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あれから暫く本棚の並びや仕事の内容を教えて貰ったところで、ロイとアンは唐突に顔を見合わせたかと思うと「じゃあ勉強はここまで!」と言ったと思うと私を連れて書店から飛び出した。
そして、二人は私を引っ張っていた手を離したかと思うとそれぞれこんな事を尋ねてきた。
「ディアナはどんな事がしたい?」
「ある程度のことなら出来るよ!」
私は目の前で満面の笑みを浮かべるロイとアンに困惑しながらも顎に手を添えながら自分がしたいことを考えてみる。
その際にふと頭に浮かんだのはこの辺りの散策というもので、私はワクワクとしている二人に対して「なら、この辺を案内して欲しわ!」と告げた。
途端に「本当にディアナって無欲だね……」と困った顔をするロイと、そんなロイの隣で心底楽しそうに「言うと思った!」と笑うアン。
二人はそれぞれお互いに顔を見合わせると少し悪い笑みを浮かべながらこんな事を言い合い始めた。
「でもただの案内だけじゃ詰まらないな」
「そうね。じゃあどうする?」
「まずはマーレ叔母さんとライトのところにでも行くか?」
「あっ、それ最高。ライトはどうでもいいけど久し振りにおばさんのクッキー食べたい。叔母さんと挨拶を終えてからじゃあその辺りから散策でもしよっか」
「そうだな、そうしよう」
二人はそのまま話を終えるなり私の方へ顔を向けると歩きながら、さっき二人の会話の中で名前の出ていたマーレ叔母さんとライトという人達の事を教えてくれた。
なんでもマーレおば様という方は二人にとって第二の母とも言える今は亡きロイとアンの二人の実の母の妹さんで、ライトという人はそのマーレおば様の息子さんらしいのだ。
私は嬉しそうな顔をしながら「マーレ叔母さんのクッキーは最高に美味しいんだよ」や、「多分だけどディアナもきっと叔母さんのこと気に入るよ!」と言ってきた二人に「楽しみだわ!」と返す。
そうすれば二人からは「きっと仲良くなれるよ!」の返事をもらい、そこから歩き始めて十分程度が経ったところで二人はとある民家の家の前で立ち止まったかと思うと「ここが叔母さんの家」とその民家の家の扉をコンコンとノックした。
同時に家の中から聞こえて来たのは「はーい!ちょっと待ってちょうだいねー!!」と元気の良さそうな女性の声で、その声が聞こえてから少しすふと家の扉を開けて少しふくよかな体型をした女性が現れた。
彼女は扉を開けるなり家の前に立つ私達を見て少し驚いた顔をし、次の瞬間にはニコリと笑って「おやまあ、ロイとアン。久し振りだねぇ。……ところでそっちはアンタらの友達かい?」と言う。
すると、ロイはそのマーレおば様の発言に対してこう頷いた。
「そうだよ、僕らのとっても大切な友達。今はディアナって名前だけどつい昨日まではジュディアって名前だった子、って言ったら分かるかな……?」
途端にマーレおば様が大きく目を見開いたかと思うと彼女はどうすればいいのか分からずに固まっている私の目の前にやって来るなり、心底嬉しそうに笑いながらこう言ってきた。
「そうかい、あんたがあの学園でこの二人と仲良くしてくれてたジュディアかい!さあさ、遠慮せずにうちに入ってクッキーでも何でも食べてきな!!」
私はバシバシと自身の背中を叩きながら家の中へ招いてくれたマーレおば様に「あ、ありがとうございます!」と返事をしながら、家の中へと足を踏み入れた。
そして、二人は私を引っ張っていた手を離したかと思うとそれぞれこんな事を尋ねてきた。
「ディアナはどんな事がしたい?」
「ある程度のことなら出来るよ!」
私は目の前で満面の笑みを浮かべるロイとアンに困惑しながらも顎に手を添えながら自分がしたいことを考えてみる。
その際にふと頭に浮かんだのはこの辺りの散策というもので、私はワクワクとしている二人に対して「なら、この辺を案内して欲しわ!」と告げた。
途端に「本当にディアナって無欲だね……」と困った顔をするロイと、そんなロイの隣で心底楽しそうに「言うと思った!」と笑うアン。
二人はそれぞれお互いに顔を見合わせると少し悪い笑みを浮かべながらこんな事を言い合い始めた。
「でもただの案内だけじゃ詰まらないな」
「そうね。じゃあどうする?」
「まずはマーレ叔母さんとライトのところにでも行くか?」
「あっ、それ最高。ライトはどうでもいいけど久し振りにおばさんのクッキー食べたい。叔母さんと挨拶を終えてからじゃあその辺りから散策でもしよっか」
「そうだな、そうしよう」
二人はそのまま話を終えるなり私の方へ顔を向けると歩きながら、さっき二人の会話の中で名前の出ていたマーレ叔母さんとライトという人達の事を教えてくれた。
なんでもマーレおば様という方は二人にとって第二の母とも言える今は亡きロイとアンの二人の実の母の妹さんで、ライトという人はそのマーレおば様の息子さんらしいのだ。
私は嬉しそうな顔をしながら「マーレ叔母さんのクッキーは最高に美味しいんだよ」や、「多分だけどディアナもきっと叔母さんのこと気に入るよ!」と言ってきた二人に「楽しみだわ!」と返す。
そうすれば二人からは「きっと仲良くなれるよ!」の返事をもらい、そこから歩き始めて十分程度が経ったところで二人はとある民家の家の前で立ち止まったかと思うと「ここが叔母さんの家」とその民家の家の扉をコンコンとノックした。
同時に家の中から聞こえて来たのは「はーい!ちょっと待ってちょうだいねー!!」と元気の良さそうな女性の声で、その声が聞こえてから少しすふと家の扉を開けて少しふくよかな体型をした女性が現れた。
彼女は扉を開けるなり家の前に立つ私達を見て少し驚いた顔をし、次の瞬間にはニコリと笑って「おやまあ、ロイとアン。久し振りだねぇ。……ところでそっちはアンタらの友達かい?」と言う。
すると、ロイはそのマーレおば様の発言に対してこう頷いた。
「そうだよ、僕らのとっても大切な友達。今はディアナって名前だけどつい昨日まではジュディアって名前だった子、って言ったら分かるかな……?」
途端にマーレおば様が大きく目を見開いたかと思うと彼女はどうすればいいのか分からずに固まっている私の目の前にやって来るなり、心底嬉しそうに笑いながらこう言ってきた。
「そうかい、あんたがあの学園でこの二人と仲良くしてくれてたジュディアかい!さあさ、遠慮せずにうちに入ってクッキーでも何でも食べてきな!!」
私はバシバシと自身の背中を叩きながら家の中へ招いてくれたマーレおば様に「あ、ありがとうございます!」と返事をしながら、家の中へと足を踏み入れた。
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