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第18話 烏令嬢、不退転の決意

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 これが腐れ縁と言うものだろう。
 お兄ちゃんカミーユとのこれまでに思いを馳せていた。
 耽っていた時間がどれくらいだったのかは分からない。

 長かったかもしれないし、短かったかもしれないが腐れ縁も悪くないのではないかと思い始めている。
 案外どころか、お兄ちゃんは鍛えがいのあるいい生徒なのだ。
 あの何も出来なかったお兄ちゃんが段々と成長していく。
 それを見守る立場にあるというのも悪くないとも思っている。

 そして、あたしが十二歳になり、冒険者ギルドに登録出来るという話にようやく、戻るのである。
 ここに辿り着くまでが長かった。
 冒険者登録しているのがジェシージュスタンだけでも問題はない。
 ジェシーが単独で依頼を達成したことに出来るので報酬を山分けにする必要がなく、十分に稼げたからだ。
 稼げるとは言ってもどうにか、屋敷を維持しながら三人でが出来る程度に過ぎない。

 それではいずれ限界が来ることは目に見えている。
 ジェシーもので以前に比べたら、かなり腕が上がってはいる。
 今なら、あたしが特に手を貸す必要もなく、オークの討伐依頼でもこなせるだろう。

 だけど、それでは駄目。
 単独でこなせる依頼だけでは駄目なのだ!
 ギルドは単独行動ソロの冒険者を野放しにしていない。
 無茶をして、死んでも構わないというスタンスを取らない理由は、では済まない場合があるからだ。
 単独行動の結果、災害が起こってしまえば、その責任は誰が盗るのか?
 ギルドはそのリスクを減らしたいのだろう。
 前世で大貴族の令嬢として、領地の経営に携わることもあったから、その辺りの事情は分かる。

 だから、より実入りのいい依頼がソロでは受けられないようになっているのも甘んじて受けよう。
 などとは言えない。
 そんなことではバール家の再興なんて、夢のまた夢になってしまう。

 では、どうすればいいのか?
 簡単なのは徒党パーティーを組むことだ。
 面倒なことにこのパーティーにも冒険者個人と同じようにランクが設けられているのは、よく考えられていると思う。
 個人で評価されている冒険者であってもいざ集団行動になれば、どうなるのかは分からない。
 そこでパーティーは気の合った仲間や同郷の者といった固定で組まれることが多いらしい。

 残念なことにジェシーは、集団行動にまるで向いていなかったのだ。
 お兄ちゃんに「女みたいな名前」と突っかかり、殴られたのは何もお兄ちゃんが気に入らなかったではない。
 あたしに仕えているのに態度がアレなのでお察し出来ると思う。
 ジェシーの頭の辞書にはコミュニケーション能力や妥協という単語がないんだろう。

 そして、もっと残念なことはあたしもジェシーのことをあまり、言えないということ。
 前世でも一人ぼっちで空回りをしていた記憶しかない。
 思い返せば、反省することばかりだ。
 オッシュ嬢エマニュエルが投げかけてくれた言葉やシュフラン嬢イヴォンヌのさりげない気遣い。
 無下にしたのは全て、あたしが悪いのだ。

 つまり、あたしの出した結論はこうなった。
 組む人がいないのなら、あたしらでやればいいだけなのだ! と……。
 それをようやく、実行に移すことが出来る。

「だって、あたしは十二歳だから!」
「はいはい。お嬢様。それ、何度目ですか?」
「まだ、たったの六回目だよ? ベラベランジェールも喜んでよ」
(もう六回目だろう、お嬢ちゃん)

 何と薄情な者らでしょう、などと落ち込んだりはしない。
 あたしは負けるものか。

 気合十分でギルドに顔を出したあたしは何食わぬ顔で声をかけてくるお兄ちゃんに口が半開きにならざるを得ない。

「やあ、ロゼ。今日から一緒に頑張れるね。パーティーは楽しみだな」

 爽やかな笑顔で何、言っているのですか、お兄ちゃん……。
 パーティーはパーティーでも違うし。
 それ以前に誰がお兄ちゃんを仲間にすると言った?
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