44 / 85
第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第39話 お姫様とピーちゃん
しおりを挟む
レオがいない時に危険な本は亜空間に放り込みましたわ。
彼は純真無垢で好奇心の塊。
ああいう本は目の毒になるのね。
勉強になったわ。
それにわたしだって、読んだのが初めてで良く知らないんですもの。
聞かれても困りますわ。
何となく、感覚的にレオのを自分のここにああするのかなとは考えるのですけど……。
でも、それが何を意味するのか。
それが分かりませんわ。
彼が大人になってから、その時に考えればいいわね♪
考え事をしている間に島の神樹に着きました。
「ピーちゃん。何もなかったかしら?」
「ピィーピッ。ピィ」
今日はわたしは一人でここを訪れています。
いつもレオと二人で来る場所ですもの。
レオとネズミ君は農産物の方を見に行かなければならなくて、手が離せないので仕方がありません。
ええ? 違いましてよ?
わたしがいるとかえって、仕事が増えるから、来ないでと言われた訳ではないんだから!
「ピィピ?」
「何でもないわよ?」
神樹を背にして、そのまま腰を下ろすとピーちゃんが膝の上に乗ってきました。
小首を傾げる姿は本当にかわいいですわ~♪
レオがよくわたしのことをピーちゃんよりもかわいいという理由が分かった気がしますの。
ピーちゃんは確かにかわいいんですもの。
考えたら、不思議なことが多いのよね。
まず、ピーちゃんが住処にしているこの神樹も不思議だわ。
わたしのユグドラシルが反応しているのよね。
怪しいわ。
ユグドラシルだけではなくて、魔石も反応しているから、この樹……単なるずっと昔から生えているだけの古い木ではないということよ。
もしかしたら、世界樹と何らかの関係があるのかしら?
「ピィ?」
「ピーちゃんは何か、知っているのかしら?」
「ピッピー」
知っているとでも言わんばかりにわたしの膝上でピョンピョンと軽く、跳ぶピーちゃんの様子は愛らしすぎて、尊いわ。
本当に知っているのかしら?
ピーちゃんも考えれば、考えるほど不思議な子だわ。
レオが言うにはピーちゃんは黄金鳥という鳥型の魔物の雛らしいのよね。
伝承によれば、黄金鳥は火の鳥とも呼ばれる不死鳥の雛で成長すれば、自らの体を炎の中に投じて、フェニックスになるそうなのですけど……。
この伝承は眉唾物だと学者の間でも論争になっているのではなくって?
それに黄金鳥の羽毛は陽光に煌めく、黄金色。
ピーちゃんの羽毛は金色ではあっても陽光に煌めいて、虹色に輝いているのよね。
「あなたは本当は何者なんですの?」
「ピッ? ピィピピー」
翼を広げて、誇らしげに胸を張る姿までかわいいなんて、ずるいわ。
あなたと初めて会った時、仲が良くなれそうにはないと思ったの。
だって、あなたもレオのことが愛しているのでしょう?
彼を愛して、彼に愛されるのはわたし一人だけ。
そう思っていたのに……。
「あなたのことを嫌いな人間なんて、この世界にいるのかしら?」
「ピィ」
ピーちゃんもレオと同じなのよね。
純真で穢れの無い無垢な魂を持っているのよ。
嫌いになんて、なれるはずがないわ。
「ピーちゃんが何者であっても関係ないわよ。あなたはあなたなんですもの。そうでしょ?」
その時、ピーちゃんの瑠璃色の目は深く、何かを思案しているように見えましたけど、気のせいよね。
「おーい! リーナ! ピーちゃん!」
レオは手を振りながら、こちらに向かって走ってきます。
いつもと変わりません。
明るく、皆を照らしてくれる太陽のような笑顔を浮かべてくれる君の為なら……
「レオ君の為なら、何でも出来そうね」
「ピッー」
立ち上がるとピーちゃんは一声、囀ると肩の上に止まりました。
そうよ。
わたしとピーちゃんは仲間……同志なんですもの。
彼は純真無垢で好奇心の塊。
ああいう本は目の毒になるのね。
勉強になったわ。
それにわたしだって、読んだのが初めてで良く知らないんですもの。
聞かれても困りますわ。
何となく、感覚的にレオのを自分のここにああするのかなとは考えるのですけど……。
でも、それが何を意味するのか。
それが分かりませんわ。
彼が大人になってから、その時に考えればいいわね♪
考え事をしている間に島の神樹に着きました。
「ピーちゃん。何もなかったかしら?」
「ピィーピッ。ピィ」
今日はわたしは一人でここを訪れています。
いつもレオと二人で来る場所ですもの。
レオとネズミ君は農産物の方を見に行かなければならなくて、手が離せないので仕方がありません。
ええ? 違いましてよ?
わたしがいるとかえって、仕事が増えるから、来ないでと言われた訳ではないんだから!
「ピィピ?」
「何でもないわよ?」
神樹を背にして、そのまま腰を下ろすとピーちゃんが膝の上に乗ってきました。
小首を傾げる姿は本当にかわいいですわ~♪
レオがよくわたしのことをピーちゃんよりもかわいいという理由が分かった気がしますの。
ピーちゃんは確かにかわいいんですもの。
考えたら、不思議なことが多いのよね。
まず、ピーちゃんが住処にしているこの神樹も不思議だわ。
わたしのユグドラシルが反応しているのよね。
怪しいわ。
ユグドラシルだけではなくて、魔石も反応しているから、この樹……単なるずっと昔から生えているだけの古い木ではないということよ。
もしかしたら、世界樹と何らかの関係があるのかしら?
「ピィ?」
「ピーちゃんは何か、知っているのかしら?」
「ピッピー」
知っているとでも言わんばかりにわたしの膝上でピョンピョンと軽く、跳ぶピーちゃんの様子は愛らしすぎて、尊いわ。
本当に知っているのかしら?
ピーちゃんも考えれば、考えるほど不思議な子だわ。
レオが言うにはピーちゃんは黄金鳥という鳥型の魔物の雛らしいのよね。
伝承によれば、黄金鳥は火の鳥とも呼ばれる不死鳥の雛で成長すれば、自らの体を炎の中に投じて、フェニックスになるそうなのですけど……。
この伝承は眉唾物だと学者の間でも論争になっているのではなくって?
それに黄金鳥の羽毛は陽光に煌めく、黄金色。
ピーちゃんの羽毛は金色ではあっても陽光に煌めいて、虹色に輝いているのよね。
「あなたは本当は何者なんですの?」
「ピッ? ピィピピー」
翼を広げて、誇らしげに胸を張る姿までかわいいなんて、ずるいわ。
あなたと初めて会った時、仲が良くなれそうにはないと思ったの。
だって、あなたもレオのことが愛しているのでしょう?
彼を愛して、彼に愛されるのはわたし一人だけ。
そう思っていたのに……。
「あなたのことを嫌いな人間なんて、この世界にいるのかしら?」
「ピィ」
ピーちゃんもレオと同じなのよね。
純真で穢れの無い無垢な魂を持っているのよ。
嫌いになんて、なれるはずがないわ。
「ピーちゃんが何者であっても関係ないわよ。あなたはあなたなんですもの。そうでしょ?」
その時、ピーちゃんの瑠璃色の目は深く、何かを思案しているように見えましたけど、気のせいよね。
「おーい! リーナ! ピーちゃん!」
レオは手を振りながら、こちらに向かって走ってきます。
いつもと変わりません。
明るく、皆を照らしてくれる太陽のような笑顔を浮かべてくれる君の為なら……
「レオ君の為なら、何でも出来そうね」
「ピッー」
立ち上がるとピーちゃんは一声、囀ると肩の上に止まりました。
そうよ。
わたしとピーちゃんは仲間……同志なんですもの。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【完結】待ってください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。
毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。
だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。
一枚の離婚届を机の上に置いて。
ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。
殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。
真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。
そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが…
7万文字くらいのお話です。
よろしくお願いいたしますm(__)m
政略結婚で結ばれた夫がメイドばかり優先するので、全部捨てさせてもらいます。
hana
恋愛
政略結婚で結ばれた夫は、いつも私ではなくメイドの彼女を優先する。
明らかに関係を持っているのに「彼女とは何もない」と言い張る夫。
メイドの方は私に「彼と別れて」と言いにくる始末。
もうこんな日々にはうんざりです、全部捨てさせてもらいます。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる