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幕間 番外編

いい夫婦の日記念・お姫様の熱(一人称視点)

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 気が付いたら、君の顔が目の前だった。
 息がかかるくらいに近付いてきて、キスをされるのかと思ったら、違った。

「本当だ。ちょっと熱いね。熱があるんだよ」
「う、うん」

 熱があるかどうかなんて、手でも十分なのに額と額を合わせるなんて、不意打ちもいいところよ?
 わたしの身体を心配して、気が付いたら無意識で動いただけなんでしょ?
 そんな純粋でどこまでも優しい君だから、好き。

「ねぇ、レオ君。熱は伝染うつしたら、治るって知ってる?」
「そうなんだ?」

 熱があるせいかしら?
 わたしもおかしなことを言ってしまった。
 君は不思議そうな顔をしながらも「じゃあ、俺に伝染うつす?」って、躊躇なく言った。
 何の迷いもない即決に言い出したわたしの方がビックリしちゃった。

「本当に伝染うつしてもいいの?」
「俺は頑丈だから、平気さ」

 どうやって、伝染うつすのかは気にならないの?
 油断して、顔を近づけた気味が悪いんだから。

 軽いキスではなく、いつもとは違う噛みつくみたいに彼の唇に触れてから、舌を絡ませた。

「こうやったら、伝染うつるでしょ?」

 交換した体液がわたし達の間に銀色の橋を架けていて、君もさすがにビックリしたみたいで目を丸くしていた。

「そんなのでは無理じゃないかな?」
「え? ちょっとレオ君!?」

 でも、勝ち誇っていられたのはそこまでだった。
 今度はわたしが目を白黒させないといけない。
 息が止まるくらいに長く、激しく唇を奪われたから。
 君はいつの間にそんなことを覚えたの?

「激しく動いたら、治るかもよ」
「ま、待ってってばぁ」

 しかもキスしている間に服を脱がされていて、押し倒されている。
 何という手際の良さ。
 これが勇者の力なの?

 でも、自分の服は脱ぎにくそうだったから、わたしが脱がせたのですけど……。

 君の言う通り、確かに激しい運動だったと思う。
 でも、動いていたのはほぼ君だったでしょ?
 何か、違う気がするわ。
 声も枯れちゃったし……。

 でも、腕枕をしてくれる君のあどけない寝顔を見ていると許せてしまうの。

 その後、二人して仲良く、寝込むことになったのですけど、それはまた別の話……。
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