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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様

第68話 ゆうべはお楽しみでしたね&ピーちゃんの秘密

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 『ゆうべ昨晩はお楽しみでしたね』と言われそうだわ。
 わたしもレオも目の下にはっきりとクマが出来ている。

 ついお風呂ではしゃぎすぎてしまったのだ。
 わたしはくすぐられたことへの意趣返しでレオをからかうつもりだったから、水着を着ていたけど、彼は何も着てない。

 お風呂だから、着てないのは分かる。
 裸だって、見せあった訳でもないのに互いに見てしまった仲だし……。

 前に無理矢理、見たことはあったけどあの時は小っちゃくて、かわいかったよね?
 でも、この前、朝に触っちゃったのは何だか、大きくなっていたし、かわいくなかった……。

 レオが必死に前屈みになって、隠しているということはそうなっているのかしら?
 でも、何で大きくなったの?
 生理現象の一つでそうなるだけと聞いたわ。

 それで「レオ君ったら、恥ずかしがらなくてもいいじゃない」って、彼に抱き着いたの。
 そうしたら、「リーナ。待って! 少し、離れてよ」って、いつになく切実な声で頼まれたのよね。

 「これ、ちょっと痛いんだ」「そ、そうなの?」って話になったのだわ。
 どうすれば、元に戻るのかを二人で考えて。
 きれいに洗って、おとなしくしたら戻るかもって結論に落ち着いたの。

 「自分でやるよ」となぜか、わたしの方を見ないで言うレオに腹が立ってきたので「わたしが洗ってあげるわ。だって、わたしは君の妻なんだもの」って、言い切っちゃったのよね。
 わたしはどうして、あんなことを言ったのかしら?

 体の一部があんなに大きく、変化しているのが不思議だったから、知的好奇心があったのは否定出来ないわ。
 でも、それ以上に顔を背けていても分かってしまうなぜか、顔が赤いレオのことが気になっていたから……。

 泡を付けて、レオのを洗ってあげたら、思っていたよりも硬くて、熱を帯びているってことが分かった。
 不思議で興味深い。
 さらに不思議なのは「ねぇ。さっきより、大きくなってない?」「そんなこと言われても分からないよ」と本人にも分からないのに大きくなったこと。
 洗おうとしてレオのを丁寧に触ったら、何か、彼の呼吸が早くなって、苦しそうになっていて……。

 あら? これって、もしかして……わたしがレオのことを考えながら、していたのと同じことでは?
 でも、わたしは大人になっているから、しても悪くないと思うの。
 レオはまだ、大人になってないわね。
 やめましょう。

 それで「こ、こ、これくらいでいいんじゃない?」って、動きがぎこちなくなったのを誤魔化せなかったけど、そう切り出したのよ。
 そうしたら、凄く切ない声で「やめないでよ」って……ええ?

 結局、わたしも恥ずかしくなってきたけど、優しく洗ってあげるのを続けちゃったのよね。
 そのうち、何となく、大きいのが治まったみたいでまた、かわいくなったからいいのですけど……。

 その後が気まずかったわ。
 だって、結構、長い時間が経っていたんですもの。
 レオが中々出ようとしないから、わたしも出られなくて、二人してゆだっちゃったのよね。



 お風呂での一件なんてなかったように隣で大口を開けて、快活に笑っている君を見るとわたしが悩んでいるのが馬鹿みたいじゃない。
 いいのよ。
 君のそういうところも含めた全部が好きなんですもの。

「ピーちゃんから、やって来て呼ぶのは珍しいんだ」
「そうなの?」
「うん。僕が呼んだら、出てきてくれるけど自分からはあまり、出てこないんだ」

 ちょっとけてくるくらいにレオとピーちゃんの仲は良い。
 分かってるわ。
 鳥を相手に嫉妬したり、張り合っても仕方ないことくらい!
 それに二人が小さい頃からの親友だってことも理解している。

 でも、わたしだって、ピーちゃんとは仲が良くなっている。
 餌付けという訳ではないけど、甘い物を一緒に食べたりして、それなりに有効な関係を築いてきた。
 そのせいか、ピーちゃんが前よりも大分、丸々としてしまったけど……。

「ピッピピー」
「「ピーちゃん!?」」

 わたし達を神樹まで先導するように飛んでいたピーちゃんの身体が、突如として眩い光を放ち始めたのだ。
 まるで太陽が落ちてきたような錯覚を受けるくらいに眩しい。

「レオとリリーのお陰でぼっくんは成長したっピ」
「「んんん?」」

 光が収まった時、そこに小さくて、丸っこくて、愛らしいピーちゃんはいなかった。
 神樹の枝に止まったピーちゃんだったモノは丸かった。

 体も大きくなっていて、レオの頭くらいはある。
 人の頭くらいの大きさがある卵に申し訳程度の小さな翼と足が生えていると考えた方が分かりやすいくらいだ。

 どうやって、あの枝まで飛んだのかしら?
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