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高等部 一年目 卯月

閑話 ねらわれた狂犬 2

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断ったら危険だ。 

でもだからと言って素直に尻を差し出すのも
ムリムリムリぃぃぃ

「あ・・・」

そう言えば・・・
「ちょっと待ってろよ。」
俺は颯を押し退けて自室に行くとデスクの一番下の引き出しを開けた。
そこにはバース性関連の書類や本、DVDを保管してある。
そこから本を数冊とDVDを取り出した。
「念の為に取って置いて良かった・・・」

バース性が確定していない頃、颯がオメガだと確信はしていたが、万が一、アルファかベータだった時のために買っておいた本とDVD。
そして中等部の番講座の時に貰った本とDVD。

俺はリビングに戻ると、ソファーの前にあるローテーブルにそれらを並べた。
「・・・何、これ・・・」
「オメガ男性では無い男を抱く為の教本みたいなもんだ。」
「何でこんな本とかDVD持ってんだ?」
「颯がアルファかベータだった時の為にな、念の為に・・・」
「京夜、オレのバース性がもしアルファだったとしても抱く気満々だったってことか?」
「お前がアルファだったら、俺が抱かれる可能性も考えたなぁ・・・」

一瞬だけ考えた事はある。
嘘は言ってない。
ただ、そうならないように雌堕ちさせるイメトレはしていた。

「京夜、ありがと・・・」
「取り敢えず、これを全部読んで、見て、知識とか手順とかをしっかりと、な? いきなり突っ込んで流血とか危ないし、な?」
「うん。」
「あと、条件付けるようで心苦しいんだがよ、、、」
「ん?」
「抱く側が、準備とか世話とか諸々の片付けを完璧にこなせないとダメだよなぁ? 抱かれる側の方が体力の消耗とか激しいし?」
「そうだな、ヒートじゃないとオレも三回目で気絶して、次の日の朝、足腰プルプルだったもんな。」
「だから、颯にスパダリのスキルを身につけて欲しいんだよな。」
「オレがスパダリ・・・いいな、それ!」
「仕事も家事もできて、俺を軽々と姫抱っこできて、ヒートじゃない時でも抱き潰されないくらい絶倫なスパダリになれたらよぉ、俺の処女ぶち抜いて颯が童貞卒業するってことで、いいよなぁ?」
「オレ、頑張る! これ、全部覚えて鍛えて、京夜のスパダリにオレはなる!」
「じゃあ、早速、抱き潰されない特訓をしようぜ!」
「おう!!」



──────────

そして三回目、寝バックの体勢で揺さぶられながら颯は寝落ち・・・

「もぅ・・・ムリぃ・・・しゅぱだりはぁ・・・あした・・・から・・・」

と言う颯の寝言に満足気な笑顔で京夜は就寝したのでした。
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