上 下
6 / 85
第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様

第4話 夫婦だからベッドは一緒

しおりを挟む
 レオの一言で胸のドキドキが止まらなくて、苦しいの。
 レオに触られたら、どうなるのかしら?
 自分でも分からないわ。

 でも、レオが同じとは限らないわ。
 多分、彼は純粋な知的好奇心しか、感じていないのではないかしら?
 自分とは違うからだが不思議で触ってくるだけ。
 そこに愛があるのかは分かりませんわ。

 わたしがレオのを触ったのも単なる好奇心ですわ。
 だって、かわいいんですもの。

「はい?」

 話の内容が全く、入ってこなかったのは先程、レオとやり取りしたことが生々しく、頭の中で再生されていたせいですわ。

「本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、父さん。僕達は一緒にことがあるんだ」
「何だと!?」

 おとう様の顔が一瞬、ものすごいことになりましたけど?
 一緒にのは事実でしてよ。

 お別れするのが辛くて、寂しかったから。
 せめて最後の思い出にと思いましたの。
 最後の夜くらいは同じベッドで一緒に寝たいとわたしが希望したのですわ。
 
 ただ、だけですのにどうして、そんなに深刻な顔をなさるのかしら?

「お前達がそこまでの関係なら、何も言わん」

 良く分からないですけど、何かが許されたみたい。
 何なのかしら?



 おとう様が難しい顔をされていた訳が分かりましてよ。
 夜の穏やかな星明りが照らす室内はぼんやりと薄暗くて、ちょっとロマンチックな雰囲気でした。

 こんな雰囲気の中で部屋にレオと二人きり。
 胸の鼓動がうるさいくらいに仕事をしていて、息苦しさを感じるのはなぜかしら?

「ごめんね、リーナ。部屋が狭いし……そのベッドも小さいんだ」
「え、ええ。か、か、かまわなくてよ」

 あ、焦ってなんて、いなくてよ!?
 レオとお別れすると思った日に一緒に寝たベッドはもっと大きくて、部屋も広かったので勝手が違うから、動揺しているだけですの。

 これは一人用のベッドではなくて?
 確かのあの日、一緒に寝た時はレオを抱き締めてましたけど……。
 もう少し、余裕がありましたし、別れのことを考えて、胸がいっぱいだったんですもの。

 ちょっと動いただけでも体が触れちゃいますわ。

「そろそろ寝た方がよくない?」
「そ、そうね」

 ベッドに二人で並んで座っていて、そんな近い距離で邪気の無い笑顔を向けられて、断れる人がいますの?
 わたしには無理ですわ!

「よいしょっと」
「きゃ!?」
「どうしたの?」

 レオはおもむろに立ち上がると服を脱ぎ始めて、あっという間に下着一枚だけに……。
 早いですわね。
 あまりの早さにじっと見ていて、恥ずかしいのですけど。

「僕のを触ったりしていたのに変なリーナ」
「あ、あれはその……かわいく、見えたから、小っちゃくて……レオみたいで」
「何か、小っちゃいって、傷つくなあ」

 そう言いながらも口を大きく開けて、朗らかに笑って見せるレオはかわいいのだわ。

「リーナは寝る時に着替えるんだよね? 後ろを向いた方がいいよね。終わったら教えて!」
「レオ……」

 しかもちゃんと約束を覚えていて、守ってくれるなんて。
 あの儀式の時のことを覚えていてくれたんだわ。

 服を脱がなくてはいけなかったから、後ろを向いて振り向かないで!
 言い方がちょっときつくなった気がして、後ろめたかったのですけど、レオはちゃんと守ってくれました。

 誰よりも優しくて、わたしのことを見てくれる……。
 だから、あなたのことが好きなの。

「す、す、すぐに終わるから、先にベッドに入って、寝ていて……よ、よろしくてよ」
「うん」

 声が震えたけど、ちゃんと言えたかしら?
 レオは元気よく返事をしてくれたけど……。

 シーツの布が擦れる音が聞こえたから、約束を守ってくれたのね。
 今、レオはこちらに背を向けて、横になっているはず!

 わたし、勝負に出ますわ。
 女は度胸ですもの!
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

不遇な王妃は国王の愛を望まない

ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨ 〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。 ※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

処理中です...