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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第58話 永遠の誓い?
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「酷いよ、リーナ」
ほっぺたにはっきりと付いた手形を擦っているレオを見るとわたしにだって、少しくらいの罪悪感はあるわ。
あるけれども、それとこれとは話が違うのよ。
乙女としての当然の権利を行使しただけなんだから。
でも、確かアレを触るだけではなくて、舐めたりするのよね……。
無理ですわ! 無理!
「レオ君が悪いのよ? 何も押し付けなくてもいいじゃない」
「違うって。勝手になっていたんだ」
慌てているところを見ると嘘は言ってないわね。
それに君は嘘をつくほど器用でもなければ、不誠実でもないことはよ~く分かっているわ。
「生理現象なのでしょう? 分かっているわ。はい、治癒」
「お、痛くない。ありがと、リーナ。これ、好きだな。リーナの匂いがして」
「えぇ!? わたしの匂い?」
わたしが付けた手形と痛みだから、感謝されると複雑な気分だわ。
でも、その笑顔を見ていると全部、許せるわ。
匂いに関しては何だか、納得が出来ないですけど!
最近では手を差し出すとちょっと躊躇いながらも労わるように握ってから、指を絡めてくれる。
これもわたしの教育の成果よね♪
「どこへ行くの?」
「夜だから、ちゃんと見られなかった噴水広場に行ってから、帰りましょ」
噴水広場は宿から出て、五分も歩かない距離にある。
近いから、行くのではないのよ?
噴水広場にある人工の泉には素敵な言い伝えがあるんですもの。
「人が多いんだね」
「そうでしょうね。有名なのよ? ほら、あれを見て」
「へえ」
日が落ちて、ほとんど人影が無かった昨夜とは違う。
泉を前にして、笑顔の人々がたくさんなのだ。
ここが平和なのだと実感が出来るわね。
中でも目を引くのが泉を背にして、コインを投げている人の姿かしら?
レオも目を丸くして、見ているわ。
これが素敵な言い伝えの作法。
一人で一枚のコインを投げ入れるとまた、パラティーノに来ることが出来る。
二人で二枚のコインを投げ入れると永遠にともに生きられる。
単なるおまじないのようなものであっても縋りたいのが乙女ですわ♪
「という訳でレオ君。わたし達もやるわよ」
「やるんだ? いいよ!」
「いいの?」
「い、いひゃいよ、リーナ」
彼のほっぺたを抓りながら、顔を固定してしっかりと見つめ合うけど、その瞳に迷いの欠片すら見られない。
この子、本当に分かっているのかしら?
「君、本当に分かっているのよね? わたしとずっと一緒にいたいの? 本当にいいの?」
「うん。リーナは嫌なのかな?」
「そ、そんな訳ないじゃない。わたしは君とずっと一緒にいたいもん」
「じゃあ、いいよね。やろうよ」
迷いがない!
わたしよりも迷いがないなんて、本当にわたしのことを好きなのかしら?
でも、君の好きをまだ、いまいち信用が出来ないの。
家族に対する好きから、変わったのかしら?
そうだったら、嬉しいけど……。
投げるコインに金貨を出そうとしたら、無言で首を横に振られたので仕方なく、銀貨にしましたけど。
何か、問題がありまして?
「何、これ……」
「何があったんだ」
物入れに放り込んだ買い物の戦利品をレオに全部、持ってもらい転移を使って、島に戻り、絶句する羽目になるとは……。
目の前に広がる光景は焼け野原に穴だらけの大地。
レオと顔を見合わせて、固まるしかないわ。
本当、何ですの、これ……。
ほっぺたにはっきりと付いた手形を擦っているレオを見るとわたしにだって、少しくらいの罪悪感はあるわ。
あるけれども、それとこれとは話が違うのよ。
乙女としての当然の権利を行使しただけなんだから。
でも、確かアレを触るだけではなくて、舐めたりするのよね……。
無理ですわ! 無理!
「レオ君が悪いのよ? 何も押し付けなくてもいいじゃない」
「違うって。勝手になっていたんだ」
慌てているところを見ると嘘は言ってないわね。
それに君は嘘をつくほど器用でもなければ、不誠実でもないことはよ~く分かっているわ。
「生理現象なのでしょう? 分かっているわ。はい、治癒」
「お、痛くない。ありがと、リーナ。これ、好きだな。リーナの匂いがして」
「えぇ!? わたしの匂い?」
わたしが付けた手形と痛みだから、感謝されると複雑な気分だわ。
でも、その笑顔を見ていると全部、許せるわ。
匂いに関しては何だか、納得が出来ないですけど!
最近では手を差し出すとちょっと躊躇いながらも労わるように握ってから、指を絡めてくれる。
これもわたしの教育の成果よね♪
「どこへ行くの?」
「夜だから、ちゃんと見られなかった噴水広場に行ってから、帰りましょ」
噴水広場は宿から出て、五分も歩かない距離にある。
近いから、行くのではないのよ?
噴水広場にある人工の泉には素敵な言い伝えがあるんですもの。
「人が多いんだね」
「そうでしょうね。有名なのよ? ほら、あれを見て」
「へえ」
日が落ちて、ほとんど人影が無かった昨夜とは違う。
泉を前にして、笑顔の人々がたくさんなのだ。
ここが平和なのだと実感が出来るわね。
中でも目を引くのが泉を背にして、コインを投げている人の姿かしら?
レオも目を丸くして、見ているわ。
これが素敵な言い伝えの作法。
一人で一枚のコインを投げ入れるとまた、パラティーノに来ることが出来る。
二人で二枚のコインを投げ入れると永遠にともに生きられる。
単なるおまじないのようなものであっても縋りたいのが乙女ですわ♪
「という訳でレオ君。わたし達もやるわよ」
「やるんだ? いいよ!」
「いいの?」
「い、いひゃいよ、リーナ」
彼のほっぺたを抓りながら、顔を固定してしっかりと見つめ合うけど、その瞳に迷いの欠片すら見られない。
この子、本当に分かっているのかしら?
「君、本当に分かっているのよね? わたしとずっと一緒にいたいの? 本当にいいの?」
「うん。リーナは嫌なのかな?」
「そ、そんな訳ないじゃない。わたしは君とずっと一緒にいたいもん」
「じゃあ、いいよね。やろうよ」
迷いがない!
わたしよりも迷いがないなんて、本当にわたしのことを好きなのかしら?
でも、君の好きをまだ、いまいち信用が出来ないの。
家族に対する好きから、変わったのかしら?
そうだったら、嬉しいけど……。
投げるコインに金貨を出そうとしたら、無言で首を横に振られたので仕方なく、銀貨にしましたけど。
何か、問題がありまして?
「何、これ……」
「何があったんだ」
物入れに放り込んだ買い物の戦利品をレオに全部、持ってもらい転移を使って、島に戻り、絶句する羽目になるとは……。
目の前に広がる光景は焼け野原に穴だらけの大地。
レオと顔を見合わせて、固まるしかないわ。
本当、何ですの、これ……。
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