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次に目を開けるとそこは真っ暗な暗闇の中だった。

私は何も見えない周りに困惑しながら「ここにネスがいるの……?」と呟いてみる。

すると、その呟きと同時に唐突に自身の目の前が明るくなったと思えばそこに現れたのはホリー。

彼は私の先程の呟きを聞いていたのか『そうだよ、ここが僕らの寝台みたいな空間!』とニコニコと笑いながら言う。

そして、私は自身の目の前で白い光を放ちながらニコニコと笑うホリーに引き攣った笑みを浮かべながら「へぇ、そうなのね……」と言うとそのまま彼に「ネスのところに連れて行って」と頼んでみる。

そうすれば元気よく『はーい!』と言って私の手を取って何も無い真っ暗な道をただひたすらに歩き始めたホリー。

そして、暫く歩き続けたところで私達の目の前に何やらぼんやりとした紫色の光を帯びた丸い塊が現れたかと思うと、ホリーはそれを指さしながら呆然とする私に対してこう告げた。

『あそこにネスがいるんだよ』

私はホリーから黒い塊に視線を移すと、全くそのネスという人物の姿が見えないことに不安を感じつつもホリーに手を引かれるがままにその塊に近づいてみる。

すると、薄らと黒い塊の中に見えたのは身体を折り曲げながら目を瞑る一人の青年の姿。

ホリーは目を見開く私を横目に『あれがネスだよ』と告げるなり、そのまま私の手を取ったままその黒い塊の中へと足を踏み入れようとする。

しかし、そこで一瞬だけその空間に足を踏み入れることに対して躊躇った私にに気付いたホリーはこちらを振り返ってまるで私を安心させるように優しく微笑みながらこう言った。

『大丈夫、僕もいるし心配ないよ。信じて?』

真っ直ぐ私の目を見て微笑むホリー。

私はそれに対して一度その場で大きく深呼吸をすると「……分かった」と彼に手を引かれながら恐る恐るではあるもののその真っ黒な空間へと足を伸ばす。

そして、目を瞑りながらその場から一歩踏み出すと自身の耳に聞きなれない音が聞こえたと思うと私の目の前にはふわふわと宙を浮きながら眠るネスがいた。

 私はその空間に入るなりネスの近くで彼の額をぺちぺちと叩きながら『おーい、ネス起きて!オリヴィアが来たよー!!』と早速ネスを起こそうとするホリーに驚きつつも『オリヴィアも手伝ってー!』と言って来た彼からの『何かしてみて!』の言葉に恐る恐る眠るネスの頬をつつきながら「お、起きてー」と呟く。
 
途端にホリーに叩かれていた時には何も反応しなかったネスが少し身じろいだ。

『あ、初めてネスが反応した!!』

「初めて?」

『うん、初めて。ちょっと前にネスを起こそうと色々したって言ったでしょ?』

「……言ってたけどそれをして身じろぎ一つしなかったと?」

『そうだよー』

私は「へぇ……」とネスに目を向けながら「本当にそんな子を起こせるのか?」と考えながらも試しに彼の耳元で「ネス~朝だよ。起きて」と言ってみる。

そうすれば『んん……』といいながら寝返りを打った彼。

私は自身の真横で『もっともっと!叩いてもいいよ!!』と言って来たのに対して「本当にそれでいいのか?」と思いつつもほんの少しだけ力を入れながら彼の額をパチンと叩いて見た。

しかし、ネスはその私の行動に対して又しても小さく唸るだけで一向に目覚める気配がない。

その時だ、顎に手を添えてこの状態の彼をどう起こそうか思案している私の目の前にホリーではない黒い服を着た小さな精霊が現れた。

その妖精は『ネス、起こす……?』と私に尋ねて来たので「出来るなら起こしたいな」と私が答えると、その子は小さくコクリと首を動かしたと思うと『待ってて』と呟いてそのままふらふらとネスに近寄って彼の体の中に入って行った。

そして、私は思わぬそんな精霊の行動に目を見開きながらホリーに「え、あの子なにする気なの?」と聞けば、彼は『……僕に聞かれても分からないよ』と言って首を横に振るだけ。

「……取り敢えず、待ってみる?」

『まあそうするしかない、かな……?』

私達はお互いに顔を見合わせ頷き合うと先程の精霊からの『待ってて』を信じてその場に座り込んだ。

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