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高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク
047 GW 2日目 1
しおりを挟む**健太視点**
「「「面白そう~」」」
とかいう姉貴と両親の圧力で、叔父さんが関わってるマッチングアプリ関連のモニターと言う名の実験体にされた。
遺伝子データは既に回収済み(用意周到)で、関連アプリが内蔵されたスマートウォッチを渡された。
開発には国が関わってるそうで、マッチングアプリ自体は市町村単位、役所での運用になるそうだ。
俺が使用するアプリは所謂接触確認アプリで、不特定多数のΩと接触した時の体温や脈拍、血圧、フェロモンの有無等を自動で計測する機能も付いている。
先入観を持たないようにモニターには相性の良かった相手が誰なのか開示されない。
試験運用前にマッチングの整合性を確認する目的の為のモニタリングだからだ。
試験運用が決まったら、モニターには優先的に相性が良い相手との「お見合い」をセッティングしてくれるそうだ。
「お見合い」は断った。
正直、番はいらない。
運命にも興味ない。
中等部の頃から何度もヒートトラップを仕掛けられたが、Ωのフェロモンに欲情することは無かった。
俺はαなのにΩに限らず男も女も抱けない。
ヒエラルキー頂点のα、そのαの中でもトップの最高位なのに、俺は「本能」が機能しない欠陥品のαだ。
***
姉貴が雪成義兄さんと住んでいるマンションは1棟丸々義兄さんがオーナーだ。
義兄さんの実家は大手不動産会社の経営をしている。
マンションは結婚祝いに貰ったらしい。
撮影スタジオを含む姉貴のブランドのアトリエはそのマンションの2Fにあった。
俺、姉貴、雪成義兄さんがアトリエに入ると、城山がアトリエの女性スタッフ達と打ち合わせをしていた。
「おはよう、ご苦労様」
「「「おはようございます」」」
スタッフのお姉さんたちと挨拶を交わし、メイクルームへ向かう。
ジャージを脱いでパンイチになるとバスローブを着て少し派手なメイクをして貰った。
「今日はこのカツラね。」
メイク担当の小森さんがプラチナブロンドの内巻きボブのカツラを俺の頭に被せて仕上げをする。
「よし、着替えさせて~」
小森さんの声掛けで他のスタッフたちが衣装を吊り下げたハンガーラックと小物類が入ったワゴンを引っ張って来た。
***
「ご苦労様~」
撮影が終わると、メイクルームでバスローブに着替えてからカツラを外してメイクを落として貰った。
姉貴のブランドで売り出し中の清楚系ワンピースに着替えて、亜麻色の姫カットのロングストレートのカツラを被る。
自分であっさりナチュラルメイクをしてからローヒールのパンプスを履いてスタジオに戻った。
「大学生の時の凪っぽい。綺麗!」
「ホント、化けるの上手いよな。」
雪成義兄さんと城山の言葉に女性スタッフたちも同意するように首を上下に振っている。
「姉貴、このワンピに合う帽子もくれよ。」
「言葉遣いも女の子っぽくしなよ~」
姉貴は文句を言いつつも、つば広の白い帽子を渡してくれた。
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