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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第59話 今更気が付くお姫様
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あちこちが焼け焦げ、煙を上げている大地。
そこかしこに大穴が開いている。
何よりもあからさまなほどに残滓を感じるのよ?
わたしが気が付かないと思ったのかしら?
これは隠す気がさらさらなかったというべきね。
「つまり、ロー君と叔父様の修行がエキサイトした結果があれ?」
「そ、そーいうことになるかなあ」
「ああ。そういうことだよ」
怪しいわ。
人を疑うことがないレオすら、胡乱な目を二人に向けているもの。
二人だけではないわ。
お舅様も怪しいわよ?
まず、こちらの目を真っ直ぐ見ないのは噓をついている証拠だわ。
はっきりとした大きな外傷は見当たらないけれど、小さな擦り傷や打ち身がある。
さらになぜか、疲労困憊している。
この症状に思い当たることをよ~く知っているのよね。
「何か、丸くてきれいな色の物を食べたのではなくって?」
「た、食べてないですよお」
「ああ。丸くなどなかった」
お舅様はあからさまに体が反応していたわね。
やはり、食べたとみて間違いない。
残滓から、お兄様が来ていたことは分かっていたけど、まさか悪友まで一緒とは思わなかったわ。
わたしとレオがいない間にそれだけの何かがあったということでしょうけど……。
気まずくなったので逃げるように寝室に戻る。
ここはわたしと彼だけの固有結界のようなもの。
誰も入ってこれないから、ここでは素のままのわたしでいられる。
「リーナ。何か、怒ってる?」
「どうして? 怒ってないわ。ただ……」
「ただ? どうしたの?」
無駄に気を遣われているみたいで嫌なのよね。
はっきりと言ってくれた方が分かりやすいわ。
「何でもないわ」
「でもさ。また、眉間に皺が寄って、難しい顔をしているよ」
もしかして、君にまで気を遣わせちゃったのかしら?
いつもの太陽を思わせる快活な笑顔ではなく、どことなく、ぎこちない笑顔。
君にそんな顔をさせるつもりはなかったのに……。
「僕は……笑っているリーナの方が好きだよ」
「あ、あ、ありがとぉ……」
ぎこちなかったのはそれを言おうとしていたからなの?
不意打ちを喰らって、心臓がおかしくなりそう。
これだから、純真な勇者様には敵わないのよ。
キャパシティが色々とオーバーしたのだろう。
全身の力が抜けてしまい、そのままベッドに仰向けに寝てしまった。
まずいわ。
裾が短いから、下着が見えるかも!? なんて心配は杞憂だった。
それよりも心臓に悪いことをしてくれるのだ。
わたしの勇者様は!
「リーナは前に着ていた白い服……もう着ないの?」
まさか、レオまで身体を投げ出して、仰向けに寝るとは思わないでしょう?
おまけに近いから! 顔が近いのよ!
キスをする時はいいの!
アレは覚悟して、戦いに挑むくらいの気持ちでぶつかっているから、何とかなるんだから。
不意打ちはダメよ。
「白はわたしに似合わないでしょ?」
「そんなことないよ。似合っていたよ。スゴイきれいだった」
え? 何?
わたしを殺そうと思っているのかしら?
心臓に悪いのよ。
君の口から、急に『きれい』なんて単語が飛び出てくると……。
もしかして、何か、悪い物でも食べたの?
食べさせたのはわたしよね?
おかしいわ。
「レオ君が見たいのなら、着てもいいけど……」
「本当?」
だから、さらに近づいてきて、お目目をキラキラさせるのはやめて!
断れないじゃない。
他でもない君からのお願いですもの。
気が乗らなくてもやるしかないわ。
「オーダーメイドで仕立てるしかないから、君も手伝ってくれるのよね?」
「え? 何で僕も?」
「旦那様に選んでもらいたいものなのよ?」
「あ、うん……」
驚いて、目が丸くなった時の君の顔が好きなの。
ただ、気を付けないといけないのはこの場合、自分が巻き込まれると思っていなかったレオもダメージを追っているけど、顔が近いから、実際にはわたしの方がダメージが大きいのよ……。
ちょっと前だったら、「もう、レオ君ったらぁ」と迷いなく抱き締めていたのに今は無理なんですもの。
抱き締めているのではなくて、抱き着いているようにしか見えないわ。
でも、なぜ、あの頃は君を胸に抱き締めても平気だったのかしら?
母性? だとしたら、あの頃はレオのことを男性として、意識していなかったということになるわ。
いつの間にか、君のことを男として見ていたのね。
「どうしたの、リーナ。顔が真っ赤でレッドスライムみたいだよ」
「誰がレッドスライムですってぇ! もうっ」
結局、抱き着いてしまったのは内緒だわ♪
そこかしこに大穴が開いている。
何よりもあからさまなほどに残滓を感じるのよ?
わたしが気が付かないと思ったのかしら?
これは隠す気がさらさらなかったというべきね。
「つまり、ロー君と叔父様の修行がエキサイトした結果があれ?」
「そ、そーいうことになるかなあ」
「ああ。そういうことだよ」
怪しいわ。
人を疑うことがないレオすら、胡乱な目を二人に向けているもの。
二人だけではないわ。
お舅様も怪しいわよ?
まず、こちらの目を真っ直ぐ見ないのは噓をついている証拠だわ。
はっきりとした大きな外傷は見当たらないけれど、小さな擦り傷や打ち身がある。
さらになぜか、疲労困憊している。
この症状に思い当たることをよ~く知っているのよね。
「何か、丸くてきれいな色の物を食べたのではなくって?」
「た、食べてないですよお」
「ああ。丸くなどなかった」
お舅様はあからさまに体が反応していたわね。
やはり、食べたとみて間違いない。
残滓から、お兄様が来ていたことは分かっていたけど、まさか悪友まで一緒とは思わなかったわ。
わたしとレオがいない間にそれだけの何かがあったということでしょうけど……。
気まずくなったので逃げるように寝室に戻る。
ここはわたしと彼だけの固有結界のようなもの。
誰も入ってこれないから、ここでは素のままのわたしでいられる。
「リーナ。何か、怒ってる?」
「どうして? 怒ってないわ。ただ……」
「ただ? どうしたの?」
無駄に気を遣われているみたいで嫌なのよね。
はっきりと言ってくれた方が分かりやすいわ。
「何でもないわ」
「でもさ。また、眉間に皺が寄って、難しい顔をしているよ」
もしかして、君にまで気を遣わせちゃったのかしら?
いつもの太陽を思わせる快活な笑顔ではなく、どことなく、ぎこちない笑顔。
君にそんな顔をさせるつもりはなかったのに……。
「僕は……笑っているリーナの方が好きだよ」
「あ、あ、ありがとぉ……」
ぎこちなかったのはそれを言おうとしていたからなの?
不意打ちを喰らって、心臓がおかしくなりそう。
これだから、純真な勇者様には敵わないのよ。
キャパシティが色々とオーバーしたのだろう。
全身の力が抜けてしまい、そのままベッドに仰向けに寝てしまった。
まずいわ。
裾が短いから、下着が見えるかも!? なんて心配は杞憂だった。
それよりも心臓に悪いことをしてくれるのだ。
わたしの勇者様は!
「リーナは前に着ていた白い服……もう着ないの?」
まさか、レオまで身体を投げ出して、仰向けに寝るとは思わないでしょう?
おまけに近いから! 顔が近いのよ!
キスをする時はいいの!
アレは覚悟して、戦いに挑むくらいの気持ちでぶつかっているから、何とかなるんだから。
不意打ちはダメよ。
「白はわたしに似合わないでしょ?」
「そんなことないよ。似合っていたよ。スゴイきれいだった」
え? 何?
わたしを殺そうと思っているのかしら?
心臓に悪いのよ。
君の口から、急に『きれい』なんて単語が飛び出てくると……。
もしかして、何か、悪い物でも食べたの?
食べさせたのはわたしよね?
おかしいわ。
「レオ君が見たいのなら、着てもいいけど……」
「本当?」
だから、さらに近づいてきて、お目目をキラキラさせるのはやめて!
断れないじゃない。
他でもない君からのお願いですもの。
気が乗らなくてもやるしかないわ。
「オーダーメイドで仕立てるしかないから、君も手伝ってくれるのよね?」
「え? 何で僕も?」
「旦那様に選んでもらいたいものなのよ?」
「あ、うん……」
驚いて、目が丸くなった時の君の顔が好きなの。
ただ、気を付けないといけないのはこの場合、自分が巻き込まれると思っていなかったレオもダメージを追っているけど、顔が近いから、実際にはわたしの方がダメージが大きいのよ……。
ちょっと前だったら、「もう、レオ君ったらぁ」と迷いなく抱き締めていたのに今は無理なんですもの。
抱き締めているのではなくて、抱き着いているようにしか見えないわ。
でも、なぜ、あの頃は君を胸に抱き締めても平気だったのかしら?
母性? だとしたら、あの頃はレオのことを男性として、意識していなかったということになるわ。
いつの間にか、君のことを男として見ていたのね。
「どうしたの、リーナ。顔が真っ赤でレッドスライムみたいだよ」
「誰がレッドスライムですってぇ! もうっ」
結局、抱き着いてしまったのは内緒だわ♪
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