上 下
21 / 50

第二十話

しおりを挟む
「うわぁ~ コレも美味しそうだしぃ~ コレも捨て難いわね…ううっ…迷うわね、コレは…あっ!こっちには期間限定ドーナツがあるぅぅー!?」

 ここの店は注文式なので俺達は席に座ってから手渡されたメニュー表に目を通す。どうやら歩美はアレもコレも食べたいと悩んでいるみたいだ…。

「そ、そういえば聖夜はどれにするか決めたの?」

「そうだなぁ~ 歩美は食べたいもの迷ってるんだよな?」

「う、うん…食べたいと思うものが多すぎて…」

「だったら俺のも歩美が選んでくれるか?そうすれば分け合って食べれるだろ?」

「っ!? い、良いの?」

「勿論」

「で、でも…アタシと…分け合ったりして…イヤじゃない?」

 そんな不安そうに言わなくてもいいのに…何年の付き合いだって~の!

「イヤな訳ないだろうに…今迄だって食べさせあったりしただろうに…」

「そっ!?それは…そう…なんだけど…」

 歩美の顔が赤くなってるけど…そんなに照れる事か?

「それに…どっちかと言うと、イヤがられるなら俺の方じゃねっ?」

「あ、アタシは…聖夜なら…べちゅっに…」

「歩美がいいなら、そうしようぜっ!なっ?」

「…うん…いつもありがとう…聖夜」


 注文を済ませ、しばらくするとドーナツ等が運ばれてきた。本当にドーナツも色んな種類があるもんだよな!おっ!?このヨーグルトを使ったドーナツは俺も大好物なんだよな!

「聖夜…ソレ…す、好きだったわよね?」

「ああ…もしかして覚えてくれてた?」

 流石は付き合いが長いだけの事はあるよな!

「そ、そりゃあ…ねっ?」

「ほらっ…歩美から食べてみろよ!はい、あ~ん?」

 俺はドーナツを掴むと歩美の口へとドーナツを持っていく。

「えっ!?いきなり!? あ、あ~ん…ぱくっ…」

 歩美がドーナツを一口パクリ…。俺もそのままドーナツをパクリ…うん!やっぱりコレコレ!コレが美味いよなっ!

「もぅ…間接キスなのに…少し位意識しなさいよね(ボソッ…)」

「もぐもぐ…んっ、何か言ったか?」

「何でもないわよ…それより、やっぱり美味しいよね、ミ◯ド♪ 来て良かったよね?」

「だな!」

 すると歩美が…

「くすっ…ほらっ…聖夜ったら…」

 すっ―と俺の方に手を伸ばし人差し指で俺の口元に付いていた物を掬い取り…パクリ…

「あむっ♪…ちゅぷっ…甘いよね…って、あっ…」

 そう言って歩美の顔は真っ赤も真っ赤に染まっていく…。何をそんなに照れてるんだ?歩美の口元にも俺と同じ様にクリームが付いているのに気が付いたので同じ様に掬い取り―パクリ…

「うん!甘いけど本当に美味いなっ!」

「そそそそそ、そういう所だからねっ!あ、アンタは、ま、全くぅーっ!」

「何がっ!?」

「くっ…この男は… と、とにかく…そういう事はアタシ…だけにしときなさいよ?」

「? 何か分からんけど…」
「い、良いわねっ!」
「あ、ああ…」

 

 店内の従業員、辺りに居る人達の心が一つになる…。

「何だ?あそこ…は…」
「どうせなら注文はアンタよ、とか言えよな…」
「甘すぎるんだけど!?」
「ブラックのコーヒーが欲しいんだけどっ!?」
「リア充めっ!爆ぜろ!!」
「えっ、アレって付き合ってるんだよね!?付き合ってないのっ!?超気になるんだけどっ!?」


 そんな声はしっかりと歩美の耳には入り身体中を真っ赤に染めてしまった事は歩美しか知らない…。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

処理中です...