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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第25話 無駄に攻めるのが好きな姫
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買取から、戻ってくると二人は仲良く、串に刺された肉を食べている最中。
わたしを差し置いて! なんて、狭量なことは言いませんのよ?
「リーナ! これ、美味しいよ。食べる?」
わたしの姿を見つけて、すぐに駆け寄ってくるレオはまるで仔犬みたいにかわいい。
「食べる?」とさっきまで齧っていた串を差し出してくれるけど、本当にいいのかしら?
わたし、一応お姫様なのですけど?
「ね? 美味しいよね」
「う、うん」
レオのあの真っ直ぐな目に見つめられると断れませんもの。
こういうところでやや無作法に食べるのは初めての経験ですわ。
それも男の子と……レオの食べたのを一緒に食べるなんて、はしたないわ。
え? キスもしているのに今更?
恥じらいは大事ですわよ?
「美味しいわ」
君と間接キスしているから、美味しいの。
なんて、言える訳ないでしょ?
「レオ。口についているわ」
「え? どこ?」
「ここよ」
軽く、口づけをしてから、レオの唇に付いていたタレを舐めとりました。
つい無意識に体が動いたんですもの。
やってしまってから、レオと視線が絡み合って、急に恥ずかしくなってきたのですけど。
レオの顔も赤いですし、わたしも……。
実は素材を買取業者に引き渡すだけではなく、島で必要となる物を買うのも既に済ましてありますの。
南の温かい気候に適した果実や野菜の種子ですわ。
これを使って、島の皆さんに戦うことだけではなく、生み出すことの大切さを学んで欲しい。
そう思いましたの。
済ませている間にレオとネズミ君は食べ歩きを満喫していたのですけど。
二人とも腹ごしらえは十分でしょうから、まずは防具類からですわ。
「スゴイや。たくさん、あるんだね」
「こりゃ、たまげたね。どんだけ、あるんだよ」
二人の反応を見ているだけでも楽しめますわ。
レオは純粋に見たことがない色々な鎧を見て、目を輝かせているので微笑ましいのですけれど、ネズミ君の視線はどうも、怪しいのよね。
女性向けの露出度が高い防具の方を見て、ニヤニヤしているから、ろくなことを考えていないと思いますけど!
「レオ君。わたしも見てくるわ」
わたしが持っているのはいわゆるゴシックドレスばかり。
魔石があしらってあり、魔法を付与しているので並みの金属製鎧よりも遥かに丈夫な代物です。
ただ、色々な意味で防御力が高いということは分かってますの。
レオにアピールするには『運命の泉』に二人で旅した時のローブのように袖丈が短い方がいいのよね。
今、着ているペチコートでもレオが独占欲を見せてくれたんですもの。
もっと攻めていくべきね。
これとこれとそれ、ついでにこれですわ。
いざ、勝負!
「レオぉ~! ちょっと来てぇ~!」
「ど、どうしたの、リーナ?」
わたしが遠くから、呼んだせいかしら?
レオはえらく慌てた様子でやってきてくれたみたい。
心配してくれたの?
「何してるの、リーナ? し、し、しち? 顔だけ出してるけど、大丈夫?」
「試着室よ。何枚か、選んだから、君に決めてもらいたくて」
「うん、分かった! って、ちょっ!?」
元気に返事をしてくれたレオを試着室に引きずり込みました。
本人の了承を得たのだから、問題ありませんでしょう?
「これ、どうかしら?」
狭い試着室に二人きり。
体がくっつくくらいに近いわ。
無理矢理、レオを引っ張ったのもあって、勢い余った彼の顔はわたしの胸の谷間と挨拶をしている。
「んんっー」
「やだぁ。レオったら、それ、くすぐったいわ」
完全に遮断された密室ではないから、あまり大きな声を出すと店員さんに怒られてしまうもの。
小声で耳元で囁くように言うのが効果的なのよね。
「リーナ。いきなり、なに……ええ?」
「やぁん。レオのえっちぃ」
「ち、違うよ。いや、違わないけど、違うよ」
レオは何とか、身を離そうとして、思わず手を付いてしまった。
それがわたしの罠とも知らずに!
わたしの胸を思い切り、鷲掴みにしたんですもの。
レオは言い逃れ出来ないわ。
「責任取ってくれる?」
「え? せ、責任って、何のこと?」
今、わたしが何に着替えているのかというと黒のレースの下着なの。
え? それは防具ではない?
いいえ、違いますわ。
攻めの姿勢という意味ではこれも立派な戦いの道具ですもの。
無言で胸元を差すとそこにはしっかりとわたしの胸を鷲掴みにしたまま、微妙に揉んでいるレオの手が……。
「ね? お嫁さんにしてくれる?」
「え? ええ? リーナは自分でお嫁さんって、言ってたよね」
「そうですけどぉ。君にお嫁さんになってと言われたいの」
レオをそのまま、抱き締めるとまた、彼の顔は谷間に埋まって……あら?
苦しいのかしら?
「リーナ。酷いや。息が出来ないよ」
「もうっ! 次のに着替えるから、君は出ておいて」
「ええ!? 何か、酷くない?」
目をまん丸にして驚いているレオを試着室から、追い出して、次の手ですわ。
わたしを差し置いて! なんて、狭量なことは言いませんのよ?
「リーナ! これ、美味しいよ。食べる?」
わたしの姿を見つけて、すぐに駆け寄ってくるレオはまるで仔犬みたいにかわいい。
「食べる?」とさっきまで齧っていた串を差し出してくれるけど、本当にいいのかしら?
わたし、一応お姫様なのですけど?
「ね? 美味しいよね」
「う、うん」
レオのあの真っ直ぐな目に見つめられると断れませんもの。
こういうところでやや無作法に食べるのは初めての経験ですわ。
それも男の子と……レオの食べたのを一緒に食べるなんて、はしたないわ。
え? キスもしているのに今更?
恥じらいは大事ですわよ?
「美味しいわ」
君と間接キスしているから、美味しいの。
なんて、言える訳ないでしょ?
「レオ。口についているわ」
「え? どこ?」
「ここよ」
軽く、口づけをしてから、レオの唇に付いていたタレを舐めとりました。
つい無意識に体が動いたんですもの。
やってしまってから、レオと視線が絡み合って、急に恥ずかしくなってきたのですけど。
レオの顔も赤いですし、わたしも……。
実は素材を買取業者に引き渡すだけではなく、島で必要となる物を買うのも既に済ましてありますの。
南の温かい気候に適した果実や野菜の種子ですわ。
これを使って、島の皆さんに戦うことだけではなく、生み出すことの大切さを学んで欲しい。
そう思いましたの。
済ませている間にレオとネズミ君は食べ歩きを満喫していたのですけど。
二人とも腹ごしらえは十分でしょうから、まずは防具類からですわ。
「スゴイや。たくさん、あるんだね」
「こりゃ、たまげたね。どんだけ、あるんだよ」
二人の反応を見ているだけでも楽しめますわ。
レオは純粋に見たことがない色々な鎧を見て、目を輝かせているので微笑ましいのですけれど、ネズミ君の視線はどうも、怪しいのよね。
女性向けの露出度が高い防具の方を見て、ニヤニヤしているから、ろくなことを考えていないと思いますけど!
「レオ君。わたしも見てくるわ」
わたしが持っているのはいわゆるゴシックドレスばかり。
魔石があしらってあり、魔法を付与しているので並みの金属製鎧よりも遥かに丈夫な代物です。
ただ、色々な意味で防御力が高いということは分かってますの。
レオにアピールするには『運命の泉』に二人で旅した時のローブのように袖丈が短い方がいいのよね。
今、着ているペチコートでもレオが独占欲を見せてくれたんですもの。
もっと攻めていくべきね。
これとこれとそれ、ついでにこれですわ。
いざ、勝負!
「レオぉ~! ちょっと来てぇ~!」
「ど、どうしたの、リーナ?」
わたしが遠くから、呼んだせいかしら?
レオはえらく慌てた様子でやってきてくれたみたい。
心配してくれたの?
「何してるの、リーナ? し、し、しち? 顔だけ出してるけど、大丈夫?」
「試着室よ。何枚か、選んだから、君に決めてもらいたくて」
「うん、分かった! って、ちょっ!?」
元気に返事をしてくれたレオを試着室に引きずり込みました。
本人の了承を得たのだから、問題ありませんでしょう?
「これ、どうかしら?」
狭い試着室に二人きり。
体がくっつくくらいに近いわ。
無理矢理、レオを引っ張ったのもあって、勢い余った彼の顔はわたしの胸の谷間と挨拶をしている。
「んんっー」
「やだぁ。レオったら、それ、くすぐったいわ」
完全に遮断された密室ではないから、あまり大きな声を出すと店員さんに怒られてしまうもの。
小声で耳元で囁くように言うのが効果的なのよね。
「リーナ。いきなり、なに……ええ?」
「やぁん。レオのえっちぃ」
「ち、違うよ。いや、違わないけど、違うよ」
レオは何とか、身を離そうとして、思わず手を付いてしまった。
それがわたしの罠とも知らずに!
わたしの胸を思い切り、鷲掴みにしたんですもの。
レオは言い逃れ出来ないわ。
「責任取ってくれる?」
「え? せ、責任って、何のこと?」
今、わたしが何に着替えているのかというと黒のレースの下着なの。
え? それは防具ではない?
いいえ、違いますわ。
攻めの姿勢という意味ではこれも立派な戦いの道具ですもの。
無言で胸元を差すとそこにはしっかりとわたしの胸を鷲掴みにしたまま、微妙に揉んでいるレオの手が……。
「ね? お嫁さんにしてくれる?」
「え? ええ? リーナは自分でお嫁さんって、言ってたよね」
「そうですけどぉ。君にお嫁さんになってと言われたいの」
レオをそのまま、抱き締めるとまた、彼の顔は谷間に埋まって……あら?
苦しいのかしら?
「リーナ。酷いや。息が出来ないよ」
「もうっ! 次のに着替えるから、君は出ておいて」
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目をまん丸にして驚いているレオを試着室から、追い出して、次の手ですわ。
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