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高等部 一年目 皐月 新入生歓迎会

040 後夜祭 2

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「無いの? α同士だから?」
オレの言葉にケン兄はすばると理事長をチラッと見てため息をついた。
「いや、アイツら独占欲強そうだし、京夜のように颯と俺の関係受け入れるかどうか微妙だから。」
「理事長先生は知らんけど、すばるは大丈夫じゃね?」
「颯はすばる苦手じゃない?」
「今の所は大丈夫。さっきも理事長はケン兄と二人きり希望だったけど、すばるはオレ達込みの希望だったし、結構いいヤツだぞ。」
「京夜はどう思う?」
「いつも通りにして、颯のこと邪魔しなけりゃ側に置けば良いし、邪魔すんなら切ればいい。」
「そうだな。」

***

トルネードポテト、焼きそば、焼き鳥、唐揚げ、チョコバナナ、クレープ、フラッペ。

イートインスペースの6人掛けの丸テーブル席にゲットした食べ物を置いて三人でシェアしながら食べ始めた。
すばると理事長も同じテーブルの空いてる席に座った。

「颯、あーん」
ケン兄がカレー味のトルネードポテトをオレの口元へ寄せた。
オレはそれを一口かじってモグモグ。
「颯、次は俺の食ってみな?」
京夜のトルネードポテトもかじってモグモグ。
こっちはあっさり塩味だ。
ケン兄と京夜に交互に給餌されたり、オレの方から給餌したりを繰り返す。
和気あいあいとした三人での食事をすばると理事長が羨ましそうにガン見していた。

不意にオレに向かってイチゴ飴とタコ焼きが差し出された。
イチゴ飴はすばる。
タコ焼きは理事長。
「「あーん」」
「「「・・・」」」
せっかくなので、オレは先ずはタコ焼きを口に入れてモグモグ。
イチゴ飴は丸ごと受け取ってペロペロ舐めた。
「二人とも、ありがとな。」
「「!」」
礼を言うと、すばると理事長が真っ赤になって両手で顔を覆って身悶えた。
叔父甥なせいか、顔も行動も似通ってるな~



**理事長視点**

目の前で黒峯君が神月君に給餌している姿を見て衝撃を受けた。

いくら従兄弟とは言え、番のいるΩに給餌?!
狗遠寺君はそれに対して全く嫌悪感を示さず、寧ろ好意的だ。
それに、黒峯君と神月君の間には色欲は全く感じない。
あるのは無償の愛。

今のままでは黒峯君の一番にはなれないと悟った。

神月君を引き離したら永遠に黒峯君の心は得られない。
恐らく神月君もそうなのだろう。
だからこそ狗遠寺君は黒峯君に敬意を払い、受け入れている。

黒峯君を真に手に入れる為には神月君ごと、狗遠寺君も込みで受け入れる器でなければいけない。

あの時、すばるのように「Wデート」と言わなかった自分が悔やまれる。
今からでも挽回できるだろうか?

試しに神月君に楊枝で刺したタコ焼きを貢いでみた。
「「あーん」」
すばるの声と重なった。
同じタイミングで、すばるは神月君にイチゴ飴を貢ごうとしていた。
そして、狗遠寺君からのプレッシャーが私とすばるに降りかかった。

そのプレッシャーをはね除けてはいけない。
耐えろ!

受け入れて耐えなければ
敵では無いと認めて貰わなければ
信頼は得られない!

パクリ

神月君がタコ焼きを食べた。
私の給餌で・・・

「二人とも、ありがとな。」
「「!」」

イチゴ飴を手に神月君が微笑んだ。
黒峯君にソックリな愛らしい笑顔にノックアウトされる。

身悶えつつ、美しく愛しい伴侶(黒峯君)と伴侶にソックリな愛らしい子供(神月君)に囲まれる自分を妄想してしまう。
しっくりくる。

その後、私はパック毎、まだ開けていないタコ焼きを、すばるは鈴カステラが入った紙コップを狗遠寺君に献上した。
「へぇ~」
狗遠寺君は見定めるような視線で私たちを一瞥すると、プレッシャーを解除した。

狗遠寺君と協調し、神月君を護り慈しむ。
それが黒峯君の心を得る為の一歩になる。
そう確信した。



───────────

将(健太)射る馬(京夜と颯)
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