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本編

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 池に突き落とした人物も、全て把握済み。この体、どうにも記憶力が怪物のようで、一度見たり聞いたり、経験したことは全て録画のように覚えているのだ。

「お父様、お母様。やっと目が覚めましたわ。私、婚約破棄します!」

 家に帰るなり、びしょびしょになった服を着替えて両親のいる部屋へ直行した。

「おや? やっとかい?」

「あらまぁ、遅い目覚めねぇ」

 うぐっ!?

 私の両親はどうやらローン様と侍女との関係をご存知だった様子。

「実は、かくかくしかじかでーー」

 そうして、私は婚約破棄する計画にいたるまでの経緯を語った。それはもう身振り手振り全てを使ってね!

「なるほど、池に突き落とされてその先に2人がいたと?」

「これは流石にやりすぎよ。我が家を舐めているのかしら?」

 多分、舐められているのは私だろう。我が家は、結構歴史のある家系だ。自分のせいで、家の名を貶めていたことに、申し訳なさと恥ずかしさが込み上げた。

「痩せるのは自分でできます。ですが、長期になると思うので私が病気になったことにしてくれませんか。領地に行って痩せて戻ってこようと思います」

 結構なわがままを言っている自信がある。だけど、両親は快諾してくれた。

「痩せてなかったらぶちのめす」というありがたいお言葉付きで私は領地へ向かうことになったのだった。

 ローン様と愛し合う仲であるジュリは、いつの間にか仕事を辞めていた。どうやら、私からのイジメが怖いらしいため、ローン様の家付の侍女として雇ってもらったらしい。ふーん、そう。ぐらいにしか思わなかった。
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