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第4章 麗しのアルフィン
第157話 藪をつついて何とやら、ですもの
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動きがあまりにも速く、目で捉えられるのは残像に過ぎない。
一体、どうなっているのかしら?
たまに空がピカッと光ったり、派手な音がするのでまるで雷が轟いているかのようですわ。
でも、あれはレオの拳や蹴りが黒いモノに打撃を与えている証拠。
黒いモノでは分かりにくいかしら?
ギータでいいですわね。
小さくなって、姿が変わってますけど、問題ありませんわ。
「ニール、アウラールをお願いね」
「んー? マーマもやるの?」
「あのままにしておくとご飯までに帰れないから、ちょっと手伝うだけなのよ? それまでお願いね」
「うん」
目を回したままでまだ、おとなしいアウラールを手渡しました。
大事な物を受け取ったとを確かめるようにそっと抱き締めるニールの様子はとても、愛らしく、ずっと見てられますわね。
あら、いけません。
気を散らせている余裕はありませんもの。
早く、どうにかしませんと……。
レオはわざと手加減をして、遊んでいるんですもの。
ただ、普通に戦いに介入すれば、レオに気付かれますわ。
気付かれては後程、厄介なことになりますから、証拠を残さないようにうまく立ち回る必要があります。
よく考えないといけませんわ。
レオが本来の力を出していれば、ギータは既に軽く粉砕されているはずです。
それだけの力を当たる瞬間に器用に緩めているのでしょう。
だから、致命傷にまで至らず、戦いが続いているのだわ。
ギータはアジ・ダハーカの核無き分身。
とはいえ、分身であるにも関わらず、アジ・ダハーカの異常な再生能力を有しています。
レオの手加減とギータの再生力がバランスを保っているからこそ、戦いが終わらないのですわね。
「そうですわ。反射させれば、いいのだわ」
絶対零度で凍結された物質はほんのちょっと力を加えただけで粉々に砕けるようになります。
レオがいくら手加減して、力を緩めようとも彼の攻撃が当たった時点でギータの部位は粉砕されることでしょう。
ふふっ、何という名案!
でも、普通に絶対零度を使えば、バレてしまいますから、工夫が必要ですわね。
まずは光魔法を応用し、空に目に見えない小さな結界をいくつも張ります。
その結界に七つの門の亜種とも言うべき、魔力を反射する防御の魔法・光の鏡をかけるのです。
「出力を下げて、これくらいでいいかしら?」
結界の一つに人差し指を向け、出力を絞った絶対零度を放ちました。
純白の細い光条が空へ向け、真っ直ぐに伸びていき、光の鏡で角度が変わります。
計算通りですわ。
何度も反射を繰り返し、複雑な動きを見せる絶対零度はやがて、何かに当たって、消えました。
その直後、魔動弾が破裂するような凄まじい音ともに地面にまた、大きなクレーターが出来ていました。
その中心には右腕を吹き飛ばされ、胴体に大穴を開けられたギータが仰向けに倒れていました。
「リーナ。何か、したね?」
「ひゃぅ!?」
いつの間にか、真後ろにレオがいるんですもの。
驚かない方がおかしいですわ。
魔装を解いて……え?
それはまずいと思うのですけど。
「あの……レオ、どうして魔装を解きましたの?」
落ち着きましょう、私。
大丈夫、ここは外……。
それにまだ、アレの処理は終わっていないわ。
だから、大丈夫。
「何か、問題あったかな?」
明るく、無邪気な感じに答えるレオですけど、後ろからしっかりと抱き締められていて。
身動きが出来ないほどに強く、ホールドされているのと変わらないのですけど?
「大問題だと思いますのよ?」
「何がかな? 具体的に言ってくれないと分からないなぁ」
さっきから、わざと当ててきている熱くて、堅いのが問題なのですわ!
……とは言えない私です。
そのようなことを表で口に出すのはしたないことですもの。
勿論、夜でも口にしてはいけませんのよ?
「その割にたまに口走ってない?」
「いませんからぁ!?」
興奮して、思わず、声が上ずってしまいましたわ。
魔装の致命的な欠陥。
それは性能でも発揮出来る力でもありません。
解くと生まれたままの姿になってしまうことなのです。
つまり、今、当たっているモノは生のレオのですわね。
「ところでさ。男の勝負に水を差したから、僕は怒ってるんだよね」
「え、ええ?」
怒っているのと胸を揉むのに関連性があるのかしら?
なんて聞いたら、いけないことは私にも分かりますわ。
藪をつついて何とやら、ですもの。
いくら私がうっかりしているとはいえ、それくらいは分かるのです。
「だから、まずはアレを凍らせて、ニールを送ってあげて。そしたら、すぐに戻ってきて」
「ふぁ!? ひ、ひゃい」
段々、エスカレートしてきて両手で揉んでくるのは卑怯だと思いますわ。
とても抗えませんもの。
「凍らせれば、よろしいのでしょう」
既に粉砕されていた腕の再生が始まり、動き始めようとしていたギータに向けて、絶対零度を撃ちました。
これ以上、されていると変な気分になってしまいますから、早く済ませないといけませんわ。
それから、ニールとアウラールを抱っこしてから、転移でお城の自室に帰還しました。
遅れれば、遅れるほど私の身が持たない気がするんですもの。
アンとばったり、鉢合わせですわ。
丁度、ベッドメーキングをしている最中だったようでタイミングがいいのだか、悪いのだか、分かりませんわね。
『私、すぐに戻らないといけませんの』だけでアンは何かを察したのでしょう。
『お帰りは遅くなりそうですねぇ』と言われてしまいました。
「遅かったね、リーナ。はい、これに着替えてね」
「はい?」
砂浜に戻るとこれ以上ないくらいご機嫌なレオが待っていました。
紺色の水着を着ていて、その手には黒のビキニを持っています。
どこから、それを出したのかしら?
ううん、そういう問題ではないですわ。
これって、どういう状況ですの!?
一体、どうなっているのかしら?
たまに空がピカッと光ったり、派手な音がするのでまるで雷が轟いているかのようですわ。
でも、あれはレオの拳や蹴りが黒いモノに打撃を与えている証拠。
黒いモノでは分かりにくいかしら?
ギータでいいですわね。
小さくなって、姿が変わってますけど、問題ありませんわ。
「ニール、アウラールをお願いね」
「んー? マーマもやるの?」
「あのままにしておくとご飯までに帰れないから、ちょっと手伝うだけなのよ? それまでお願いね」
「うん」
目を回したままでまだ、おとなしいアウラールを手渡しました。
大事な物を受け取ったとを確かめるようにそっと抱き締めるニールの様子はとても、愛らしく、ずっと見てられますわね。
あら、いけません。
気を散らせている余裕はありませんもの。
早く、どうにかしませんと……。
レオはわざと手加減をして、遊んでいるんですもの。
ただ、普通に戦いに介入すれば、レオに気付かれますわ。
気付かれては後程、厄介なことになりますから、証拠を残さないようにうまく立ち回る必要があります。
よく考えないといけませんわ。
レオが本来の力を出していれば、ギータは既に軽く粉砕されているはずです。
それだけの力を当たる瞬間に器用に緩めているのでしょう。
だから、致命傷にまで至らず、戦いが続いているのだわ。
ギータはアジ・ダハーカの核無き分身。
とはいえ、分身であるにも関わらず、アジ・ダハーカの異常な再生能力を有しています。
レオの手加減とギータの再生力がバランスを保っているからこそ、戦いが終わらないのですわね。
「そうですわ。反射させれば、いいのだわ」
絶対零度で凍結された物質はほんのちょっと力を加えただけで粉々に砕けるようになります。
レオがいくら手加減して、力を緩めようとも彼の攻撃が当たった時点でギータの部位は粉砕されることでしょう。
ふふっ、何という名案!
でも、普通に絶対零度を使えば、バレてしまいますから、工夫が必要ですわね。
まずは光魔法を応用し、空に目に見えない小さな結界をいくつも張ります。
その結界に七つの門の亜種とも言うべき、魔力を反射する防御の魔法・光の鏡をかけるのです。
「出力を下げて、これくらいでいいかしら?」
結界の一つに人差し指を向け、出力を絞った絶対零度を放ちました。
純白の細い光条が空へ向け、真っ直ぐに伸びていき、光の鏡で角度が変わります。
計算通りですわ。
何度も反射を繰り返し、複雑な動きを見せる絶対零度はやがて、何かに当たって、消えました。
その直後、魔動弾が破裂するような凄まじい音ともに地面にまた、大きなクレーターが出来ていました。
その中心には右腕を吹き飛ばされ、胴体に大穴を開けられたギータが仰向けに倒れていました。
「リーナ。何か、したね?」
「ひゃぅ!?」
いつの間にか、真後ろにレオがいるんですもの。
驚かない方がおかしいですわ。
魔装を解いて……え?
それはまずいと思うのですけど。
「あの……レオ、どうして魔装を解きましたの?」
落ち着きましょう、私。
大丈夫、ここは外……。
それにまだ、アレの処理は終わっていないわ。
だから、大丈夫。
「何か、問題あったかな?」
明るく、無邪気な感じに答えるレオですけど、後ろからしっかりと抱き締められていて。
身動きが出来ないほどに強く、ホールドされているのと変わらないのですけど?
「大問題だと思いますのよ?」
「何がかな? 具体的に言ってくれないと分からないなぁ」
さっきから、わざと当ててきている熱くて、堅いのが問題なのですわ!
……とは言えない私です。
そのようなことを表で口に出すのはしたないことですもの。
勿論、夜でも口にしてはいけませんのよ?
「その割にたまに口走ってない?」
「いませんからぁ!?」
興奮して、思わず、声が上ずってしまいましたわ。
魔装の致命的な欠陥。
それは性能でも発揮出来る力でもありません。
解くと生まれたままの姿になってしまうことなのです。
つまり、今、当たっているモノは生のレオのですわね。
「ところでさ。男の勝負に水を差したから、僕は怒ってるんだよね」
「え、ええ?」
怒っているのと胸を揉むのに関連性があるのかしら?
なんて聞いたら、いけないことは私にも分かりますわ。
藪をつついて何とやら、ですもの。
いくら私がうっかりしているとはいえ、それくらいは分かるのです。
「だから、まずはアレを凍らせて、ニールを送ってあげて。そしたら、すぐに戻ってきて」
「ふぁ!? ひ、ひゃい」
段々、エスカレートしてきて両手で揉んでくるのは卑怯だと思いますわ。
とても抗えませんもの。
「凍らせれば、よろしいのでしょう」
既に粉砕されていた腕の再生が始まり、動き始めようとしていたギータに向けて、絶対零度を撃ちました。
これ以上、されていると変な気分になってしまいますから、早く済ませないといけませんわ。
それから、ニールとアウラールを抱っこしてから、転移でお城の自室に帰還しました。
遅れれば、遅れるほど私の身が持たない気がするんですもの。
アンとばったり、鉢合わせですわ。
丁度、ベッドメーキングをしている最中だったようでタイミングがいいのだか、悪いのだか、分かりませんわね。
『私、すぐに戻らないといけませんの』だけでアンは何かを察したのでしょう。
『お帰りは遅くなりそうですねぇ』と言われてしまいました。
「遅かったね、リーナ。はい、これに着替えてね」
「はい?」
砂浜に戻るとこれ以上ないくらいご機嫌なレオが待っていました。
紺色の水着を着ていて、その手には黒のビキニを持っています。
どこから、それを出したのかしら?
ううん、そういう問題ではないですわ。
これって、どういう状況ですの!?
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