上 下
10 / 52
本編

2

しおりを挟む
 池に突き落とした人物も、全て把握済み。この体、どうにも記憶力が怪物のようで、一度見たり聞いたり、経験したことは全て録画のように覚えているのだ。

「お父様、お母様。やっと目が覚めましたわ。私、婚約破棄します!」

 家に帰るなり、びしょびしょになった服を着替えて両親のいる部屋へ直行した。

「おや? やっとかい?」

「あらまぁ、遅い目覚めねぇ」

 うぐっ!?

 私の両親はどうやらローン様と侍女との関係をご存知だった様子。

「実は、かくかくしかじかでーー」

 そうして、私は婚約破棄する計画にいたるまでの経緯を語った。それはもう身振り手振り全てを使ってね!

「なるほど、池に突き落とされてその先に2人がいたと?」

「これは流石にやりすぎよ。我が家を舐めているのかしら?」

 多分、舐められているのは私だろう。我が家は、結構歴史のある家系だ。自分のせいで、家の名を貶めていたことに、申し訳なさと恥ずかしさが込み上げた。

「痩せるのは自分でできます。ですが、長期になると思うので私が病気になったことにしてくれませんか。領地に行って痩せて戻ってこようと思います」

 結構なわがままを言っている自信がある。だけど、両親は快諾してくれた。

「痩せてなかったらぶちのめす」というありがたいお言葉付きで私は領地へ向かうことになったのだった。

 ローン様と愛し合う仲であるジュリは、いつの間にか仕事を辞めていた。どうやら、私からのイジメが怖いらしいため、ローン様の家付の侍女として雇ってもらったらしい。ふーん、そう。ぐらいにしか思わなかった。
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

結婚した次の日に同盟国の人質にされました!

だるま 
恋愛
公爵令嬢のジル・フォン・シュタウフェンベルクは自国の大公と結婚式を上げ、正妃として迎えられる。 しかしその結婚は罠で、式の次の日に同盟国に人質として差し出される事になってしまった。 ジルを追い払った後、女遊びを楽しむ大公の様子を伝え聞き、屈辱に耐える彼女の身にさらなる災厄が降りかかる。 同盟国ブラウベルクが、大公との離縁と、サイコパス気味のブラウベルク皇子との再婚を求めてきたのだ。 ジルは拒絶しつつも、彼がただの性格地雷ではないと気づき、交流を深めていく。 小説家になろう実績 2019/3/17 異世界恋愛 日間ランキング6位になりました。 2019/3/17 総合     日間ランキング26位になりました。皆様本当にありがとうございます。 本作の無断転載・加工は固く禁じております。 Reproduction is prohibited. 禁止私自轉載、加工 복제 금지.

永遠の隣で ~皇帝と妃の物語~

ゆる
恋愛
「15歳差の婚約者、魔女と揶揄される妃、そして帝国を支える皇帝の物語」 アルセリオス皇帝とその婚約者レフィリア――彼らの出会いは、運命のいたずらだった。 生まれたばかりの皇太子アルと婚約を強いられた公爵令嬢レフィリア。幼い彼の乳母として、時には母として、彼女は彼を支え続ける。しかし、魔法の力で若さを保つレフィリアは、宮廷内外で「魔女」と噂され、婚約破棄の陰謀に巻き込まれる。 それでもアルは成長し、15歳の若き皇帝として即位。彼は堂々と宣言する。 「魔女だろうと何だろうと、彼女は俺の妃だ!」 皇帝として、夫として、アルはレフィリアを守り抜き、共に帝国の未来を築いていく。 子どもたちの誕生、新たな改革、そして帝国の安定と繁栄――二人が歩む道のりは困難に満ちているが、その先には揺るぎない絆と希望があった。 恋愛・政治・陰謀が交錯する、壮大な愛と絆の物語! 運命に翻弄されながらも未来を切り開く二人の姿に、きっと胸を打たれるはずです。 ---

悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」 ――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。 処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。 今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!? 己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?! 襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、 誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、  誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。 今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?

112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。 目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。 助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。

変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!

utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑) 妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?! ※適宜内容を修正する場合があります

処理中です...