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第34話 キャベツ畑に天使は来ない
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朝日が射し込み、自然な起床を迎えた二人はこれまた実に対照的な寝起き姿だった。
元来、雪女さながらに低い体温のユリナは温もりと安心感を得られたのか、熟睡が出来た満足感のある表情だ。
両腕を伸ばし、欠伸をしているのは彼女が低血圧で朝に弱いせいでもあった。
麗央は寝られたもののどこか、疲れ切った表情をしている。
目の前で伸びをしている猫のような生き物の無自覚な色気でかなり長い時間、『何か』と戦っていた結果だった。
「これで私とレオの赤ちゃんがやって来るんだねっ☆」
「そうだね……」
麗央は「朝だから」「生理現象で敏感なんだから、やめてくれ」と喉まで出かかった言葉を無理に飲み込む。
ユリナは麗央の股の間のモノが元気になっているのに気付いたものの見て見ぬ振りをした。
彼女にとって、麗央の体の一部が変化していようとも麗央は麗央という認識しかない。
自分が成熟した女性の体になったことは何となく、理解していても麗央のモノがどういう役割を果たすのかまでは考えていないのだ。
そのせいか、生理現象だけではなく、キャミソールがはだけて刺激的な見た目になっているせいで麗央の麗央が元気いっぱいになっていても気にしない。
起きて早々、飽き足らないとばかりに彼に飛びつくように抱き着いた。
「今、触られると危ないな……」とは言いだせない麗央だが、そんなユリナを邪険に扱うことなく、しっかり応対しようとする。
ところが寝不足が祟ったのだろう。
いつものように力が入らず、麗央は完全に押し倒されてしまった。
仰向けになった麗央の腰の上にキャミソールがはだけ、半裸になっているユリナが騎乗している。
傍目に見られると勘違いされかねない体勢だった。
「レオ。どうしたの? 元気ないみたいね」
そう言って、麗央の胸元を指ですっと撫でるユリナの所作はなぜか、蠱惑的だ。
そういうつもりはないのに艶めかしい所作がさらに麗央の一部を元気にさせていた。
麗央は「いや、元気だよ。君のせいで」とはとても言うことが出来ない。
言ったところでユリナは「どういうこと?」と小首を傾げるだけなのが分かっているからだ。
「慣れないことをしたから、中々寝られなかっただけなんだ」
「そうなの? 私のせいかしら? そうだわ! 私がお粥を作ってあげる」
ユリナを心配させないように言ったつもりの麗央だったが、彼女が朝食を作ると嬉しそうに言ったのでこれはいけないと思った。
以前、麗央が調子を崩した時のことだ。
お粥を作るとユリナが言い出した。
出来上がった白粥は見た目だけは普通だった。
やや水分が多すぎるのか、しゃばしゃばした感じが否めない以外はユリナにしては上出来である。
「あ~んしてあげる」とどこか、嬉しそうなユリナに口まで運んでもらい、一口を含んで違和感を感じた。
「何でこんなに甘いんだ!?」と……。
ユリナはあっけらかんとした様子で砂糖を入れ、元気が出るようにと蜂蜜まで入れたことを白状した。
しまいにはコンデンスミルクを入れることを考えていたと聞き、麗央は青褪めるしかなかった。
「大丈夫だよ。元気は元気なんだ」
麗央は「一部が」とは言えない。
ユリナはわざとやっているのかというくらい麗央の腰の上で体を動かしている。
特に質が悪いのは麗央の分身の上に完全に乗っかり、刺激してくることだ。
「遠慮しなくてもいいじゃない。この私が作ってあげるんだよ? もっと喜んでもいいんだって☆」
「いや、リーナ! そんなに動いたら、危ないんだ」
「んんん? 何がなの?」
手遅れだった。
もう麗央にも止められない。
生理現象なのだから。
無自覚に動いているのに自分でするのよりもずっと気持ちが良かったとは言えない麗央はむくりと上半身を起こすと「ねぇ、レオ。また、変な匂いしない?」ときょとんとした顔をしているユリナに向かって、「お風呂に入ろうか」と言うしかなかった。
その後、キャベツ畑で落胆した二人の姿が見受けられることになるが別の話である。
元来、雪女さながらに低い体温のユリナは温もりと安心感を得られたのか、熟睡が出来た満足感のある表情だ。
両腕を伸ばし、欠伸をしているのは彼女が低血圧で朝に弱いせいでもあった。
麗央は寝られたもののどこか、疲れ切った表情をしている。
目の前で伸びをしている猫のような生き物の無自覚な色気でかなり長い時間、『何か』と戦っていた結果だった。
「これで私とレオの赤ちゃんがやって来るんだねっ☆」
「そうだね……」
麗央は「朝だから」「生理現象で敏感なんだから、やめてくれ」と喉まで出かかった言葉を無理に飲み込む。
ユリナは麗央の股の間のモノが元気になっているのに気付いたものの見て見ぬ振りをした。
彼女にとって、麗央の体の一部が変化していようとも麗央は麗央という認識しかない。
自分が成熟した女性の体になったことは何となく、理解していても麗央のモノがどういう役割を果たすのかまでは考えていないのだ。
そのせいか、生理現象だけではなく、キャミソールがはだけて刺激的な見た目になっているせいで麗央の麗央が元気いっぱいになっていても気にしない。
起きて早々、飽き足らないとばかりに彼に飛びつくように抱き着いた。
「今、触られると危ないな……」とは言いだせない麗央だが、そんなユリナを邪険に扱うことなく、しっかり応対しようとする。
ところが寝不足が祟ったのだろう。
いつものように力が入らず、麗央は完全に押し倒されてしまった。
仰向けになった麗央の腰の上にキャミソールがはだけ、半裸になっているユリナが騎乗している。
傍目に見られると勘違いされかねない体勢だった。
「レオ。どうしたの? 元気ないみたいね」
そう言って、麗央の胸元を指ですっと撫でるユリナの所作はなぜか、蠱惑的だ。
そういうつもりはないのに艶めかしい所作がさらに麗央の一部を元気にさせていた。
麗央は「いや、元気だよ。君のせいで」とはとても言うことが出来ない。
言ったところでユリナは「どういうこと?」と小首を傾げるだけなのが分かっているからだ。
「慣れないことをしたから、中々寝られなかっただけなんだ」
「そうなの? 私のせいかしら? そうだわ! 私がお粥を作ってあげる」
ユリナを心配させないように言ったつもりの麗央だったが、彼女が朝食を作ると嬉しそうに言ったのでこれはいけないと思った。
以前、麗央が調子を崩した時のことだ。
お粥を作るとユリナが言い出した。
出来上がった白粥は見た目だけは普通だった。
やや水分が多すぎるのか、しゃばしゃばした感じが否めない以外はユリナにしては上出来である。
「あ~んしてあげる」とどこか、嬉しそうなユリナに口まで運んでもらい、一口を含んで違和感を感じた。
「何でこんなに甘いんだ!?」と……。
ユリナはあっけらかんとした様子で砂糖を入れ、元気が出るようにと蜂蜜まで入れたことを白状した。
しまいにはコンデンスミルクを入れることを考えていたと聞き、麗央は青褪めるしかなかった。
「大丈夫だよ。元気は元気なんだ」
麗央は「一部が」とは言えない。
ユリナはわざとやっているのかというくらい麗央の腰の上で体を動かしている。
特に質が悪いのは麗央の分身の上に完全に乗っかり、刺激してくることだ。
「遠慮しなくてもいいじゃない。この私が作ってあげるんだよ? もっと喜んでもいいんだって☆」
「いや、リーナ! そんなに動いたら、危ないんだ」
「んんん? 何がなの?」
手遅れだった。
もう麗央にも止められない。
生理現象なのだから。
無自覚に動いているのに自分でするのよりもずっと気持ちが良かったとは言えない麗央はむくりと上半身を起こすと「ねぇ、レオ。また、変な匂いしない?」ときょとんとした顔をしているユリナに向かって、「お風呂に入ろうか」と言うしかなかった。
その後、キャベツ畑で落胆した二人の姿が見受けられることになるが別の話である。
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