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翌朝、昨日のあれはもしかしたら夢だったのかもしれないと試しに小物入れを開いたてみたところ何処からどう見てもギノから渡された笛はあって私は小さく溜息を吐いて小物入れを閉じた。

今この笛に関して考えてる事はこれだ。

その一、捨てる。

その二、フェリナに渡す。

その三、そのまま小物入れに入れておく。

といった三択である。

正直な話、これは今二番と三番との間で私は揺れていたりする。

その理由は理由でこれからヒロインのフェリナには沢山の災難が降り掛かるわけだからフェリナのボディーガードにギノを使いたいという考えと、取り敢えず私に何かあった時用に出掛ける時だけ小物入れから出して所持しておこうかなという感じだ。

まあ、ギノが笛を吹いたところで助けに来るのか何をしに来るのかは全く分からないが。

私は小物入れの中から笛を取り出すと人差し指でそれをクルクルと回しながら色々とこれから起こるであろうフェリナの幼少期のイベントを思い返す。

まず初めに、レインとの出会いからの誘拐事件。

「って、誘拐事件!?」

私はバンっと勢いよく自室の机に手を置き、その場から立ち上がる。

えっとえっと、誘拐事件はどのくらいの時だったっけ。

確かなんか誰かの誕生日パーティーに行って、そこで突然誘拐されて攻略キャラの一人である騎士団長の息子のアイザック・テペルギュウスに助けられるんだよね?

うちの妹物凄い体験するな。

これに関しては記憶が正しければローラは参加してないパーティーだから私は無事として妹である。

私は手に持っている笛を握りしめて頷く。

これはもう妹に渡すしかない。

しかしその前にギノに説明をしなければいけない。

私はそう考えるなり、一度笛を小物入れに直してそのまま夜になったら一度この笛を鳴らしてみてギノが来るようならば彼にそれを説明して、笛をフェリナに渡そうと決心する。

どうせ自分は悪役令嬢的なポジションにいる人間だし、これから先にある困ったことといえばカインやその他の攻略キャラにベタついたりしない限りは何も起きない……筈だ。

ならこれは常に危険に囲まれているヒロインである妹に渡すべき物であろう。

私は纏まった自分の考えに一度頷くと、服を着替えて未だに寝ているであろうフェリナの元へ歩き出した。


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