳列罪になったかも。一応、一応ね、着物みたいな薄い服を着ていたんだけど、これがまた透けてました。

 普段よりも露出激しめでぇす!

「……」

「…………」

「あの、ちょっと離れていてもらえますか? 着替えてくるので……」

「あ、ああ」

 お見苦しいものをお見せして申し訳ございませんでしたぁ!!!!

 真っ赤っかの全身茹蛸状態になった私は、急いで木の影に隠れて着替えた。

「ごほん、その、な。すまん」

「いえ、心配してくださったのでしょう? なら、いいです」

「そ、そうか」

 着替えて数分後、2度目の対面はきつかった。お互い相手の顔が見れない。過去の私よ、どーしてあんな破廉恥な格好でプールに入った!? それから屋敷の使用人のみんな、あそこには誰も来ないって言ったよね!? ねぇ、嘘だったの? 騙したの!?

「そなた、冷えるのではないか?」

「あ、いえ。お構いなく」

「いや、風邪をひくと悪い。人族は弱いと聞く」

 しばらく無言だった男性が、こちらに手を伸ばして来た。なんだ!? と思って身構えていると、ポンと頭に手を置かれること約1秒。

「え!?」

 生乾きだった髪が、嘘のように綺麗に乾いていた。しかも、どことなくいつもより状態がいいような……

「魔法だ」

「へぇ~、魔法。ん? 魔法!?」

 おいおいおいおい、魔法なんて完全にお伽噺だと思ってたんだけど!? 確かに、魔法を使う種族がいるのは知っていたけど、目撃されたのは数百年前だって……

「まさか……?」

「なんだ」

 いやいや、うそ。

「龍族の方で?」

「そうだ。忘れられていたと思ったが、人族は案外覚えているのだな」

 まじかあぁぁぁぁあ!!!!!

「と、とりあえず、立ち話もなんですから屋敷にご案内いたします」

「む? そなたの家か……気になるな」
 
 思えば身長も高すぎだ。この人の肩が私の頭の位置だからね? ちなみに、今の身長は170よ!
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