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第五章

武術

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「甘いアル!」

 リンリンがあっという間に俺の懐へと入ってきた。

「っ!?ま、まだっ!」

 咄嗟に後ろへと飛んで…そこまでだった。着地した時にはすでにリンリンの拳が俺の顔面スレスレの位置に置かれている。

「…参ったよ、リンリン」


 俺が何をしているのかというとリンリンと組手をやっていた。護身術位は身に付けておこうと思い、こうやってリンリンに手ほどきを受けているんだ。結構やれる様にはなったんだぜ?

 まあ、リンリンには一回も勝った事はないんだけども…。ちなみに剣術も一応習っていて、師事しているのはミーニャ。勿論ミーニャにも勝ててないのは言うまでもないだろう。

「相変わらず素早いし、リンリンには勝てそうにないな」

「それは当然アルよ!エル様を守るのは私の役目アル!」

「俺的にはリンリンも守れる位強くなりたいんだけどね」

「も、もう…そんな事言われると…女冥利に尽きるアルよ♡」

 本当の事なんだけどな。やっぱり大切な人を守れる位の強さは欲しいと思うしな。

「まあ、ベッドではいつも負けてるアル♡」

「唐突にそっち!?」

「武術の方もかなり上達はしたアルよ?たぶん…騎士団の人を相手にしても良い線いくと思うアル」

「ホントに?」

 そんなに上達してるかな?自分では分からないし、リンリンには勝てた事ないからそう思えないんだよね…。そんな事を思っているとリンリンから声ご掛かる。

「もう一本いくアルか?」

 勿論ですとも…今度こそ…

「お願いします!」



 そして再び構える。リンリンは余裕そうに手をクイクイ…。かかってこいと、ジェスチャーしているわけだ。俺も男だし、こう見えて何気に負けず嫌いなんだよね。

「ふっ!」

 息を吐くと同時に右ストレート!

 簡単に受け流される…けど、受け流されるのは予測済み。そのまま体を回転させ、左の裏拳。これもなんなく受け止められるけど…俺の狙いは最初から足を取ること。

 レスリングみたいに相手を倒せばワンチャン…

「見え見えアル」

 フッとリンリンの姿が消える…。俺の頭に手をつき飛び箱を飛ぶかの様にジャンプ。俺はそのまま地面にダイブっ…。

「これもかわされたか…」

「エル様の目線が足にいってたからアル。狙いを悟らせないようにするのも大事アルよ?」

「へ~い」

 地面へとダイブした俺はゴロンとその場で半回転。仰向けに大の字で寝転ぶ。

「スキありアル!」

 リンリンが俺に馬乗りになり…

「ほら…口元がお留守アル」

“チュッ♡”

 リップ音とともに唇に柔らかい感触。

「唇がガラ空きだから、頂いたアルよ♡」

「じゃあ…お返しにっ!」

「キャッ…」


 リンリンを抱き寄せ、クルンと体勢を入れ替える。

「寝技で勝負!」

「ね、寝技は降参アルよっ!?あっ♡んんっ~~~こ、降参って言って…るアル…あっ♡」



 さて、負けた分はきっちりと返すとしようか。

「ア~レ~~~アル~~~~~♡」


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