22 / 26
22 誘拐
しおりを挟む
「別に貴方のことを忘れてたわけじゃないのよ~ ? というか、ふふ。あり得ないでしょう、貴方の様な個性的な生徒を忘れるなんて~」
何かしら? ミララ先生、口調こそ穏やかだけど、怒りが隠しきれてない感じだわ。お姉様、何かしたのかしら?
お姉様が色紙に新たな文字を書く。
『登校初日にしてこの存在感。さすわた』
「お姉様? さすわたとは何ですか?」
『流石は私の略です』
「ああ、なるほーーうっ!?」
首筋に鋭い痛みが走った。
「嫌だわ~。姉妹揃って先生のこと無視しないでほしいわね~」
先生の爪、ナイフというよりもまるで剣のような切れ味だわ。吸血鬼は魔族の中でも特に戦闘能力が高いと聞くし、私の力でこの状況を脱するのは難しそう。
「GA」
「あら、態度を改める気になったかしら?」
「GA」
「ごめんなさいね~。なんて言ってるのか分からないわ。お得意のお絵かきで教えてくるかしら。妹さんを人質に取られている今の気持ちを」
「お姉様、私のことはーーんぐっ!?」
「もう、シルビィさんったら、そんなに私の指を舐め舐めしたかったのかしら~? 良い子だから黙ってましょうね~」
また口の中に指を入れられた。いっそ噛み付いてやろうかしら? あっ、でもこの爪、ナイフのように伸ばせるのよね。
お姉様は口の中に凶器を入れられた私をジッと見つめた後、色紙にサラサラと文字を書いていく。そしてーー
「GA」
いや、授業じゃないんだから、手を上げる必要はないでしょうに。
「流石は偽王。妹を人質に取られているというのに余裕ね~。そんなヘレナさんはこの状況で一体何を言いたいのかしら? はい、そう言うわけでヘレナさん。答えをどうぞ~」
「GA」
お姉様が色紙をこちらに向ける。
『私の可愛い妹に手を出すと~』
両面に書いていたようで、そこで色紙がクルリと反転する。
『死んじゃうぞ(>人<;)』
お姉様の残像が見えた気がした。直後ーー
ドカン!! と激しい音がしたと思ったら私の隣にお姉様が立っていた。
『お姉ちゃんの活躍見てくれた?』
「えっと、早すぎて何も見えませんでした」
『oh(T ^ T)』
「あの、お姉様? その変な顔のような絵は何ですか?」
『可愛くない?』
「え? うーん。……あっ、そんなことよりも先生はどうしたんですか?」
「GA」
お姉様が指を刺した方向には大きな穴が開いた壁があった。人をどんな速度で叩きつければあんな風に穴が開くのかしら? 普通なら生存を疑うレベルだけど相手は吸血鬼なのよね。
「お姉様、倒したとは限りません。油断しないでくださいね」
『任せて~✌︎('ω'✌︎ )』
私とお姉様は壁の穴を警戒する。するとーー
「きゃああああ」
「え ?」
「GA?」
何で背後から悲鳴が? 慌てて振り返ってみればクラスメイト達が何やら驚いたような顔をしているだけで、特に何も……あれ?
「ロイ? ロイはどこ?」
「あの、ターニャ先生がいきなり起き上がったと思ったら、転移の魔法具でロイとクルス君を連れて行っちゃいました」
「そ、そんな!?」
『Σ(゚д゚lll)』
転移の魔法具による誘拐。それは六年前の私達と同じじゃない。
何かしら? ミララ先生、口調こそ穏やかだけど、怒りが隠しきれてない感じだわ。お姉様、何かしたのかしら?
お姉様が色紙に新たな文字を書く。
『登校初日にしてこの存在感。さすわた』
「お姉様? さすわたとは何ですか?」
『流石は私の略です』
「ああ、なるほーーうっ!?」
首筋に鋭い痛みが走った。
「嫌だわ~。姉妹揃って先生のこと無視しないでほしいわね~」
先生の爪、ナイフというよりもまるで剣のような切れ味だわ。吸血鬼は魔族の中でも特に戦闘能力が高いと聞くし、私の力でこの状況を脱するのは難しそう。
「GA」
「あら、態度を改める気になったかしら?」
「GA」
「ごめんなさいね~。なんて言ってるのか分からないわ。お得意のお絵かきで教えてくるかしら。妹さんを人質に取られている今の気持ちを」
「お姉様、私のことはーーんぐっ!?」
「もう、シルビィさんったら、そんなに私の指を舐め舐めしたかったのかしら~? 良い子だから黙ってましょうね~」
また口の中に指を入れられた。いっそ噛み付いてやろうかしら? あっ、でもこの爪、ナイフのように伸ばせるのよね。
お姉様は口の中に凶器を入れられた私をジッと見つめた後、色紙にサラサラと文字を書いていく。そしてーー
「GA」
いや、授業じゃないんだから、手を上げる必要はないでしょうに。
「流石は偽王。妹を人質に取られているというのに余裕ね~。そんなヘレナさんはこの状況で一体何を言いたいのかしら? はい、そう言うわけでヘレナさん。答えをどうぞ~」
「GA」
お姉様が色紙をこちらに向ける。
『私の可愛い妹に手を出すと~』
両面に書いていたようで、そこで色紙がクルリと反転する。
『死んじゃうぞ(>人<;)』
お姉様の残像が見えた気がした。直後ーー
ドカン!! と激しい音がしたと思ったら私の隣にお姉様が立っていた。
『お姉ちゃんの活躍見てくれた?』
「えっと、早すぎて何も見えませんでした」
『oh(T ^ T)』
「あの、お姉様? その変な顔のような絵は何ですか?」
『可愛くない?』
「え? うーん。……あっ、そんなことよりも先生はどうしたんですか?」
「GA」
お姉様が指を刺した方向には大きな穴が開いた壁があった。人をどんな速度で叩きつければあんな風に穴が開くのかしら? 普通なら生存を疑うレベルだけど相手は吸血鬼なのよね。
「お姉様、倒したとは限りません。油断しないでくださいね」
『任せて~✌︎('ω'✌︎ )』
私とお姉様は壁の穴を警戒する。するとーー
「きゃああああ」
「え ?」
「GA?」
何で背後から悲鳴が? 慌てて振り返ってみればクラスメイト達が何やら驚いたような顔をしているだけで、特に何も……あれ?
「ロイ? ロイはどこ?」
「あの、ターニャ先生がいきなり起き上がったと思ったら、転移の魔法具でロイとクルス君を連れて行っちゃいました」
「そ、そんな!?」
『Σ(゚д゚lll)』
転移の魔法具による誘拐。それは六年前の私達と同じじゃない。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
婚約者が高貴なご令嬢と愛し合ってるようなので、私は身を引きます。…どうして困っているんですか?
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
大切な婚約者に、浮気されてしまった……。
男爵家の私なんかより、伯爵家のピア様の方がきっとお似合いだから。そう思って、素直に身を引いたのだけど。
なんかいろいろ、ゴタゴタしているらしいです。
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
前話
【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
神崎 ルナ
恋愛
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる