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5 歌姫の細やかなる日常
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「リーナ、この話は本当なのかい?」
「本当なのよ? あっ、そこ。そこが気持ちいいわ」
決して、変なことをしている訳ではなくて。
お風呂からあがったら、レオに肩を揉んでもらうマッサージをしてもらっているだけなのだから。
あまりに気持ちいいから、眠くなってくる。
でも、寝ても大丈夫!
朝、目を覚ますとちゃんとベッドの上で寝ているもの。
そして、これがわたし達夫婦のルーチンワーク。
誰にも干渉されない二人だけの時間だから、一日の情報交換にもっとも適した時間でもあるわ!
「だから、問題なのよ」
「その言い方からすると既に調査したようだね」
「ええ」
「そっか」
レオはどちらかと言えば、口が重い。
無駄なことは言わない。
だけど、大事なことはちゃんと言ってくれるし、伝えてくれる。
普段、「好き」「愛している」と言って憚らないわたし。
彼に病的なほど執着しているのは、他人に言われなくても自覚がある。
勿論、否定するつもりはない。
それはわたしがわたしである為に必要なことだと思うから……。
レオが「好き」「愛している」と口にすることは滅多にない。
それでも満たされたと感じられるのは彼の行動全てから、愛を感じられるからなの。
わたしは確かに愛されていると感じる……。
え?
それは勘違いかもしれないって?
そんなことはないのよ?
だって、わたしと彼は星が瞬くよりもずっとずっと昔。
ずっと一緒にいるって決まっているんですもの。
これは運命だから、誰にも邪魔させない……。
「…………」
「…………」
ちょっと遠いところに意識が飛んでいたせいか、妙な沈黙が気まずいわ。
レオがいつもより、無口になっているし……。
今回の案件が相当、気にかかっている証拠ね。
彼は嘘を言うのが苦手だから、すぐに顔に出るんだもの。
隠そうとしてもバレるのよ。
無口で難しい顔をしている時はつまり、そういうこと。
いつもだったら、肩ではないところもそれとなく、触ってきて何とも形容しがたい気分になるのだけど……。
そんなこともないのだから、重症だと思うの。
「この案件を最優先でやるべきかしら?」
「そうだね。すぐにやろう」
こういう時、こちらから歩み寄ったところを見せるのがポイントだと思うの。
そう思わない?
頼りになるお姉さんぽいでしょう?
レオもきっと、そう思うはず!
不安要素がなくなったからなのか、彼はいつもの調子を取り戻したみたい。
ちゃんと肩を揉んでくれるし、何か違うところまでマッサージされている気がするけど……。
気持ち良くて、体だけでなく心までポカポカしてきて。
力加減が絶妙過ぎるから、眠さに耐えられそうにない。
違うところを触られても、気にしてはいけないんだって、誰かが言っていたわね。
気にしない振りをしておくのがベターだと思うことにする。
マッサージを頼んだら、二つ返事でやってくれるのが最初は不思議だったけど。
男という生き物はそうしないといけない難儀な生き物らしい。
これもらしいと断定できないのは全て、誰か……友人からの受け売りだから。
それを認めてあげて、泳がせてあげるのが良き妻だとも言っていたわ。
このまま、寝てもレオがベッドまで連れて行ってくれるから、安心なんだもの。
「本当なのよ? あっ、そこ。そこが気持ちいいわ」
決して、変なことをしている訳ではなくて。
お風呂からあがったら、レオに肩を揉んでもらうマッサージをしてもらっているだけなのだから。
あまりに気持ちいいから、眠くなってくる。
でも、寝ても大丈夫!
朝、目を覚ますとちゃんとベッドの上で寝ているもの。
そして、これがわたし達夫婦のルーチンワーク。
誰にも干渉されない二人だけの時間だから、一日の情報交換にもっとも適した時間でもあるわ!
「だから、問題なのよ」
「その言い方からすると既に調査したようだね」
「ええ」
「そっか」
レオはどちらかと言えば、口が重い。
無駄なことは言わない。
だけど、大事なことはちゃんと言ってくれるし、伝えてくれる。
普段、「好き」「愛している」と言って憚らないわたし。
彼に病的なほど執着しているのは、他人に言われなくても自覚がある。
勿論、否定するつもりはない。
それはわたしがわたしである為に必要なことだと思うから……。
レオが「好き」「愛している」と口にすることは滅多にない。
それでも満たされたと感じられるのは彼の行動全てから、愛を感じられるからなの。
わたしは確かに愛されていると感じる……。
え?
それは勘違いかもしれないって?
そんなことはないのよ?
だって、わたしと彼は星が瞬くよりもずっとずっと昔。
ずっと一緒にいるって決まっているんですもの。
これは運命だから、誰にも邪魔させない……。
「…………」
「…………」
ちょっと遠いところに意識が飛んでいたせいか、妙な沈黙が気まずいわ。
レオがいつもより、無口になっているし……。
今回の案件が相当、気にかかっている証拠ね。
彼は嘘を言うのが苦手だから、すぐに顔に出るんだもの。
隠そうとしてもバレるのよ。
無口で難しい顔をしている時はつまり、そういうこと。
いつもだったら、肩ではないところもそれとなく、触ってきて何とも形容しがたい気分になるのだけど……。
そんなこともないのだから、重症だと思うの。
「この案件を最優先でやるべきかしら?」
「そうだね。すぐにやろう」
こういう時、こちらから歩み寄ったところを見せるのがポイントだと思うの。
そう思わない?
頼りになるお姉さんぽいでしょう?
レオもきっと、そう思うはず!
不安要素がなくなったからなのか、彼はいつもの調子を取り戻したみたい。
ちゃんと肩を揉んでくれるし、何か違うところまでマッサージされている気がするけど……。
気持ち良くて、体だけでなく心までポカポカしてきて。
力加減が絶妙過ぎるから、眠さに耐えられそうにない。
違うところを触られても、気にしてはいけないんだって、誰かが言っていたわね。
気にしない振りをしておくのがベターだと思うことにする。
マッサージを頼んだら、二つ返事でやってくれるのが最初は不思議だったけど。
男という生き物はそうしないといけない難儀な生き物らしい。
これもらしいと断定できないのは全て、誰か……友人からの受け売りだから。
それを認めてあげて、泳がせてあげるのが良き妻だとも言っていたわ。
このまま、寝てもレオがベッドまで連れて行ってくれるから、安心なんだもの。
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