上 下
74 / 140
第四章

精通して暫くして…

しおりを挟む
 精通した日はホント大変な目にあってしまった…。みんなに精通の事は知られるわ、精がつくものを食べさせられるわ、みんな必要以上にボディシップして来るわで…

 ビンビンかと言われればそのせいでビンビンだよっ!と、大声でお答えしよう! 
 
 ホントよく俺の理性がもったものだと思う…。就寝時にはティア、それにマリンとレイラが同じベッドに寝ているのだ。女性特有の甘い香りが理性をガリガリとどんどん削っていくのが分かるんだぜ?

 まあ、そんな感じでなんだけど、その件は敢えてなかった事にして…気持ちを切り替えて親友を迎える事にする。今日は遠路はるばるランスが来てくれたんだ。 

「久しぶり、エルっ!」 

「ランス!」

 親友と久方振りに抱き合って再会を喜びあう。何と言うか久し振りに会った親友は大人びて見えた。3児の父親だからだろうか。 

「ご機嫌よう、エル君」 

「ご無沙汰しております、エル様」 

「テレサさん、それに、リーンさん。こちらこそご無沙汰しております」 

 ランスの母親でもあり、俺の母さんの親友でもあるテレサさんとランスの正妻になったリーンさんが声を掛けてくれたので挨拶を交わす。

「うちの領地もエル君のお陰で景気が良いわよ!本当にありがとうね?それもこれもうちの領地に工場を作ってくれたお陰よ」(パチリ!)

 こちらに向けてウインクするテレサさん。綺麗で若いテレサさんのその仕草にこちらが照れてしまう。 

「…その反応…なるほど~。そういう事ね…」

「?」

 その言葉を不思議に思っていると… 

「日頃のお礼も兼ねて良かったら…私で筆下ろししてみる?」 

「うぇっ!?テレサさん!?何言ってんの!?」 

 何言ってんこの人!?何でまだ童貞ってバレたし!?

「母さん!? いや、でも…エルが僕の兄貴になるのもいいのかもね…って、エルはまだ童貞なのっ!?ティアとしたんじゃないのっ!?」

「うぉーい!ランス!?声がデカいわっ!」 (悪かったな…まだで…。ティアはそれに関係ないだろうに…) 

 ランスとそんなやり取りをしているといつの間にか俺の傍に移動していたテレサさんが俺の耳元で囁く…。 

「クスクス…ホント可愛い♡今すぐ食べちゃいたい位…よ?」

 その瞬間食べられたいと思ってしまった。誰だって一瞬はそう思ってしまう程テレサさんは魅力的だ。すると… 

“スチャッ、スチャッ! ”

 っと、鞘から剣を抜く様な音が2回も聞こえてきた。

「エル様には手出し無用ですよ?まだ…」
「どうやら死にたいようね、テレサ?」 

「…い、いらっしゃるとは聞いてはいましたが本当にいらっしゃったんですね、ティア殿下。それに…久しぶりね、マリア?」 

 そこには剣を抜きテレサさんに剣を突きつけるティアと母さんの姿が…。 

「…今のは冗談ですよ?冗談だから、ねっ?」

「私が居なかったらどうしてました?」 

 ティアがテレサさんに問うと、

「そりゃあ…私がエル君の筆下ろしを…」 

「ヤる気満々だったんじゃあないですかっ!?」

「ふふん、いつまでも筆下ろしさせてない、あなた達が悪いんでしょっ!?それにティア殿下は今はメイドでしょ!?」 

「私だって何度…筆下ろししてあげようと思った事か!?」 

「あんたがしてどうするのよマリア!?侍女かティア殿下か私が居るでしょ!?」 

「ティアちゃんと侍女はともかくしれっと自分迄、エルの筆下ろしの相手に入れるんじゃないわよっ!?」 

「あんたのせいでエル君が童貞なんでしょうがっ!」 

「だから私自ら…」 

「私がしてあげるってっ!」 

「必要ありません!私がっ!」

 母さん…テレサさん?…みんな居るのに…そんな大声で筆下ろしやらなんやら叫ばないでくれる?ティアも何を口走ってるのっ!?今はメイドとはいえ、そんな事は気にしなくてもいいんだぞ?それに…俺のライフはもうゼロよ?ほら、周りを見てみてよ、三人とも…。 

「エル様って、まだ童貞なのね…じゅるり…」 「私ならいつでも…」 
「カモンベイビー私の秘境へ!」 
「私のトンネルを掘ってくれないかしら♡」 「ホントそれっ…」 

 護衛の人達がこぞってそんな事を言ってるよ。

 「た、大変だね、エルは…」 

「分かってくれるか、親友?」 

「…ふと…気になったから…ね、念の為に聞くけど…エルって僕のおしりとか狙ってたりしないよね?僕は巨乳じゃないと駄目だよ?」 

「するかぁぁぁぁぁー!?おいっ、親友!?」

「ランス様は私の夫ですよ、エル様?」 

「リーンさんも今はふざけないでねっ!?」

 ランスもリーンさんも本当に何言ってるんだよ!

「俺はノーマルだし…男には興味はないし、女性しか興味ないからね?毎日うちの女性陣に誘惑されてなんなら我慢は限界に来てるって~の!時には裸だぞっ、裸っ!?男なら興奮するだろっ!?なんなら堕ちかけているってんだ!その度、1人で鎮めて…」 

「えっ!?ひ、1人でしてるの…え、エル?あ、アレだけ出してるのに…」

 しっ、しまったぁーーー!?ランスのせいで余計な事迄口走ってしまった。しかも驚いた様な表情でそう聞いて来たのはティアだ。恥ずっ!?超恥ずいんだけどっ!?後半は何て言ったんだ!?

「エル…」

 ランスもそんな同情した様な目で俺を見るんじゃないよ!?童貞がそんなに悪いのかっ!?

「え、エル…。いつでも言ってくれれば口でも手でもこの胸でも好きな所でしていいし」

「…何言ってんのっマリンは!?」

「ちょっと考えたのかい、エルは。あの胸見たらそりゃあ考えるよね」

「ランスは黙ってろ!どんだけ巨乳好きーなんだよ!?感動の再会を返せっ!?」

 そんなやり取りをしていると現れたのは陛下とたまに王城で見掛ける女性…。 

「久しぶりじゃの、エル?」 

「っ…へ、陛下!? 陛下が何故…?」 

「気にするでない…。ティアが頑張っておるかの確認がてら来ただけの事…それとお主が精通したと聞いてな?」

「…精通の件は触れないで下さい」

「そ、そうか?」

 娘が毒牙に掛かっていないかの確認だろうか?心配しなくても手を出すつもりはないんだけどな…。いや、待てよ?同衾してる時点でマズイのでは?そんな考えが脳裏に過ぎる。精通の件は触れるなと思いを込めて、陛下とは言え圧を掛けておいた。

「まあ、それはさておき…今日はお主に会わせたい女性がおっての…」 

「女性?」 

 もしかして…陛下の横にいらっしゃる女性の事だろうか。見掛けた事はあるものの喋った事もないしな。

「うむ…わしの妻であり第十王妃の……王妃の…とにかくわしの妻でありティアの母親じゃっ!」

「…はっ?」

 王妃って言ったか?そしてティアの母親?

 「陛下!?顔だけじゃ飽き足らず、まさかわたくしの名前までお忘れなのですか!?」 

 おいおい…嫁さんの顔を忘れるなよ…。しかも名前もかよ…。どんだけ影が薄いんだよ。

「いやいや…そんなことはない…ぞっ?」 

「ならば、今すぐっ、早くわたくしの名前を言って下さいませ!!」 

「…おっぱぃ……いや、こういう時はお主から言った方が良くないかな?じ、自己紹介じゃしの?」 

「やっぱりお忘れではありませんかっ!?しかもわたくしをおっぱいって言おうとしましたよね!?おっぱいだけでわたくしを選んだのですかっ!?どれだけおっぱい好きなのですかっ!?今思えば…夜の営みの時もわたくしの名前を呼んだことは一度もありませんし、おっぱい最高しか聞いた事ないですわっ!?この皮被りの粗チン陛下がっ!!ホントもういいですわ!」 

「す、すまぬ…すまぬから落ち着いてくれ?なっ?なっ?」

 陛下…。流石に王妃でもあり、何より自分の嫁さんの名前を覚えてないのはマズイのでは?しかもおっぱいって…。確かに陛下が好きそうなモノをお持ちみたいだけど…。 

「こほん…改めて第十王妃のティーネよ。ティアの母親でもあるわ。いつもあの子がお世話になってるわね、エル君?」 

「いえ…こちらの方こそ…ティア殿下にはお世話になっております」

 それから暫くの間、陛下と王妃と話をすることに…。まあ、内容はだいたいティアの事ばかりだった。俺が知らない事も教えてくれた。ティアの城での様子だったり、勉学に武芸等様々な事を頑張っている事だったり…。そんな俺達を傍目に、自分の事を言われてるのが恥ずかしいのか俯いて真っ赤に肌を染めて黙ってそれを聞いているティア。

 そんなティアはなんだろう。やっぱり可愛いって思ってしまうな。 

 そして…そんな話もそろそろ佳境に近付いた時に突然こんな事を言われたんだ…。 

「そうそう。それでねぇ…エル君?」 

「はい…何でしょうか?」 

「そんなふうにティアが頑張ってるのは誰の為だと思ってる?」 

「お母様っ!?何をっ…」

 誰の為?誰かの為なのか?国…? 

「え~と……国とか…自分の為…でしょうか?」 

「ええ、そうね。勿論それもあるだろうけど…それは君の為でもあるのよ?」 

「…俺の為?」 

「お母様っ!!」

 ティアが何やら慌てているけど…

「そうよ…。だから、よ~~~く よ~~~くっ…その意味を考えてみてくれるかしら?」 

「…その意味?」 

「ええ…。それと…ティアが別の王国に嫁いでしまってもあなたは構わないのかという事も一緒に考えてみてくれるかしら?」 

「お母様っ!?私はっ…」

「ティアが…嫁ぐ…」

 嫁ぐ……って、結婚っていう事だよな?よその国の誰かとティアが結婚…? ティアが誰かと…


“ズキン、ズキン、ズキン…”

 それを思うと…俺の鼓動が何故か激しく痛む様にいつまでも鳴り響いていた…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

七彩 陽
BL
 主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。  この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。  そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!     ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。  友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?  オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。 ※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

義妹が婚約破棄された。その方が幸せになることを知っているので流したが、それ以上はさせないぜ!?

蒼井星空
恋愛
最愛の義妹が婚約者であるクソ王子に裏切られて婚約破棄された。 俺はこの出来事を知っている。なぜなら俺は特殊スキルで未来を見て来たからだ。 義妹の悲しむ顔を見るのは切なく、辛い。 でも大丈夫だ。これからきっと俺が幸せにしてやるからな? もちろんこれ以上、義妹の断罪は必要ない。 クソ王子の愛人をいじめたなんてのは濡れ衣だし、他の男に色目を使ったなんてでっちあげだし、そもそも義妹に権力欲なんてない。 両親と末妹は実家に帰らせているから理解不能な義妹への嫌がらせのような追及はさせないし、突如現れる悪霊なんてお義兄ちゃんがてなづけたから問題ない。 だからお前は好きなように生きると良い。

私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。 【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】 地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。 同じ状況の少女と共に。 そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!? 怯える少女と睨みつける私。 オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。 だったら『勝手にする』から放っておいて! 同時公開 ☆カクヨム さん ✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉 タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。 そして番外編もはじめました。 相変わらず不定期です。 皆さんのおかげです。 本当にありがとうございます🙇💕 これからもよろしくお願いします。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ
ファンタジー
主人公ーヒルフェは、唯一の家族である祖母を失くした。 彼女の葬式の真っ只中で、蒸発した両親の借金を取り立てに来た男に連れ去られてしまい、齢五歳で奴隷と成り果てる。 それから彼は、十年も劣悪な環境で働かされた。 だが、ある日に突然、そんな地獄から解放され、一度も会った事もなかった祖父のもとに引き取られていく。 その身には、奇妙なスキル【疲れ知らず】を宿して。

処理中です...