81 / 85
幕間 番外編
いい夫婦の日記念・お姫様の熱(一人称視点)
しおりを挟む
気が付いたら、君の顔が目の前だった。
息がかかるくらいに近付いてきて、キスをされるのかと思ったら、違った。
「本当だ。ちょっと熱いね。熱があるんだよ」
「う、うん」
熱があるかどうかなんて、手でも十分なのに額と額を合わせるなんて、不意打ちもいいところよ?
わたしの身体を心配して、気が付いたら無意識で動いただけなんでしょ?
そんな純粋でどこまでも優しい君だから、好き。
「ねぇ、レオ君。熱は伝染したら、治るって知ってる?」
「そうなんだ?」
熱があるせいかしら?
わたしもおかしなことを言ってしまった。
君は不思議そうな顔をしながらも「じゃあ、俺に伝染す?」って、躊躇なく言った。
何の迷いもない即決に言い出したわたしの方がビックリしちゃった。
「本当に伝染してもいいの?」
「俺は頑丈だから、平気さ」
どうやって、伝染すのかは気にならないの?
油断して、顔を近づけた気味が悪いんだから。
軽いキスではなく、いつもとは違う噛みつくみたいに彼の唇に触れてから、舌を絡ませた。
「こうやったら、伝染るでしょ?」
交換した体液がわたし達の間に銀色の橋を架けていて、君もさすがにビックリしたみたいで目を丸くしていた。
「そんなのでは無理じゃないかな?」
「え? ちょっとレオ君!?」
でも、勝ち誇っていられたのはそこまでだった。
今度はわたしが目を白黒させないといけない。
息が止まるくらいに長く、激しく唇を奪われたから。
君はいつの間にそんなことを覚えたの?
「激しく動いたら、治るかもよ」
「ま、待ってってばぁ」
しかもキスしている間に服を脱がされていて、押し倒されている。
何という手際の良さ。
これが勇者の力なの?
でも、自分の服は脱ぎにくそうだったから、わたしが脱がせたのですけど……。
君の言う通り、確かに激しい運動だったと思う。
でも、動いていたのはほぼ君だったでしょ?
何か、違う気がするわ。
声も枯れちゃったし……。
でも、腕枕をしてくれる君のあどけない寝顔を見ていると許せてしまうの。
その後、二人して仲良く、寝込むことになったのですけど、それはまた別の話……。
息がかかるくらいに近付いてきて、キスをされるのかと思ったら、違った。
「本当だ。ちょっと熱いね。熱があるんだよ」
「う、うん」
熱があるかどうかなんて、手でも十分なのに額と額を合わせるなんて、不意打ちもいいところよ?
わたしの身体を心配して、気が付いたら無意識で動いただけなんでしょ?
そんな純粋でどこまでも優しい君だから、好き。
「ねぇ、レオ君。熱は伝染したら、治るって知ってる?」
「そうなんだ?」
熱があるせいかしら?
わたしもおかしなことを言ってしまった。
君は不思議そうな顔をしながらも「じゃあ、俺に伝染す?」って、躊躇なく言った。
何の迷いもない即決に言い出したわたしの方がビックリしちゃった。
「本当に伝染してもいいの?」
「俺は頑丈だから、平気さ」
どうやって、伝染すのかは気にならないの?
油断して、顔を近づけた気味が悪いんだから。
軽いキスではなく、いつもとは違う噛みつくみたいに彼の唇に触れてから、舌を絡ませた。
「こうやったら、伝染るでしょ?」
交換した体液がわたし達の間に銀色の橋を架けていて、君もさすがにビックリしたみたいで目を丸くしていた。
「そんなのでは無理じゃないかな?」
「え? ちょっとレオ君!?」
でも、勝ち誇っていられたのはそこまでだった。
今度はわたしが目を白黒させないといけない。
息が止まるくらいに長く、激しく唇を奪われたから。
君はいつの間にそんなことを覚えたの?
「激しく動いたら、治るかもよ」
「ま、待ってってばぁ」
しかもキスしている間に服を脱がされていて、押し倒されている。
何という手際の良さ。
これが勇者の力なの?
でも、自分の服は脱ぎにくそうだったから、わたしが脱がせたのですけど……。
君の言う通り、確かに激しい運動だったと思う。
でも、動いていたのはほぼ君だったでしょ?
何か、違う気がするわ。
声も枯れちゃったし……。
でも、腕枕をしてくれる君のあどけない寝顔を見ていると許せてしまうの。
その後、二人して仲良く、寝込むことになったのですけど、それはまた別の話……。
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる