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第四章

幼馴染の定義

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「す、すいませんでした!」

 俺の…いや、俺達のと言った方がいいだろうか?とにかく俺達の目の前にはブーメランパンツ一丁で土下座して懸命に謝るイケメンエルフのちょっとばかり残念な姿が…。

「反省しなさい、シープ。いくらあなたが我が国の稀少な男性でも、その首を差し出さないといけない所だったわよ?私の首も含めてね…」

 そう言葉を発するのはハートネス女王。一触即発かと思われたあのすぐ後、ハートネス女王が颯爽と現れ、その場を取り仕切ったのだった。

「し、しかし、女王様…俺はミリアの幼馴染で、即ちそれは婚約者という証で…」

「シープ…。あたしのダーリンの前で誤解を与える事は言わないでくれる!?幼い頃にただ一度会った事があるだけじゃないっ!ましてや幼馴染でも婚約者でも何でもないのだからっ!それに既にあなたは五十人も娶っているじゃない!」

 ええーっ!?予想を覆すどころか全く予想の斜め上を行ったよ!?ただ一度会っただけで幼馴染枠に入るわけないじゃん!?ないよな?
しかも、幼馴染=婚約者って…どんだけ思い込みが激しいタイプなんだ!?幼馴染だからってそんな関係になる訳ないだろーに…。しかも既に嫁さんが五十人もいるなんてな。まあ、イケメンだし、こんな世界だし、そこは分かる気がするが…。

 それに…そんな事を言うのなら、

「そのあんたの定義で言うのなら、俺とミリアが幼馴染じゃねっ?そして幼馴染=婚約者って事ならミリアは俺の婚約者になるけど?」

「も、もぅ…だ、ダーリンったら♡」

「がはっ…」

 おっ…イケメンエルフのシープ…君?さん?まあ、どちらでもいいけど、俺のその言葉は彼にかなりのダメージを与えた様だ。

「あら、エル君も言うわね。ふふっ…」

「わ、私も…それなら私も幼馴染枠に入る筈です!」 

 レイラも何を張り合う様に言ってるのさ…。

「くっ…あ~しは…幼馴染枠はどうなるし?エルと出会った時エルは5歳だったから、ギリいけるし?うん、イケる事にしておくしっ!と、いう訳であ~しもエルの幼馴染し!」

 いや、まあ、幼馴染の定義って、前世の知識で言うのなら確か3年以上の付き合いがあって、尚且つそれが中学生に入る迄位だったよな?そこから答えを導き出すしたら、ティアは勿論、ランスにミミ、レイラもそうだし、マリンもギリ幼馴染になるよな?

「む、無効だぁぁー!?そんなのは無効だっ!俺は認めない!認める訳にはいかん!ミリアの幼馴染は俺で、婚約者は俺!ミリアの初めてのキスも処女も全て俺の物だぁぁー!!」

 認めないも何もそれが真実じゃね?それにミリアのキスは…

「あたしは既にダーリンにファーストキスは捧げてるわよ!」

「な、なんだと…」

 ミリアがトドメを刺すかの様に言うと、シープ君は驚愕の表情を浮かべている。そして次のミリアの言葉に今度は俺が驚愕する事になった。

「それにあなたはあたしよりも五十も年齢上じゃない!」

「最早幼馴染とかの枠を既に超え過ぎているだろっ!?しかもミリアが小さな頃から目を付けていたなんてただのロリコンじゃん!?」

 俺のそんな声が辺りに響き渡る。

「ダーリン…ロリコンって?」

 ああ、こういう世界だからロリコンとかそういうのは無いのか。まあ、俺の中ではイケメンエルフはヤベー奴認定確定だが…。

「いや、まあ、言葉を間違えただけだから気にしないで、ミリア」

「そう?なら、いいけど」

「俺を差し置いてイチャイチャするなぁー!」

 まあ、彼のお陰で気付いた事があるし、ハッキリさせてしまおうと思う。彼には悪いんだけどご退場願おうかな。俺はを誰にも渡しなくないと思うのだから。

「ミリア」

 俺はミリアを抱き寄せる。

「ふぇっ!?」

 突然抱き寄せたもんだからミリアがあたふたしている。普段は結構積極的に行動するんだけど、こういう所も可愛いだな、ミリアは。

「お、おい!?俺のミリアから離れっ…」

 俺は一度イケメンエルフの彼に顔を向け、ハッキリと告げる。

「悪いんだけどあなたにミリアは渡せない」

「はあっ?何を…」

「俺はミリアの婚約者だからだ」

 驚き文句を言ってる彼から俺は顔を背け、ミリアの方に顔を向けた。

「だ、ダーリン…そ、それって…」 

 ミリアが何かを期待する様な、それでいてそれをずっと待ち侘びていたような表情を魅せる。

「俺はミリアが好きだよ」

「ほ、ホントに?嘘じゃない?」

「うん。ミリア、遅くなってごめん」

 そして、俺はミリアの唇にそっと唇を重ねたのだった。




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