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第30話 歌姫は知らない②

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 ユリナが覚束ない指で当たりを付け、ブラジャーを外すと押さえられていた形の良い双丘が勢いよく、零れ落ちそうになった。
 童顔にも関わらず成熟した双丘は重力にも負けず、つんと上を向いており、穢れを知らないきれいなピンク色の蕾がまるで果実のように麗央の目を捉えて、離さない。

 麗央は思わず手を伸ばし、直に触れたくなる欲求を不屈の忍耐力で耐えてみせた。
 彼がまだ大人ではなく子供だった頃、少しだけ大人だったユリナが大胆なビキニの水着で迫ってきたことがあるのを思い出した。
 事故だったとはいえ、彼女の胸を直接、手で揉んでしまったがそれほどに興奮を覚えなかったことを覚えている。
 今はどうしてこんなにもユリナのことを愛おしく、思うんだろうかと考えることで麗央はどうにか、心の平静を取り戻す。

 そして、気付いたのである。
 何も知らないユリナに目隠しをして、いけないことをしている。
 してはならないことをしている背徳感が自分を興奮させているということを……。

 ユリナの手にある薄いピンク色のレースデザインのブラジャーが彼女の手を離れ、ゆっくりとシーツの上に落ちるのを呆然と見つめる麗央を他所に彼女の手はブラジャーと同じ、薄いピンク色のレースのショーツにかけられた。
 麗央がゴクリと生唾を飲み込み、その様子を凝視しているとは知らないユリナは何とも頼りない紐を覚束ない指先で解いた。

「全部、脱いだわ」

 動揺を感じさせない落ち着いた声でそう宣言するユリナだったが、心無し顔は桜色に染まっている。
 しかし、麗央の目が捉えたのは彼女の手を離れ、シーツの上に落ちたショーツが薄っすらと濡れていることだった。

(リーナも興奮しているのかな)

 そう考えるだけで麗央の分身は、今にも暴発しそうなほどに自己主張してきた。
 どうにか堪えていた麗央の理性の箍が外れた。
 
 体毛が薄いのか、毛の生えていないせいでユリナの秘めた場所が、もぞもぞと動くたびに艶めかしく、露わになり麗央の理性を激しく刺激するのだ。
 きれいなサーモンピンクの色をしたユリナ自身が、艶めかしい色香を放ち、まるで自分を誘っているようだ。
 麗央は確かにそんな錯覚を抱いていた。
 しかし、性的な知識が欠けているのはユリナだけではない。
 艶めかしく誘う彼女を目に留めながら、麗央はユリナの脱いだショーツを手に取るとそれで自らの分身を包み、握り締めるのだった。
 欲望の赴くままに……。



「ねぇ? レオ、大丈夫なの? 何だか、息が荒いけど具合悪いの?」
「だ、大丈夫だよ。何でもないから」

 やや上ずった声で返事をした麗央はしまったという顔をする。
 幸いにもユリナは目隠しをしているせいで状況を把握していない。
 もしも見ていたら、顔を真っ赤にして卒倒したことだろう。

「本当? 何か、変な匂いがしない?」
「そ、そうかな。気のせいだよ、きっと」
「本当?」

 麗央はユリナの身体を想像し、一人でしていた時には考えられないくらいの興奮を覚えていた。
 信じられないほどに溢れて止まらない白濁の量に自身が驚いたほどである。
 それほどに出しきっても彼の分身はまだ、元気なままだった。

 人という生き物はさらなる欲望を抱き、上を目指そうとする生き物でもある。
 麗央もまた、人だった。
 彼の中でゆっくりと鎌首をもたげた欲望はもう抑えられそうになかった。

「あのさ、リーナ。もっと効果を上げる方法があったら、やってくれるかな?」
「そんなのあるの? やるわよ。何をすれば、いいの? 目隠しは外した方が……」
「それはそのまま、付けておいてよ。これをね。こうやって……」

 目隠しを外そうとするユリナにギョッとした麗央は強引にも彼女の手を握り、自らの分身に副えさせた。

「んんん? レオ。何なの? 何か、これ熱いけど。それに何か、硬いわ」
「うっ。リ、リーナ。もう少し、優しく握らないと駄目だよ」
「そうなの? そうすると赤ちゃんが来るの?」
「そ、そうだね。うん。きっと、来るよ」

 ユリナが本当のことを知ったら、怒るだろうか。
 幻滅するだろうか。
 そう思いながらも麗央は己を止めることが出来なかった。
 彼女の白魚のような指が自分の分身を握り、優しく撫でてくれている。

(あっ。これはやばいな!)

 麗央がそう気付いた時にはもう遅かった。
 ユリナは何も知らずに彼の分身を扱いているのにその手捌きが、えらく手慣れていたのだ。
 あまりの快感に麗央は全く、堪えることが出来ず、自分で出した一度目よりも勢いよく、放っていた。

「ひゃぅ。レオ。何か、飛んできたわ!?」

 麗央はやってしまったと今更のように臍を噛むが、時既に遅い。
 ユリナの手が止まらない以上、麗央の発射も止められない。

 ユリナの顔や体、足が自らの出した白く濁った欲望の色で染められていくのを見て、麗央の心に浮かぶのは決して、罪悪感だけではなかった。
 最低のことをしていると思いながらもまた、したいと考えてしまう自分がいることに麗央は気付いてしまったのだ。

「お風呂に入ろうか」

 ユリナが「うん♪」とえらく元気よく返事をするので麗央の中で再び、罪悪感が増したのは言うまでもなかった。

 しかし、この背徳的な睦み合いがまさか常習化し、一週間に一度は行われるようになるとはこの時の麗央が知る由もない。
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