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本編

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 ダイエット、といえば何か?

 王都を出て、領地に帰った私がまず思いついたのは水泳だ。水の中で歩くだけでも結構カロリーは消費される。

 そして、嬉しいことに領地は温泉地帯だった。

「温泉プールを作るわよ!!!!」

「「「「「ええええーーーーーー!?」」」」」

 ダイエット計画のために、両親から寄越してもらった使用人達と一緒に温泉プール計画は始まったのだった。

「お嬢様、流石にあの不気味な乳白色の水に入るのだけはおやめください!」

 何人もの使用人たちが説得に来たわ。

「いいえ、あのお湯はとてもいい湯なのよ」

 そして、何度も同じ回答をした。なんでも、この領地は温泉で栄えているのではなく、熱を利用した農業で栄えているらしかった。促成栽培とかいうものだ。土壌が水捌けがいいため、作物がいい感じに育つのだとか。

「温泉に入った人はいないの?」

「えーー……猿なら……」

 日本の名物がここにいた!

「猿……」

 動物と入るのは危険なので、猿が来ないところに温泉プールを作る予定だ。日焼け防止に、建物の中に作る。

「お嬢様ぁ、温泉に本当に入るのですか?」

 作り始めて約半年、未だに覚悟のないものもいるが概ね温泉プールの土台は整った。排水溝も完備、後は温泉を引くだけ。

「ついに、ついに出来たのね!!!!」

 完成した温水プールは、圧巻の一言。領地の郊外に作ったため、どれだけ騒いでも被害にならない。道もそこそこ整備されているので誰でもウェルカム!

「ふふ、長かった。やっと泳げる!!」

 プールを作るのは私もダイエット企画で参加したのだ。スコップ持ってえっちらおっちら掘りました。もちろん、食事も改善していて、今ではぽっちゃりさんねぇぐらいまでになった。

「ちょっと、泳いでくる!」

「「「「「え!?」」」」」

「みんなも泳ぐよ!」

 作ったんだから入るよね? お嬢様命令だあーーーーーー!!!! と、困惑するみんなの背中を押して、更衣室へ向かう。

 そこには、すでにちびっ子たちがいた。

「あれ? いつの間に!?」

「温泉プール入りたいから」

「お姉ちゃんすんごい自慢してたじゃん!」

「ちびっ子プールは端っこにあるんでしょ?」

「早くいこーぜ!」

「イッチバン!!!!」

 確かに、作業の合間にちびっ子に自慢したけど……

 え、まった。お前たち、本当にいつの間にここに来た!?

 混乱する私を置いて、ちびっ子はわぁーーー‼︎ と、歓声を上げてちびっ子専用の浅いプールへと入っていった。

「ご両親の皆さま、ちびっ子が溺れないようしっかり見張っていてください」

 呆気に取られるちびっ子の両親を置いて、私も着替えを済ませてプールに入った。

「おお~」

 色が乳白色だから、不思議な光景ではあるものの、気持ちがいい。心なしか肌がもちもちになって来たような……

「……肌がツルツルに!?」

 お、分かった? 温泉はすごいのよ!

 微妙な顔をした使用人たちが、水を得た魚のように温泉ではしゃいでいる。浅いスペースと深いスペースに区切られたプールは、万が一にも間違って子供たちが深い場所に行かないように仕切りがされている。その唯一の通路であるドアを開けて、私は深い方のプールへと入った。

 目指すは、クロール50メートル!

 バシャっと思いっきり壁を蹴り、懐かしの水泳をたっぷりと堪能した。
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