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第157話 エピローグ②緊急ライブ配信
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ユリナと麗央は書類上でも歴とした夫婦である。
ただし、それは時に異世界と呼ばれる鏡合わせの世界での話だ。
二人の夫婦関係は血を交わし合う盟約であり、まさに比翼連理の仲だった。
しかし、この世界で二人は旧日本で暮らしている。
人間界のルールに従わざるを得ない。
今年、二十二歳になるユリナ。
十八歳になった麗央。
法律上は麗央がようやく結婚を許される年齢に達したばかりなのだ。
(まぁ、いずれバレて変な弁明をするより自分から、発表した方がましだわ。レオもそう言ってたし)
麗央に聞いたら、そのような事実はないと顔を青くしたことだろう。
ユリナは家を出る前に麗央と交わしたあの軽いやり取りだけで合意に達したと考えている。
二人の将来にも関わりかねない重大な事柄だが、彼女は妙なところが無防備で無頓着と言えよう。
ともあれ麗央には”お花摘み”と称しライブ配信の機材を引き連れ、ユリナはこっそりと家を出た。
緊急発表のライブを配信する場は『婚姻届け』を出す役場である。
かねてより信用出来る人間と判断した人物――いわゆる芸能レポーターにも連絡を取った。
「みんな~、リリーだよ~♪ 今日はみんなに発表しないといけないことがあるの」
緊急発表。
重大発表。
ゲリラライブ。
不穏な見出しと共に始まったユリナの配信だったが、本人は至って明るい表情をしていた。
影を感じさせるものは一切なかった。
むしろあれ以来、自然に見せられるようになった花笑みを絶やさない。
幸せに満ち溢れていると言っても過言ではないだろう。
「実は私……」
急に神妙な表情になったユリナの様子にコメント欄もざわざわし始める。
何か、よくない発表があるのではないかと勘繰る書き込みもあり、俄かに騒然とする中、ユリナが口を開いた。
「結婚したの♪」
その瞬間、世界が凍り付いた。
この様子は当然、ユリナのチャンネルからYotubeで全世界に向け配信されている。
そればかりか、彼女は芸能レポーターに内容をリークし、テレビでの中継まで行われていたのである。
Yotubeを知らない世代にも『歌姫リリー』の名は浸透していた。
(あれ? おかしいわね)
しかし、少しばかりの違和感をユリナは抱く。
コメント欄が思っていたよりも静かだった。
一部は彼女が想定していた通りの書き込みである。
「嘘だ」「裏切られた」と嘆きの声を上げるのは主に男性陣だ。
その一方で「知ってた」「だと思った」と非常に冷静な書き込みも目立つ。
彼らは実に細かいところまで観察しており、左手薬指に薄っすらとしか見えない痕に気付いていたのだと言う。
ユリナも絶句するしかない。
多少の炎上を覚悟していたのに蓋を開けてみれば、何と言うことはない。
むしろ結婚の正式発表を歓迎し、祝福するコメントで埋もれていく。
世界の『歌姫』と呼ばれる人気YoTuberの電撃結婚。
しかも相手は日本ではようやく結婚の出来る年齢に達したばかりの一般男性。
これが話題に上らないはずもなく、大きな盛り上がりを見せる。
中でも相手の男性――バケツマンに対する考察や推理はこれ以上に無いバズり具合だった。
ただし、それは時に異世界と呼ばれる鏡合わせの世界での話だ。
二人の夫婦関係は血を交わし合う盟約であり、まさに比翼連理の仲だった。
しかし、この世界で二人は旧日本で暮らしている。
人間界のルールに従わざるを得ない。
今年、二十二歳になるユリナ。
十八歳になった麗央。
法律上は麗央がようやく結婚を許される年齢に達したばかりなのだ。
(まぁ、いずれバレて変な弁明をするより自分から、発表した方がましだわ。レオもそう言ってたし)
麗央に聞いたら、そのような事実はないと顔を青くしたことだろう。
ユリナは家を出る前に麗央と交わしたあの軽いやり取りだけで合意に達したと考えている。
二人の将来にも関わりかねない重大な事柄だが、彼女は妙なところが無防備で無頓着と言えよう。
ともあれ麗央には”お花摘み”と称しライブ配信の機材を引き連れ、ユリナはこっそりと家を出た。
緊急発表のライブを配信する場は『婚姻届け』を出す役場である。
かねてより信用出来る人間と判断した人物――いわゆる芸能レポーターにも連絡を取った。
「みんな~、リリーだよ~♪ 今日はみんなに発表しないといけないことがあるの」
緊急発表。
重大発表。
ゲリラライブ。
不穏な見出しと共に始まったユリナの配信だったが、本人は至って明るい表情をしていた。
影を感じさせるものは一切なかった。
むしろあれ以来、自然に見せられるようになった花笑みを絶やさない。
幸せに満ち溢れていると言っても過言ではないだろう。
「実は私……」
急に神妙な表情になったユリナの様子にコメント欄もざわざわし始める。
何か、よくない発表があるのではないかと勘繰る書き込みもあり、俄かに騒然とする中、ユリナが口を開いた。
「結婚したの♪」
その瞬間、世界が凍り付いた。
この様子は当然、ユリナのチャンネルからYotubeで全世界に向け配信されている。
そればかりか、彼女は芸能レポーターに内容をリークし、テレビでの中継まで行われていたのである。
Yotubeを知らない世代にも『歌姫リリー』の名は浸透していた。
(あれ? おかしいわね)
しかし、少しばかりの違和感をユリナは抱く。
コメント欄が思っていたよりも静かだった。
一部は彼女が想定していた通りの書き込みである。
「嘘だ」「裏切られた」と嘆きの声を上げるのは主に男性陣だ。
その一方で「知ってた」「だと思った」と非常に冷静な書き込みも目立つ。
彼らは実に細かいところまで観察しており、左手薬指に薄っすらとしか見えない痕に気付いていたのだと言う。
ユリナも絶句するしかない。
多少の炎上を覚悟していたのに蓋を開けてみれば、何と言うことはない。
むしろ結婚の正式発表を歓迎し、祝福するコメントで埋もれていく。
世界の『歌姫』と呼ばれる人気YoTuberの電撃結婚。
しかも相手は日本ではようやく結婚の出来る年齢に達したばかりの一般男性。
これが話題に上らないはずもなく、大きな盛り上がりを見せる。
中でも相手の男性――バケツマンに対する考察や推理はこれ以上に無いバズり具合だった。
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