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高等部 一年目 皐月 新入生歓迎会
閑話 妖精と女神と勇者とモブと
しおりを挟む**逃走者モブ視点**
鳳堂学園高等部には滅多にお目にかかれない「妖精」がいる。
妖精がその姿を初めて顕現させたのは、去年の新入生歓迎会だった。
亜麻色の緩いウェーブの髪をハーフアップに纏めた美少女怪盗のコスプレをして、演劇部のミニシアターで問題の受付をしていた。
クチコミで情報が回り、ミニシアターは大行列となった。
しかし妖精が誰だったのか謎のまま、次に姿を現わしたのは学園祭だった。
演劇部の公式写真集のモデルとして。
写真集の販売ブースは長蛇の列となり、小一時間で完売した。
俺は運良く買えた!
しかし、それを最後に妖精は完全に姿を消した。
妖精を忘れられない俺を含めた在校生の多くは、唯一の手掛かりである演劇部の公演がある度にチケットを買って観劇した。
演劇部の部員にしつこく聞き込みに行って出禁になった愚か者も何人かいる。
そして今日、新入生歓迎会。
妖精の再来を夢見て、ミニシアターのロビーに集まる人影の多さが半端ない。
しかし、妖精はいなかった。
けれどその代わりに、チャイナドレスを纏った「女神」が降臨していた!!
そして、女神の左腕には「怪人」の腕章?!
俺達はスタンプカードを集めに各所に散った。
「依頼」を切っ掛けにお近づきになりたい、という下心があることを潔く認めよう。
何とか一回分のスタンプカードを集めて俺はミニシアターに舞い戻った。
腕章を外した女神は、城山先生の指示で撮影中だ。
まさか、今年は女神の写真集?!
絶対にゲットする事を心に誓う!
スタンプカードを握りしめ、いつ声を掛けようかと緊張しながら様子を覗う。
俺だけでなく、他の奴等もだ。
「依頼、お願い!」
ギャラリーをかき分けて、女神に一番に声をかけた勇者は新入生だった。
見た目は天使なのに二人の最高位αの威嚇フェロモンを纏った、稀少な最高位Ω、神月颯!
「没収~」
女神の声!!
「ハズレ?」
「ハズレ♡」
女神の蠱惑的な微笑と声音にギャラリーの半分が前屈みになった。
俺は何とか耐えた!
「依頼お願いします!」
次にスタンプカードを差し出した勇者も新入生だった。
「今、ハズレだって分かったのに依頼するのか?」
女神のカメラマンをしていた城山先生が勇者に声をかけた。
「はい!」
「せっかく集めたのに、没収になるぞ?」
「構いません、俺の集めたスタンプカード、受け取って下さい!」
勇者が女神に熱い視線を送る。
「じゃあ、遠慮なく没収~♡」
女神は没収したスタンプカードを側にいた城山先生に預けると、スタンプカードを貢いだ勇者に「スマホ出せ。」だと?!
「はいっ」
女神はスマホのカメラを起動すると、勇者の隣に並んで二人の自撮りを一枚撮って渡した。
「ありがとうございます!」
勇者に夢と希望と勇気を貰った俺達は
「「「俺のも受け取って下さい!」」」
と叫んでいた。
手持ちのカードを、俺は女神に捧げるとここに誓おう!
「並べ!」
城山先生の指示に従って俺達は一列に並んだ。
「俺には依頼しないのか?」
城山先生の問いに
「先生はハズレだって情報あったんで結構です。」
と俺は、スタンプカードを集めていた時に逃走者チームの情報共有アプリに入った情報を思い出してそう答えたのだった。
──────────
妖精時代の健太
3年前 身長155位
1年前 身長168位
同じ年齢のαの平均より低め
現在の健太
身長175位
ヒール履いて180位
前世と同じ位の身長になった
颯 168
伸び代は数センチ残ってる、はず
京夜 185
伸びても190は超さないと思う
すばる 165
伸び代はある
夏休み中に健太に追いつきたい
左近右京 170
真琴 172
陽翔 183
冬馬 180
早田 182
城山 188
城山と真琴以外はまだまだ伸び代有り
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