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48 詰問
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「この国の王、つまりローズマリーの父親を呪殺した魔女は貴方なのかしら?」
ゼニーヌの寝室には隠し部屋へと通じるドアが隠されており、その向こうには悪趣味な拷問器具や卑猥な道具で満たされた、まさに悪魔の眷属が住まうに相応しい場所があった。
「キヒヒ。何をとち狂ったことを言ってるんだい? この国の間抜けな王を殺した魔女はとっくにやられちまってるだろ」
「そうね。にも関わらず、王妃様の呪いは解けていない。これをどう説明するのかしら?」
「そんなの知ったことじゃないんだよ! 質問は終わりかい? ならさっさと解放しな。でないとまたイジメるよ。お前のその嫌らしい体を弄んじまうよ」
魔女を縛る鎖がジャラジャラと音を立てる。
「まぁ、分かっていたことだけど、簡単に口を割るわけはないわよね。なら不本意だけど野蛮な方法に頼らざるを得ないわ」
フローナの手がゼニーヌの服を剥ぎ取る。大きな胸部が揺れて、ラーズが少し居心地悪そうに視線を彷徨わせた。
「なんだい。さっきの仕返しってわけかい? アンタも楽しんでたじゃないか」
「見解の相違ね。痛ぶられて喜ぶ趣味は私にはないわ」
「ハッ。ならどうしてそんなもんを体に入れてるんだい? 好きなんだろ? 蹂躙されるのが。キャハハ! このクソビッチ! クソビッチが!!」
「魔女のくせに魔術紋と隷属紋の違いも分からないのかしら? でもまぁいいわ。貴方がそんな人だからこそ、これからの行いを肯定できるのだから」
紫電がフローナの全身を駆け巡る。そしてーー
「ひ、ひぃいい。す、すみませんでした。な、なんでも言います。なんでも言いますから、も、もうゆるひてぇええ!!」
魔女としての顔を見せる前、ゼニーヌとしての表情で魔女が懇願する。
「王を術殺したのは貴方なのかしら?」
「……です」
「何? 聞こえないわよ」
放たれた雷が鞭のようにゼニーヌの体を打ち据える。
「ぎゃああああ!? あ、悪魔! 王を術殺したのは魔女ではなく悪魔です」
「なんですって? つまり爵位持ちの悪魔がこの城にいるというの?」
「こ、これ以上は、その、い、言えないんです」
「いいえ。言うのよ」
雷がまたも魔女を打つ。
「やぁああああ!! あっ、ああっ、やめ……ハァハァ……お、王妃の寝室。そ、そこにいけば、わ、わかりまひゅ。だ、だからもう、ゆ、ゆるひて」
「お母様の? それはどういう意味ですか?」
聞き捨てならないセリフに二人の間に割り込む。私の詰問にゼニーヌは泣きじゃくる子供のように首を振った。
「言えない。言えない。これ以上は本当に言えないんです。し、信じてくださぁ~い」
「魔女の言葉を信じられるとでも?」
フローナの雷が激しさを増してゼニーヌを襲う。何度も何度も。何度も何度も。やがて魔女は動かなくなった。
「フローナ。もうそれ以上は」
白目を剥くゼニーヌの足を液体が伝う。肉の焼け焦げた匂いと、アンモニア臭が悪趣味な部屋を満たした。
「そうね。ここまでやって吐かないのであれば、これ以上の情報は今すぐには引き出せないでしょうね」
「お母様の部屋と言ってましたが、そこに何があるのでしょうか?」
「分からないわ。城に戻ってきたばかりだし、王妃様は寝室で眠ったままとしか」
「私もそれしか聞いてません。ラーズは何か知っていますか? ……ラーズ?」
彼は咄嗟に私から視線を逸らした。
「何か知っているんですね」
「あっ、いえ……その……」
「ラーズ。答えなさい」
「……はい。実はーー」
ゼニーヌの寝室には隠し部屋へと通じるドアが隠されており、その向こうには悪趣味な拷問器具や卑猥な道具で満たされた、まさに悪魔の眷属が住まうに相応しい場所があった。
「キヒヒ。何をとち狂ったことを言ってるんだい? この国の間抜けな王を殺した魔女はとっくにやられちまってるだろ」
「そうね。にも関わらず、王妃様の呪いは解けていない。これをどう説明するのかしら?」
「そんなの知ったことじゃないんだよ! 質問は終わりかい? ならさっさと解放しな。でないとまたイジメるよ。お前のその嫌らしい体を弄んじまうよ」
魔女を縛る鎖がジャラジャラと音を立てる。
「まぁ、分かっていたことだけど、簡単に口を割るわけはないわよね。なら不本意だけど野蛮な方法に頼らざるを得ないわ」
フローナの手がゼニーヌの服を剥ぎ取る。大きな胸部が揺れて、ラーズが少し居心地悪そうに視線を彷徨わせた。
「なんだい。さっきの仕返しってわけかい? アンタも楽しんでたじゃないか」
「見解の相違ね。痛ぶられて喜ぶ趣味は私にはないわ」
「ハッ。ならどうしてそんなもんを体に入れてるんだい? 好きなんだろ? 蹂躙されるのが。キャハハ! このクソビッチ! クソビッチが!!」
「魔女のくせに魔術紋と隷属紋の違いも分からないのかしら? でもまぁいいわ。貴方がそんな人だからこそ、これからの行いを肯定できるのだから」
紫電がフローナの全身を駆け巡る。そしてーー
「ひ、ひぃいい。す、すみませんでした。な、なんでも言います。なんでも言いますから、も、もうゆるひてぇええ!!」
魔女としての顔を見せる前、ゼニーヌとしての表情で魔女が懇願する。
「王を術殺したのは貴方なのかしら?」
「……です」
「何? 聞こえないわよ」
放たれた雷が鞭のようにゼニーヌの体を打ち据える。
「ぎゃああああ!? あ、悪魔! 王を術殺したのは魔女ではなく悪魔です」
「なんですって? つまり爵位持ちの悪魔がこの城にいるというの?」
「こ、これ以上は、その、い、言えないんです」
「いいえ。言うのよ」
雷がまたも魔女を打つ。
「やぁああああ!! あっ、ああっ、やめ……ハァハァ……お、王妃の寝室。そ、そこにいけば、わ、わかりまひゅ。だ、だからもう、ゆ、ゆるひて」
「お母様の? それはどういう意味ですか?」
聞き捨てならないセリフに二人の間に割り込む。私の詰問にゼニーヌは泣きじゃくる子供のように首を振った。
「言えない。言えない。これ以上は本当に言えないんです。し、信じてくださぁ~い」
「魔女の言葉を信じられるとでも?」
フローナの雷が激しさを増してゼニーヌを襲う。何度も何度も。何度も何度も。やがて魔女は動かなくなった。
「フローナ。もうそれ以上は」
白目を剥くゼニーヌの足を液体が伝う。肉の焼け焦げた匂いと、アンモニア臭が悪趣味な部屋を満たした。
「そうね。ここまでやって吐かないのであれば、これ以上の情報は今すぐには引き出せないでしょうね」
「お母様の部屋と言ってましたが、そこに何があるのでしょうか?」
「分からないわ。城に戻ってきたばかりだし、王妃様は寝室で眠ったままとしか」
「私もそれしか聞いてません。ラーズは何か知っていますか? ……ラーズ?」
彼は咄嗟に私から視線を逸らした。
「何か知っているんですね」
「あっ、いえ……その……」
「ラーズ。答えなさい」
「……はい。実はーー」
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