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18 誘い
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朝だ。外で小鳥がチュン、チュンと鳴いている。それに誘われたのかは分からないが隣で眠るシーラが目覚めるのが分かった。
「んっ……あっ、ル、ルド君? えっと、お、おはよう」
「おはようシーラ。体は大丈夫か?」
「? 大丈夫だよ。でもなんでルド君がここに……あ、ああっ!? そ、そうだったね。昨日私達……」
眠たげだった瞳を見開くと、シーラは服を着ていた時よりも主張が激しい二つの膨らみを両手で隠した。
「どうして今更照れるんだ? 昨日散々互いの体を触り合っただろう」
「そ、そ、それはそうだけど、ね? な、なんだか、は、恥ずかしくて。ご、ごめんね?」
「いや、別に謝る必要はないぞ」
途中からは随分と積極的だったのに、行為が終わった途端に豹変する。恥じらいというやつだろうか? 知識として知ってはいても自分にはない感情というものは、やはり何度見ても興味深いものだ。
「そういえば俺以外には見られたくないと言っていたが、ベルザならいいのか?」
「へ? な、なんでそんなこと……ひょっとして……う、うん。いいよ? すごく恥ずかしいけど、その、ルド君が三人で、し、したいなら……私は三人でも、へ、平気だよ?」
「そうか? それならいいのだが」
意思の疎通に若干の齟齬があるような気もしたが、問題はないとのことなので俺は特に何もしないことにした。すぐに部屋の外から声が聞こえてきた。
「シーラ、ここにいるの? あら、なんで鍵が壊れているのかしら」
「鍵穴ごと握り潰されています。学生同士のトラブルを減らすため、特に頑強に作られているはずの扉が」
「ま、まぁ。ドラゴンと殴り合ったのならこれくらいは出来て当然なんでしょうけど。じゃなくて! シーラ、いないの? 聞きなさい。凄いことが起こった……わ、よ?」
部屋に入ってきたベルザとカーラ。二人は全裸で抱き合う俺とシーラを見て動きをぴたりと止めた。
「ふぇええ!? え? べ、ベルザ様!? そ、それにカーラさんまで。な、なんでここに?」
シーラは慌ててベッドの脇に置いてある眼鏡を手に取った。胸や下半身は出しっぱなしなのに、まず身につけるのが眼鏡なのか。やはり人間の行動は不思議だ。
「えっと、その、あ、か、帰ってきてたのね、ルド」
「ああ。おはよう、ベルザ、カーラ。朝食作るが、お前たちも食べていくか?」
「そ、そうね。頂こうかしら。昨日はずっと会議で休む時間もなかったから」
そんなに珍しいのだろうか? ベルザのみならずカーラまで俺の体のある部分を凝視している。二人とも地位のある人間なのだから見ようと思えば見放題だと思うのだが。
「あ、ルド君。ご飯なら私が作るよ」
「いや、俺にやらせてくれ。一度作ってみたかったんだ」
「そう? なら手伝うよ。あ、あとね、ルド君」
「なんだ?」
「ルド君がそうしたいなら私は全然平気だけど。料理をするときはその、服を着た方がいい……かも」
「ふむ。部屋の中でもそうなのか。分かった。シーラがそう言うならそうしよう。そういう訳で服を着るが構わないか?」
ベルザとカーラが慌てて俺から視線を外す。
「な、なんで私に聞くのかしら?」
「いや、珍しそうに見ていただろ?」
「気のせいよ。それよりも料理なら私も手伝うわ」
「私もお手伝い致します」
「そうか? まぁ好きにしてくれ」
流石にこの部屋の台所に四人は多すぎな気もするが、何事もチャレンジだろう。
そんな訳で料理を作った。
品物はチャーハンなるものにチャレンジした。カーラも一緒に食べればいいのに、護衛の務めと言って俺達がテーブルを囲む中、一人だけベルザの背後に控えている。
「え!? ゆ、勇者って、あの勇者ですか?」
「お茶だ。どうぞ」
「そう。聖王女様が予言なされた悪魔を地上より一掃する、あの勇者。彼がついに現れたのよ!」
「紅茶だ。どうぞ」
「彼……勇者は男なんですか?」
「聖王国からの正式発表は出ていないわ。でも話を聞く限り皆勇者は男だと思ってるみたいね」
「コーヒーだ。どうぞ」
「お気持ちだけ頂きます」
「そうか。まぁ欲しくなったら言ってくれ」
カーラに断られたので、コーヒーは俺が飲むことにした。シーラとベルザは何やら話し込んでいる。
「それで中継大陸に十三番目の王国を作ることが決まったの。恐らくはこの国がこれから悪魔との戦いにおける最前線になるでしょうね。その建国及び人類の手に戻ってきた中継大陸の防衛に、奪還作戦に参加するはずだった者達が就くことが決まったわ」
「えっと、それは、その、つまり……べ、ベルザ様も?」
「ええ。ちょっと早い卒業式になりそう。それでなんだけど、ルドもいるし先日の返事を聞かせてもらえないかしら?」
「それは、あの、ベルザ様のロイヤルガーディアンにならないかというお話のこと、ですよね?」
「ええ。前はあなた達の意思に任せると言ったけれど、状況も変わったし、私としては一緒に来て欲しいと思ってるわ。ううん。ぜひ一緒に来てくれないかしら?」
「あの、私はルド君が一緒なら別にいいですけど」
二人の視線がこっちを向く。ううむ。これは困ったな。
(意外です。マスターなら二つ返事で了承するかと)
婚約者の頼みだ。無論俺に嫌はない。嫌はないのだが、せっかくの学生生活がもう終わりというのは早過ぎやしないだろうか? ……そうだ!
「話を受けるのはいいが、学校に通いながらでもいいか?」
「ル、ルド君、行き先は中継大陸なんだよ? 高速船使っても片道三日はかかるんだからね」
「いや、俺は空間転移が使えるから問題ないぞ」
「そ、そうなの!? え? でも本当に遠いんだよ?」
「大丈夫だ。この間行ったばかりだしな」
「凄い! 凄いよルド君。無敵だね」
シーラが嬉しそうな顔をするものだから、その頭を撫でてあげる。奥さんが出来たのは初めての経験だが、ただでさえ可愛いシーラが妻というだけで更に可愛く見えるから不思議だ。
(マスター。シーラ様とは既に一線を越えた男女の仲。ここの正解はキスだと不肖賢者の石は主張します)
賢者の石が変なアドバイスをしてきた。だが昨夜は賢者の石のおかげでシーラも喜んでいたし、俺は言われた通りキスをすることにした。
(この場面ではガッツリ行ってはいけませよ。優しく。やさし~く。そう、それです! いい、いいですよ。昨夜と同じく何かが込み上げてくるようです。この場面はルド様の脳に永久保存版として記録しておきますね)
ルドの脳内に俺でも消すのに手間が掛かりそうな強いエピソード記録が追加された。
「あっ」
という声に誘われて視線をベルザに向ける。彼女は何故か知らないが立ち上がって目を大きく見開いていた。心なし頬も赤い。後ろのカーラまで似たような顔をしている。
「どうした?」
「あ、いや、な、なんでもないです……ないわ。と、とにかく、その、考えておいてね。今日はこれで失礼するわ」
「いいのか?」
まだロイヤルガーディアンとやらの返事もしてないのに。
「え、ええ。やっぱり急かすのも悪いしね。ほら、い、いくわよカーラ。……カーラ?」
「は、はい。ただいま。で、ではルド様、失礼いたします」
「ああ。遠慮せずにいつでも来いよ」
二人は逃げるように出て行った。……なんだったのだ?
(ベルザ様とカーラ様から僅かな性的興奮を感知。恐らく二人はルド様に抱かれたがっているものと思われます)
何故突然!? いや、ベルザは俺の婚約者。子作りについてまだ話し合ってはいないが別におかしな話ではない……のか? だがカーラまでもとは。人間の生殖に関する心は複雑と聞くが、本当に予想が困難だ。そもそも俺に抱かれたいなら何故部屋を出ていくのだろうか?
「どうしたのルド君、難しい顔して。あの、ふ、不安なら、ロイヤルガーディアンには無理してならなくていいと思うよ。きっとベルザ様も分かってくれるよ」
「シーラ、カーラも妻にしていいか?」
「うん。……えっ!? い、今なんて言ったのルド君?」
シーラの許可を貰うのに意外なほど時間が掛かった。前は何人でも抱いていいと言ってたのに。やはり女心は謎だ。
「んっ……あっ、ル、ルド君? えっと、お、おはよう」
「おはようシーラ。体は大丈夫か?」
「? 大丈夫だよ。でもなんでルド君がここに……あ、ああっ!? そ、そうだったね。昨日私達……」
眠たげだった瞳を見開くと、シーラは服を着ていた時よりも主張が激しい二つの膨らみを両手で隠した。
「どうして今更照れるんだ? 昨日散々互いの体を触り合っただろう」
「そ、そ、それはそうだけど、ね? な、なんだか、は、恥ずかしくて。ご、ごめんね?」
「いや、別に謝る必要はないぞ」
途中からは随分と積極的だったのに、行為が終わった途端に豹変する。恥じらいというやつだろうか? 知識として知ってはいても自分にはない感情というものは、やはり何度見ても興味深いものだ。
「そういえば俺以外には見られたくないと言っていたが、ベルザならいいのか?」
「へ? な、なんでそんなこと……ひょっとして……う、うん。いいよ? すごく恥ずかしいけど、その、ルド君が三人で、し、したいなら……私は三人でも、へ、平気だよ?」
「そうか? それならいいのだが」
意思の疎通に若干の齟齬があるような気もしたが、問題はないとのことなので俺は特に何もしないことにした。すぐに部屋の外から声が聞こえてきた。
「シーラ、ここにいるの? あら、なんで鍵が壊れているのかしら」
「鍵穴ごと握り潰されています。学生同士のトラブルを減らすため、特に頑強に作られているはずの扉が」
「ま、まぁ。ドラゴンと殴り合ったのならこれくらいは出来て当然なんでしょうけど。じゃなくて! シーラ、いないの? 聞きなさい。凄いことが起こった……わ、よ?」
部屋に入ってきたベルザとカーラ。二人は全裸で抱き合う俺とシーラを見て動きをぴたりと止めた。
「ふぇええ!? え? べ、ベルザ様!? そ、それにカーラさんまで。な、なんでここに?」
シーラは慌ててベッドの脇に置いてある眼鏡を手に取った。胸や下半身は出しっぱなしなのに、まず身につけるのが眼鏡なのか。やはり人間の行動は不思議だ。
「えっと、その、あ、か、帰ってきてたのね、ルド」
「ああ。おはよう、ベルザ、カーラ。朝食作るが、お前たちも食べていくか?」
「そ、そうね。頂こうかしら。昨日はずっと会議で休む時間もなかったから」
そんなに珍しいのだろうか? ベルザのみならずカーラまで俺の体のある部分を凝視している。二人とも地位のある人間なのだから見ようと思えば見放題だと思うのだが。
「あ、ルド君。ご飯なら私が作るよ」
「いや、俺にやらせてくれ。一度作ってみたかったんだ」
「そう? なら手伝うよ。あ、あとね、ルド君」
「なんだ?」
「ルド君がそうしたいなら私は全然平気だけど。料理をするときはその、服を着た方がいい……かも」
「ふむ。部屋の中でもそうなのか。分かった。シーラがそう言うならそうしよう。そういう訳で服を着るが構わないか?」
ベルザとカーラが慌てて俺から視線を外す。
「な、なんで私に聞くのかしら?」
「いや、珍しそうに見ていただろ?」
「気のせいよ。それよりも料理なら私も手伝うわ」
「私もお手伝い致します」
「そうか? まぁ好きにしてくれ」
流石にこの部屋の台所に四人は多すぎな気もするが、何事もチャレンジだろう。
そんな訳で料理を作った。
品物はチャーハンなるものにチャレンジした。カーラも一緒に食べればいいのに、護衛の務めと言って俺達がテーブルを囲む中、一人だけベルザの背後に控えている。
「え!? ゆ、勇者って、あの勇者ですか?」
「お茶だ。どうぞ」
「そう。聖王女様が予言なされた悪魔を地上より一掃する、あの勇者。彼がついに現れたのよ!」
「紅茶だ。どうぞ」
「彼……勇者は男なんですか?」
「聖王国からの正式発表は出ていないわ。でも話を聞く限り皆勇者は男だと思ってるみたいね」
「コーヒーだ。どうぞ」
「お気持ちだけ頂きます」
「そうか。まぁ欲しくなったら言ってくれ」
カーラに断られたので、コーヒーは俺が飲むことにした。シーラとベルザは何やら話し込んでいる。
「それで中継大陸に十三番目の王国を作ることが決まったの。恐らくはこの国がこれから悪魔との戦いにおける最前線になるでしょうね。その建国及び人類の手に戻ってきた中継大陸の防衛に、奪還作戦に参加するはずだった者達が就くことが決まったわ」
「えっと、それは、その、つまり……べ、ベルザ様も?」
「ええ。ちょっと早い卒業式になりそう。それでなんだけど、ルドもいるし先日の返事を聞かせてもらえないかしら?」
「それは、あの、ベルザ様のロイヤルガーディアンにならないかというお話のこと、ですよね?」
「ええ。前はあなた達の意思に任せると言ったけれど、状況も変わったし、私としては一緒に来て欲しいと思ってるわ。ううん。ぜひ一緒に来てくれないかしら?」
「あの、私はルド君が一緒なら別にいいですけど」
二人の視線がこっちを向く。ううむ。これは困ったな。
(意外です。マスターなら二つ返事で了承するかと)
婚約者の頼みだ。無論俺に嫌はない。嫌はないのだが、せっかくの学生生活がもう終わりというのは早過ぎやしないだろうか? ……そうだ!
「話を受けるのはいいが、学校に通いながらでもいいか?」
「ル、ルド君、行き先は中継大陸なんだよ? 高速船使っても片道三日はかかるんだからね」
「いや、俺は空間転移が使えるから問題ないぞ」
「そ、そうなの!? え? でも本当に遠いんだよ?」
「大丈夫だ。この間行ったばかりだしな」
「凄い! 凄いよルド君。無敵だね」
シーラが嬉しそうな顔をするものだから、その頭を撫でてあげる。奥さんが出来たのは初めての経験だが、ただでさえ可愛いシーラが妻というだけで更に可愛く見えるから不思議だ。
(マスター。シーラ様とは既に一線を越えた男女の仲。ここの正解はキスだと不肖賢者の石は主張します)
賢者の石が変なアドバイスをしてきた。だが昨夜は賢者の石のおかげでシーラも喜んでいたし、俺は言われた通りキスをすることにした。
(この場面ではガッツリ行ってはいけませよ。優しく。やさし~く。そう、それです! いい、いいですよ。昨夜と同じく何かが込み上げてくるようです。この場面はルド様の脳に永久保存版として記録しておきますね)
ルドの脳内に俺でも消すのに手間が掛かりそうな強いエピソード記録が追加された。
「あっ」
という声に誘われて視線をベルザに向ける。彼女は何故か知らないが立ち上がって目を大きく見開いていた。心なし頬も赤い。後ろのカーラまで似たような顔をしている。
「どうした?」
「あ、いや、な、なんでもないです……ないわ。と、とにかく、その、考えておいてね。今日はこれで失礼するわ」
「いいのか?」
まだロイヤルガーディアンとやらの返事もしてないのに。
「え、ええ。やっぱり急かすのも悪いしね。ほら、い、いくわよカーラ。……カーラ?」
「は、はい。ただいま。で、ではルド様、失礼いたします」
「ああ。遠慮せずにいつでも来いよ」
二人は逃げるように出て行った。……なんだったのだ?
(ベルザ様とカーラ様から僅かな性的興奮を感知。恐らく二人はルド様に抱かれたがっているものと思われます)
何故突然!? いや、ベルザは俺の婚約者。子作りについてまだ話し合ってはいないが別におかしな話ではない……のか? だがカーラまでもとは。人間の生殖に関する心は複雑と聞くが、本当に予想が困難だ。そもそも俺に抱かれたいなら何故部屋を出ていくのだろうか?
「どうしたのルド君、難しい顔して。あの、ふ、不安なら、ロイヤルガーディアンには無理してならなくていいと思うよ。きっとベルザ様も分かってくれるよ」
「シーラ、カーラも妻にしていいか?」
「うん。……えっ!? い、今なんて言ったのルド君?」
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