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転生
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俺は、いつものように高校へ通うための通学路をひたすら自転車で漕いでいた。そんな時だ、急に道の角から小学生が飛び出してきた。
「うぉ!? 危ねぇ‼︎」
この距離じゃ、ブレーキを踏んでも無理だと判断した俺は、車道に出たのだが……
ーーキキィ! ドンッ‼︎
見事に大型トラックに衝突してしまったのだ。周囲からは悲鳴と怒号が聞こえてくる。
やっちまったなぁと思いながら、俺は意識を失った。
んで、目が覚めたらコレ。
「黄色は幸せの色! イエロー‼︎」
「青は……」
目の前では5人のヒーローたちが決め台詞を吐きながら、変身後のポーズを取っている最中。その間、俺たち悪役は何故か体操座りで待っていた。おかしいだろ、おい!
「ワルワルコーゲキ」
どういう原理か知らないが、手から出るビームで俺はヒーローたちを吹き飛ばした。
「きゃーーーーーーーー!?」
「うおーーーーーーー!?」
「なにぃ!?」
「グハァーーーーーーー!?」
「いやーん‼︎」
1人、いや2人ほど変な奴がいたが、無事お空の彼方へと飛んでいった。
「よーし、いっちょあがり‼︎」
パンパンと手を叩き、悪の組織の本部へと帰ろうとした俺。しかし、同僚達の手がそれを阻んだ。
「おい、新入り! お前、なんてことしてくれたんだ‼︎」
「そうだ、ヒーローの変身中は待たないといけないんだよ‼︎」
「お前はアホなのか!?」
いや、俺はアホじゃない。常識に縛られた先輩方にオレは言ってやった。
「それ、意味ないですよね?」
「「「「は?」」」」
「だってさ、俺たちってこの世界を悪に染めるために来たんだろ⁇ なのになんでヒーローの弱点をついちゃいけないのさ」
「いや、でも暗黙の常識で……」
「あんもくぅ? あっはっはっは! やめましょうよ、そんな常識。そもそも、俺らはこの世界の人間じゃないんすよ? それに、今日俺があの変身中に攻撃しなかったら……」
ごくりと先輩方の喉が鳴る。ニヤリとオレの頬が緩んだ。
「お空の星っすよ? それよりもチャチャッとやった方がよくないっすか?」
被っていたマスクを取り、呆然としている先輩方に囁く。まさに悪魔の囁き。
「確かに……」
「たしかに」
「言われてみれば」
「何故俺たちは手足も出ずに死ななきゃならないんだ?」
「おい、新入り! お前のいう通りだぜ‼︎」
スッキリした顔の先輩たちは、俺の肩をバンバン叩きながら組織へ今度こそ戻った。帰りにラーメン奢ってくれた。美味かった。
「うぉ!? 危ねぇ‼︎」
この距離じゃ、ブレーキを踏んでも無理だと判断した俺は、車道に出たのだが……
ーーキキィ! ドンッ‼︎
見事に大型トラックに衝突してしまったのだ。周囲からは悲鳴と怒号が聞こえてくる。
やっちまったなぁと思いながら、俺は意識を失った。
んで、目が覚めたらコレ。
「黄色は幸せの色! イエロー‼︎」
「青は……」
目の前では5人のヒーローたちが決め台詞を吐きながら、変身後のポーズを取っている最中。その間、俺たち悪役は何故か体操座りで待っていた。おかしいだろ、おい!
「ワルワルコーゲキ」
どういう原理か知らないが、手から出るビームで俺はヒーローたちを吹き飛ばした。
「きゃーーーーーーーー!?」
「うおーーーーーーー!?」
「なにぃ!?」
「グハァーーーーーーー!?」
「いやーん‼︎」
1人、いや2人ほど変な奴がいたが、無事お空の彼方へと飛んでいった。
「よーし、いっちょあがり‼︎」
パンパンと手を叩き、悪の組織の本部へと帰ろうとした俺。しかし、同僚達の手がそれを阻んだ。
「おい、新入り! お前、なんてことしてくれたんだ‼︎」
「そうだ、ヒーローの変身中は待たないといけないんだよ‼︎」
「お前はアホなのか!?」
いや、俺はアホじゃない。常識に縛られた先輩方にオレは言ってやった。
「それ、意味ないですよね?」
「「「「は?」」」」
「だってさ、俺たちってこの世界を悪に染めるために来たんだろ⁇ なのになんでヒーローの弱点をついちゃいけないのさ」
「いや、でも暗黙の常識で……」
「あんもくぅ? あっはっはっは! やめましょうよ、そんな常識。そもそも、俺らはこの世界の人間じゃないんすよ? それに、今日俺があの変身中に攻撃しなかったら……」
ごくりと先輩方の喉が鳴る。ニヤリとオレの頬が緩んだ。
「お空の星っすよ? それよりもチャチャッとやった方がよくないっすか?」
被っていたマスクを取り、呆然としている先輩方に囁く。まさに悪魔の囁き。
「確かに……」
「たしかに」
「言われてみれば」
「何故俺たちは手足も出ずに死ななきゃならないんだ?」
「おい、新入り! お前のいう通りだぜ‼︎」
スッキリした顔の先輩たちは、俺の肩をバンバン叩きながら組織へ今度こそ戻った。帰りにラーメン奢ってくれた。美味かった。
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