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高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク
053 GW 3日目 3
しおりを挟む**颯視点**
ヒートが終わった。
目が醒めると目の前に京夜の寝顔。
ベッド脇のサイドテーブルの上にある時計を見ると10時過ぎていた。
「・・・颯、起きたのか?」
「うん、おはよう」
「はよ、」
「今日はどうする?」
「映画、観に行くぞ。義祖父さまの原作のが公開中だろ?」
「ああ、ケン兄が出てるやつ! 絶対観る!」
黒峯のじいちゃんは色んなジャンルの小説を書いているベストセラー作家だ。
映画とかドラマの原作になった作品も多い。
今、公開されている映画は時代劇で、脚本はばあちゃん、衣装は凪姉が担当している。
去年、撮影があって、凪姉の手伝いで衣装合わせについていったケン兄が、じいちゃんの親友で映画界の巨匠の城山忠輔監督にワンシーンだけって、泣いて頼まれて出たらしい。
何の役かは教えてくれなかったから、絶対映画観て見つけるんだ。
今日ケン兄はじいちゃんのお供で出かけているので、朝食兼昼食を食べてから京夜と二人で映画館へ向かった。
実家の最寄り駅の近くにある劇場はボックス席やVIPルームがある。
じいちゃんが出資した劇場なのでVIPルームの一つは年間シートとして家族は何時でも入れるようになっている。
ゆったり鑑賞できるようにソファーセットが置いてあるので、予定が合う時はケン兄や他の家族も一緒に年に何回か来ていた。
今日は京夜と二人きりなので、べったりとくっついて座っての鑑賞だ。
他の映画の予告編が流れるのが終わると、ブザーが鳴って映画の配給会社や制作会社のアイキャッチが流れ、本編が始まった。
オープニングは縁日を楽しむ五人の少年達の映像が流れる。
そのうちの一人の少年が出店で買った組み紐で五人の中で一番小さい少年の髪を結う。
夕暮れにそれぞれ家に帰る少年達。
武家屋敷、呉服屋、火消し、茶屋、長屋。
しかしその中の一人が家族共々行方知れずになり、時は流れる。
場面は吉原遊郭の花魁道中
・
・
・
花魁、ケン兄だった!
──────────────
おまけ・映画の大まかな流れ
(本編とは関係ないので読まなくても大丈夫です)
花魁から付け人の番頭新造(ヒロイン♂)がアップになる
番頭新造の項の咬み跡がクローズアップされた後場面転換してタイトル表示
茶屋の前を通り掛かった町方与力がスリ(主人公)を捕まえる。
スリは隠密同心で、番屋で情報交換
与力は人買いを隠れ蓑にした拐かし一味の捜査をしている
吉原遊廓の女衒の中に一味の元締めに近い男がいることが判り、スリから浪人に扮した主人公を送り込む
主人公、女衒の信用を得て遊廓の用心棒となる
女衒には愛人で番の番頭新造がおり、彼等との関わりでその番頭新造が幼なじみで行方知れずになった火消しの息子だったことが判明する
火消しは博打の借金の片として半陰陽の息子を女衒に売って夜逃げ
初恋の相手(初体験の相手でもある)が拐かし一味の女衒の番になっていたことに苦悩する主人公
しかし、職務を全うする事を選び、拐かし一味を与力達と共に一網打尽にする
拐かし一味は死罪となり、番を失った番頭新造は狂ってしまう
主人公はヒロイン♂を引き取り、献身的に看病をする
看病の甲斐無く、死に際に正気を取り戻したヒロイン♂は主人公に愛を告げ、父親に形見を届けて欲しいと髪に刺していた簪を託す
夜逃げした火消しの父親は実は主人公と同じ隠密同心で、ヒロイン♂を遊廓にスパイとして潜入させる為に女衒に売った後は忍びの里に移住していた
簪を持って忍びの里に辿り着くと、広場でチャンバラ遊びをする子供達とそれを見守る老人がいた
主人公を見た老人が遊んでいた子供の一人を連れて主人公の側に移動する
主人公と対峙した子供は主人公が子供の頃にそっくりで、昔、縁日で主人公がヒロイン♂に買ってあげた組み紐で髪を結っていた
エンディング
主人公は長屋の浪人(隠密)の子
茶屋と呉服屋は与力の子飼いの情報屋
ヒロイン♂と火消しの父親は主人公と与力と同じ奉行所の隠密同心だが、潜入捜査の機密保持の為、正体を知っているのは直属の上司のみ
与力は武家屋敷の子で、父親が隠密同心の直属の上司
演者はキヤマタケル
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