6 / 15
6.第二王子襲来
しおりを挟む
「やぁ、こんにちは」
「ご機嫌よう、セーバ様」
お兄様といつものように鍛錬を終え、お風呂に入っていた私は突然の第二王子の訪問に驚いていた。今までは、年に1回誕生祭で会うぐらいだったから。
「あはは、そんな硬っ苦しい挨拶はやめよう? 私たちの間には切っても切れない繋がりがあるのは知っているでしょう?」
「……」
主に一方的な主従関係ですがね!
ニコニコと軽薄な笑みを浮かべるのはセーバ様。何を隠そう私に印をつけた人物だ。
注意深く観察していると、突然第二王子がにじり寄ってきた。
「ねぇルビー。印に何かした? 前、消えそうになってたんだけど……」
そっと囁くように言われた言葉に一瞬息が止まる。
待て待て、落ち着くんだ私。印が消えそうだと?
聞き間違いとかじゃないよね?
「は? 消えそう、とは?」
「うん、だからね。ルビーにかけていた魔法刻印が破棄されそうになってたんだ。慌てて全魔力を行使して抑えたけど間違ってたら君との繋がりが消えていたところだったよ」
「へ、へぇ~」
つまり、私はあなたより強くなりかけているってことでいいんでしょうか⁉︎
空返事を返しながら私の心の中のミニルビー達は狂喜乱舞していた。
「ねぇ、ルビー。本当に何かやってない?」
「やってないですわ」
探るような目つきのセーバ様に、ケロッとした顔で嘘をつく。実は護身術も魔法も勉強も必死こいてやってるんだけどね!
それは言ったら終わりなので黙っておくには越したことはないのだ。あと少しでこの印が消えて、死亡フラグとおさらばできる! そんな浮かれた様子の私は視界の端でセーバ様が魔力刻印を発動させたのに気づかなかった。
○○○
「……びー。るびー。ルビー」
「ん……」
「起きて、私はそろそろ帰らないといけないから」
「もうちょっと……」
ふわふわと漂う意識の中、誰かの困った声が聞こえる。
「んー、もう夕暮れなんだけど……」
「んぅ~」
しょうがない、起きるか……私は諦めて瞼を開けた。
ーーーーが、
「ひぃっ!?」
視界にうつる、ドアップの顔に悲鳴をあげる。何故なら、相手がセーバ様だったから。
「あ、起きたね。おはよう。いきなり倒れてしまったからびっくりしたよ。何か疲れることでもやったの?」
「あ、いえ。あ、でも夜遅くまで本を読んでいたのでそのせいかと……も、申し訳ございませんでした。おほ、おほほほほほほ……」
「ふふふ。じゃあ、私はもう行くね」
「は、はい! お気をつけて」
「うん、じゃあまた会おうね」
「……」
黙って手を振る。セーバ様が死亡フラグの原因だと知って、セーバ様に喜んで会いに行くやつは頭のネジが数本おかしい奴しかいない。私は正常なの!
ガタゴトとセーバ様の乗った馬車が屋敷の門を通過して見えなくなったくらいで、私は急いで屋敷に戻った。こうしちゃいられない、もう少しで印が解除できるんだから!
「ご機嫌よう、セーバ様」
お兄様といつものように鍛錬を終え、お風呂に入っていた私は突然の第二王子の訪問に驚いていた。今までは、年に1回誕生祭で会うぐらいだったから。
「あはは、そんな硬っ苦しい挨拶はやめよう? 私たちの間には切っても切れない繋がりがあるのは知っているでしょう?」
「……」
主に一方的な主従関係ですがね!
ニコニコと軽薄な笑みを浮かべるのはセーバ様。何を隠そう私に印をつけた人物だ。
注意深く観察していると、突然第二王子がにじり寄ってきた。
「ねぇルビー。印に何かした? 前、消えそうになってたんだけど……」
そっと囁くように言われた言葉に一瞬息が止まる。
待て待て、落ち着くんだ私。印が消えそうだと?
聞き間違いとかじゃないよね?
「は? 消えそう、とは?」
「うん、だからね。ルビーにかけていた魔法刻印が破棄されそうになってたんだ。慌てて全魔力を行使して抑えたけど間違ってたら君との繋がりが消えていたところだったよ」
「へ、へぇ~」
つまり、私はあなたより強くなりかけているってことでいいんでしょうか⁉︎
空返事を返しながら私の心の中のミニルビー達は狂喜乱舞していた。
「ねぇ、ルビー。本当に何かやってない?」
「やってないですわ」
探るような目つきのセーバ様に、ケロッとした顔で嘘をつく。実は護身術も魔法も勉強も必死こいてやってるんだけどね!
それは言ったら終わりなので黙っておくには越したことはないのだ。あと少しでこの印が消えて、死亡フラグとおさらばできる! そんな浮かれた様子の私は視界の端でセーバ様が魔力刻印を発動させたのに気づかなかった。
○○○
「……びー。るびー。ルビー」
「ん……」
「起きて、私はそろそろ帰らないといけないから」
「もうちょっと……」
ふわふわと漂う意識の中、誰かの困った声が聞こえる。
「んー、もう夕暮れなんだけど……」
「んぅ~」
しょうがない、起きるか……私は諦めて瞼を開けた。
ーーーーが、
「ひぃっ!?」
視界にうつる、ドアップの顔に悲鳴をあげる。何故なら、相手がセーバ様だったから。
「あ、起きたね。おはよう。いきなり倒れてしまったからびっくりしたよ。何か疲れることでもやったの?」
「あ、いえ。あ、でも夜遅くまで本を読んでいたのでそのせいかと……も、申し訳ございませんでした。おほ、おほほほほほほ……」
「ふふふ。じゃあ、私はもう行くね」
「は、はい! お気をつけて」
「うん、じゃあまた会おうね」
「……」
黙って手を振る。セーバ様が死亡フラグの原因だと知って、セーバ様に喜んで会いに行くやつは頭のネジが数本おかしい奴しかいない。私は正常なの!
ガタゴトとセーバ様の乗った馬車が屋敷の門を通過して見えなくなったくらいで、私は急いで屋敷に戻った。こうしちゃいられない、もう少しで印が解除できるんだから!
2
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【短編】転生悪役令嬢は、負けヒーローを勝たせたい!
夕立悠理
恋愛
シアノ・メルシャン公爵令嬢には、前世の記憶がある。前世の記憶によると、この世界はロマンス小説の世界で、シアノは悪役令嬢だった。
そんなシアノは、婚約者兼、最推しの負けヒーローであるイグニス殿下を勝ちヒーローにするべく、奮闘するが……。
※心の声がうるさい転生悪役令嬢×彼女に恋した王子様
※小説家になろう様にも掲載しています
婚約破棄したい悪役令嬢と呪われたヤンデレ王子
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「フレデリック殿下、私が十七歳になったときに殿下の運命の方が現れるので安心して下さい」と婚約者は嬉々として自分の婚約破棄を語る。
それを阻止すべくフレデリックは婚約者のレティシアに愛を囁き、退路を断っていく。
そしてレティシアが十七歳に、フレデリックは真実を語る。
※王子目線です。
※一途で健全?なヤンデレ
※ざまああり。
※なろう、カクヨムにも掲載
【完結】帰れると聞いたのに……
ウミ
恋愛
聖女の役割が終わり、いざ帰ろうとしていた主人公がまさかの聖獣にパクリと食べられて帰り損ねたお話し。
※登場人物※
・ゆかり:黒目黒髪の和風美人
・ラグ:聖獣。ヒト化すると銀髪金眼の細マッチョ
ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
乙女ゲームの悪役令嬢は断罪回避したらイケメン半魔騎士に執着されました
白猫ケイ
恋愛
【本編完結】魔法学園を舞台に異世界から召喚された聖女がヒロイン王太子含む7人のイケメンルートを選べる人気のゲーム、ドキ☆ストの悪役令嬢の幼少期に転生したルイーズは、断罪回避のため5歳にして名前を変え家を出る決意をする。小さな孤児院で平和に暮らすある日、行き倒れの子供を拾い懐かれるが、断罪回避のためメインストーリー終了まで他国逃亡を決意。
「会いたかったーー……!」
一瞬何が起きたか理解が遅れる。新聞に載るような噂の騎士に抱きすくめられる様をみた、周囲の人がざわめく。
【イラストは自分で描いたイメージです。サクッと読める短めのお話です!ページ下部のいいね等お気軽にお願いします!執筆の励みになります!】
執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?
陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。
この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。
執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め......
剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。
本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。
小説家になろう様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる