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40話 レイチェルと紅の飛竜
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「そうでしたか。復活したんですね……」
お母さんから、最悪の事態を考えておくように言われたので予想はしていたのですが、いざ、現実となると辛いものがあります。
「はい。現在、王都は魔王竜の手に落ちました。ブレイズ家、ウィンディ家、フロウ家、第二騎士団が一致団結し、何とか、押し留めているのが現状です」
「わたしを探していたのですね?」
「ええ……それは……そうなんですが」
ペドロさんは言い淀み、視線を逸らすようにして、窓の外を見つめます。
「実は、聖女様にお願いがあって参った次第であります……」
「お願いですか?」
「はい。その……実は……」
ペドロさんは再び、口籠り、目を伏せながらもわたしが王国を離れてから、起きた出来事について、語ってくれました。
復活した魔王竜により、王都が壊滅したこと。
押し留めているといっても、どうにか拮抗しているだけの状態であること。
いつ破られてもおかしくない状況であり、現在は動きを止めているので辛うじて、助かっているだけに過ぎないこと。
そして、魔王竜が再び活動を開始したら、もう止める手立てがないこと。
「そこで大変、厚かましいお願いであることは分かっておりますが、聖女様のお力を貸していただきたいのです」
「しかし、わたしは追放された身ですから……」
自分でも少々、卑怯な言い方をしていると思いました。
追放を言い渡した当の本人が既にいないのです。
そのようなことを言っている状況ではないことも分かっています。
「それに、わたしには戦う力がありません。皆様の足を引っ張るだけです」
「いえ! そんなことはございません」
ペドロさんは慌てて、否定してくれますが戦えないというのは事実だと思うのです。
「聖女様がいなければ、この国は終わりです。どうか、お力を!」
「でも……」
「お願いいたします!」
深々と頭を下げるペドロさんに、わたしは何も言えなくなってしまいました。
どうしたらいいのか分からず、困っていると……
「その戦い、俺に任せろ」
ガタンという凄まじい音とともに跳ね返るほどの勢いの良さでドアが開かれました。
暮れなずむ夕陽を背景に静かに佇んでいたのはカーミルさんでした。
「カ、カーミルさん!?」
「ああ。戦いは俺の仕事だ……」
カーミルさんにエスコートされるように広場へと向かったわたしを待っていたのはお母さん――ヴェルミリオンでした。
「どうして、お母さんまでいるの?」
「んー? それは決まっておろう。可愛い娘の為さ」
嘘ですね。
絶対、面白いものが見られると思って、姿を現したのに決まっています。
お母さんはそういう人……人ではないかもしれませんが、そういう方なのです。
「陸を行ったら、手遅れになるのよ。分かっている?」
「分かっています。ですが、わたしには何も出来ません」
「本当に?」
お母さんの両目が妖しく、金色の光を放ちます。
あっ、この光は……いけない……わ、わたしの意識がっ……消えていきます。
ダメ……わたし……わたしはっ!
お母さんから、最悪の事態を考えておくように言われたので予想はしていたのですが、いざ、現実となると辛いものがあります。
「はい。現在、王都は魔王竜の手に落ちました。ブレイズ家、ウィンディ家、フロウ家、第二騎士団が一致団結し、何とか、押し留めているのが現状です」
「わたしを探していたのですね?」
「ええ……それは……そうなんですが」
ペドロさんは言い淀み、視線を逸らすようにして、窓の外を見つめます。
「実は、聖女様にお願いがあって参った次第であります……」
「お願いですか?」
「はい。その……実は……」
ペドロさんは再び、口籠り、目を伏せながらもわたしが王国を離れてから、起きた出来事について、語ってくれました。
復活した魔王竜により、王都が壊滅したこと。
押し留めているといっても、どうにか拮抗しているだけの状態であること。
いつ破られてもおかしくない状況であり、現在は動きを止めているので辛うじて、助かっているだけに過ぎないこと。
そして、魔王竜が再び活動を開始したら、もう止める手立てがないこと。
「そこで大変、厚かましいお願いであることは分かっておりますが、聖女様のお力を貸していただきたいのです」
「しかし、わたしは追放された身ですから……」
自分でも少々、卑怯な言い方をしていると思いました。
追放を言い渡した当の本人が既にいないのです。
そのようなことを言っている状況ではないことも分かっています。
「それに、わたしには戦う力がありません。皆様の足を引っ張るだけです」
「いえ! そんなことはございません」
ペドロさんは慌てて、否定してくれますが戦えないというのは事実だと思うのです。
「聖女様がいなければ、この国は終わりです。どうか、お力を!」
「でも……」
「お願いいたします!」
深々と頭を下げるペドロさんに、わたしは何も言えなくなってしまいました。
どうしたらいいのか分からず、困っていると……
「その戦い、俺に任せろ」
ガタンという凄まじい音とともに跳ね返るほどの勢いの良さでドアが開かれました。
暮れなずむ夕陽を背景に静かに佇んでいたのはカーミルさんでした。
「カ、カーミルさん!?」
「ああ。戦いは俺の仕事だ……」
カーミルさんにエスコートされるように広場へと向かったわたしを待っていたのはお母さん――ヴェルミリオンでした。
「どうして、お母さんまでいるの?」
「んー? それは決まっておろう。可愛い娘の為さ」
嘘ですね。
絶対、面白いものが見られると思って、姿を現したのに決まっています。
お母さんはそういう人……人ではないかもしれませんが、そういう方なのです。
「陸を行ったら、手遅れになるのよ。分かっている?」
「分かっています。ですが、わたしには何も出来ません」
「本当に?」
お母さんの両目が妖しく、金色の光を放ちます。
あっ、この光は……いけない……わ、わたしの意識がっ……消えていきます。
ダメ……わたし……わたしはっ!
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