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第5話 救いなどなかった
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いや、違う。
予測変換は来るべき未来を教えてくれた。
ボクはそれを認めたくなくて、見ない振りをしたのだ。
アレが……。
あのブリキもどきが人類。
ボクがやろうとした人類の救済を成し遂げたのがこの世界の人類だった。
ただ、それだけなのだ。
この世界では魔法という不思議な技術が発展しているらしい。
極限までその魔法文化を高めた人類の前に立ちはだかった壁こそ、老いと寿命という避けようのない生物学上の限界。
いくら魔法を用いようとも人類が人類である限り、その壁を越えることは出来なかったのだ。
そこで辿り着いたのが、ボクの導き出した救済論と相似しているのは何の因果だろうか?
人類は肉体という器を捨て、別の種へと昇華した。
それがあのブリキもどきの正体という訳だ。
機械と魔法という違いこそあれ、あまりにも似ている。
だが、ボクはこんな未来を想定していなかった。
人類に救いなどなかったのか?
肉体を捨てた人類に訪れたのは安穏とした未来ではない。
己が命を繋ぐ為に他者の命を啜り、蹂躙する。
こんな未来など……
「ボクは違う……! 違うんだ!!」
ボクの導き出した理論が間違っていたというのか?
そんなことがあってはならない。
否定するようにブリキだった物を踏み潰した。
何度も何度も消えてなくなるように……。
「大丈夫ですから……あたしは大丈夫」
今にも消えそうなか細い声がして、ボクの体はあたたかいものに包まれていた。
頬を熱い物が伝っていく。
天からの恵みが全てを洗い流すかのようにボクと少女の体に降り注ぐ。
教えてくれ、予測変換。
ボクに未来を。
予測変換は来るべき未来を教えてくれた。
ボクはそれを認めたくなくて、見ない振りをしたのだ。
アレが……。
あのブリキもどきが人類。
ボクがやろうとした人類の救済を成し遂げたのがこの世界の人類だった。
ただ、それだけなのだ。
この世界では魔法という不思議な技術が発展しているらしい。
極限までその魔法文化を高めた人類の前に立ちはだかった壁こそ、老いと寿命という避けようのない生物学上の限界。
いくら魔法を用いようとも人類が人類である限り、その壁を越えることは出来なかったのだ。
そこで辿り着いたのが、ボクの導き出した救済論と相似しているのは何の因果だろうか?
人類は肉体という器を捨て、別の種へと昇華した。
それがあのブリキもどきの正体という訳だ。
機械と魔法という違いこそあれ、あまりにも似ている。
だが、ボクはこんな未来を想定していなかった。
人類に救いなどなかったのか?
肉体を捨てた人類に訪れたのは安穏とした未来ではない。
己が命を繋ぐ為に他者の命を啜り、蹂躙する。
こんな未来など……
「ボクは違う……! 違うんだ!!」
ボクの導き出した理論が間違っていたというのか?
そんなことがあってはならない。
否定するようにブリキだった物を踏み潰した。
何度も何度も消えてなくなるように……。
「大丈夫ですから……あたしは大丈夫」
今にも消えそうなか細い声がして、ボクの体はあたたかいものに包まれていた。
頬を熱い物が伝っていく。
天からの恵みが全てを洗い流すかのようにボクと少女の体に降り注ぐ。
教えてくれ、予測変換。
ボクに未来を。
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