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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第69話 ピーちゃんの正体
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真っ白な卵のような体に黄金に輝く、頭の上の鶏冠。
不釣り合いな円らな瞳は意外にもかわいいかも……。
「ピーちゃん、なんだよね?」
「そうだっピ。二人のお陰でぼっくんは元の姿に戻れたっピ」
「リーナ! スゴイよ。ピーちゃんが大人になったんだ」
「ソ、ソウネ」
えぇ!? 嘘でしょ?
レオったら、どれだけ純粋なの?
わたしは吹き出しそうになるのを必死に堪えているのよ……。
だって、あんな姿になっても声はピーちゃんの愛らしい時のままなんですもの。
落差が激しくて、いけないわ!
「ぼっくんはグリンカムビだっピ」
「グリーンのカルビ?」
「違うっピ! グリンカムビだっピ!」
えっと……それよりもわたし、恐ろしい事実に気が付いてしまったのですけど。
あら? ピーちゃんは女の子ではなく、男の子なの?
わたしは女の子だと思っていたから、胸元に入れたり頬ずりしていたけど、ものすご~くまずいのではなくって。
レオと親しすぎるのが羨ましくて、嫉妬していたのが大きな間違いだったのに加えて、わたしの方が誤解される行動取っていたなんて、ショックだわ。
「だから、ぼっくんは鳴くっピ」
鳴く……? グリンカムビが鳴く?
どこかで聞いたような気がするのよね。
お祖父様から、ユグドラシルがどうのこうのでグリーンがカルビなんだったかしら?
違う気がするわ。
「キッキレキーキレキーレキーキー」
思い出したわ!
常世の長鳴鳥……。
神々の運命が訪れないようにと時を知らせる運命の鶏。
それがピーちゃんだったということなの?
島の聖なる木はやはり、ユグドラシルの……。
「地面が揺れてる!?」
結構、揺れているので震源地が近いどころか、わたし達の真下みたい。
何か、巨大な物体がのたうっているような感覚にも近いわね。
それよりも足元がふらついたわたしをレオがすぐに優しく、抱きとめてくれたことで胸がいっぱいになっている。
彼の優しさと気遣いが体温と胸の鼓動で伝わってきて、ずっとこのままでいたいくらい。
「ピィィィィ」
島どころか、世界に響き渡りそうな長鳴きを終えたピーちゃんの身体がみるみる縮んでいって、元の丸々と太った小鳥のサイズにまで戻ると落ちてくる!?
「ピーちゃん!」
このままだとピーちゃんが怪我すると目を瞑ったのとレオの声が同時だったと思う。
気が付いた時にはレオに横抱きに抱えられていて、目を回したピーちゃんがわたしの胸の上にいた。
わたしの胸が衝撃を吸収するクッションの代わりにでもなったのかしら?
目を回してはいるけど、特に怪我をしているようには見えない。
「大丈夫みたい」
「ごめん。つい、リーナを抱きかかえちゃった」
レオはなぜか、しゅんとしちゃって、叱られた仔犬のようにしょぼくれている。
ピーちゃんが心配だったから、咄嗟に体が動いただけ。
仕方がない行動だったと思う。
わたしを巻き込むように抱きかかえたことを申し訳なく思っているみたい……。
別にかまわないのに。
ずっとこうしてくれていてもいいと思っているのよ?
でも、その時のわたし達は知らなかったの。
このピーちゃんの鳴き声でまさか、あんなことが起こっていたなんて……。
不釣り合いな円らな瞳は意外にもかわいいかも……。
「ピーちゃん、なんだよね?」
「そうだっピ。二人のお陰でぼっくんは元の姿に戻れたっピ」
「リーナ! スゴイよ。ピーちゃんが大人になったんだ」
「ソ、ソウネ」
えぇ!? 嘘でしょ?
レオったら、どれだけ純粋なの?
わたしは吹き出しそうになるのを必死に堪えているのよ……。
だって、あんな姿になっても声はピーちゃんの愛らしい時のままなんですもの。
落差が激しくて、いけないわ!
「ぼっくんはグリンカムビだっピ」
「グリーンのカルビ?」
「違うっピ! グリンカムビだっピ!」
えっと……それよりもわたし、恐ろしい事実に気が付いてしまったのですけど。
あら? ピーちゃんは女の子ではなく、男の子なの?
わたしは女の子だと思っていたから、胸元に入れたり頬ずりしていたけど、ものすご~くまずいのではなくって。
レオと親しすぎるのが羨ましくて、嫉妬していたのが大きな間違いだったのに加えて、わたしの方が誤解される行動取っていたなんて、ショックだわ。
「だから、ぼっくんは鳴くっピ」
鳴く……? グリンカムビが鳴く?
どこかで聞いたような気がするのよね。
お祖父様から、ユグドラシルがどうのこうのでグリーンがカルビなんだったかしら?
違う気がするわ。
「キッキレキーキレキーレキーキー」
思い出したわ!
常世の長鳴鳥……。
神々の運命が訪れないようにと時を知らせる運命の鶏。
それがピーちゃんだったということなの?
島の聖なる木はやはり、ユグドラシルの……。
「地面が揺れてる!?」
結構、揺れているので震源地が近いどころか、わたし達の真下みたい。
何か、巨大な物体がのたうっているような感覚にも近いわね。
それよりも足元がふらついたわたしをレオがすぐに優しく、抱きとめてくれたことで胸がいっぱいになっている。
彼の優しさと気遣いが体温と胸の鼓動で伝わってきて、ずっとこのままでいたいくらい。
「ピィィィィ」
島どころか、世界に響き渡りそうな長鳴きを終えたピーちゃんの身体がみるみる縮んでいって、元の丸々と太った小鳥のサイズにまで戻ると落ちてくる!?
「ピーちゃん!」
このままだとピーちゃんが怪我すると目を瞑ったのとレオの声が同時だったと思う。
気が付いた時にはレオに横抱きに抱えられていて、目を回したピーちゃんがわたしの胸の上にいた。
わたしの胸が衝撃を吸収するクッションの代わりにでもなったのかしら?
目を回してはいるけど、特に怪我をしているようには見えない。
「大丈夫みたい」
「ごめん。つい、リーナを抱きかかえちゃった」
レオはなぜか、しゅんとしちゃって、叱られた仔犬のようにしょぼくれている。
ピーちゃんが心配だったから、咄嗟に体が動いただけ。
仕方がない行動だったと思う。
わたしを巻き込むように抱きかかえたことを申し訳なく思っているみたい……。
別にかまわないのに。
ずっとこうしてくれていてもいいと思っているのよ?
でも、その時のわたし達は知らなかったの。
このピーちゃんの鳴き声でまさか、あんなことが起こっていたなんて……。
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