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第三章
はっ?
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「どうぞお入り下さい」
ノックの音にそう応える母さん。そこは俺が応えるのは?とは口にはしない。母さん達は誰が来たのか分かっているみたいだ。そして俺もそれが誰なのかは不思議と分かる。
「失礼します。エルが…目醒めたと聞いて…」
「ティア」
思った通り部屋の中へと入って来たのはティア殿下だった。
「それじゃあ…ティア殿下。エルを宜しくお願いしますね?」
「は、はい」
そう言って母さん達は部屋を出ていく。「あ~しは残るし~~~」「わ、私も残ります~~~」そう言いながらミーニャに連行される様に部屋から連れ出されるのはマリンとレイラだ。
みんなが出ていった後、ベッドへと腰掛ける俺の横にちょこんっと座るティア。なんだか変に緊張してしまう。それとも肩と肩が触れ合う距離だからだろうか?
「ち、近くない?」
「えっと…い、嫌だった?」
「そんな訳ない…よ。あんまり近いとなんだか緊張しちゃうと言うか、何と言うか…」
「じゃあ…いいよね?」
「う、うん」
「エルが無事で…本当に良かった。物凄く心配したんだからね?」
「心配掛けてごめんね? それと…」
「なぁに?」
「ティアの生誕祭…行けなくて本当にごめん」
「…ばか…そんなのいいもん。何度も言うけどエルが無事だったからそれでいいの…。でも…今度はちゃんと来てよね?」
「うん。それは当然」
「じゃあ…許してあげる…エヘヘっ…」
そう言って笑うティアの笑顔はなんだか眩しく見えた。
「そ、それにしても、ティアがあんな無人島迄自ら来てくれるとは思わなかったよ」
「当然だよ?それにエルの伝言見つけたの私だもん」
「伝言って…鳥の足に着けたあれ?」
「うん。生息地や習性等、色々調べるのに時間が掛かってしまったけどね?」
「いや。アレを見つけてくれただけでも嬉しい」
そっかぁ…。アレはうまくいったのかぁ。やっぱり何でも試してみるもんだな。鳥さんありがとう。幸運の青い鳥だったのかも知れないな。
「こ、こんな時に言うのも…アレなんだけど…私ね、ランスから婚約して欲しいと言われたの…」
「…えっ? はっ?えっ?」
婚約?ティアとランスが…。そ、そうなのか。えっと…こういう時はおめでとうと言えばいいんだよな?
「え…っと……」
どうしたんだよ?おめでとうと言えばいいだけなのに何で言葉が出てこないんだよ…?ランスがティアに惚れていたのは一目瞭然だっただろ?幼馴染みたいな二人の婚約が決まったのならちゃんと言うべきだろ?
「そんな顔しないで? 心配しないで? ちゃんと断ったから…。でも…そんな風に思ってもらえてるなんて…思ってなかったから…嬉しい…」
「…はっ?」
いかん。思考が追いつかない…。そんな顔って俺はどんな顔してるんだ?笑顔を作ってる筈なんだが!?心配って何だ?俺が何の心配をすると言うんだ?それに…嬉しい?婚約がなくなった事が?ティアはランスが好きではなかったとかそういう事か!?あかん。全く分からん。
「あのね…エル…私…」
ちょっと冷静に考えてみよう。ランスがエルに婚約を申し込んだんだよな?
・・・違うわぁー!?ランスが俺に婚約を申し込んでどうするんだよっ!?鳥肌立ったわ!
「…でね、無事に帰って来てくれたから…お祝いに頬にキスしていい?」
俺はそっちの気は無いからな!?落ち着け落ち着け俺…。
「ちょ、ちょっと聞いてるの、エル?」
「えっ? うん、聞いてるけど…」
ヤバっ。なんて言ったか聞いてなかった。
「だ、だからね…。頬にキスしていい?」
「…はぃ?」
はっ?ティアは何と言った?キスって言ったか?流石に聞き間違いだよな?
「じゃ、じゃあ…」
ティアが俺の肩に両手を添えぐっと力を込めて、顔を寄せてくるのが分かる。花の様な甘い香りがふわりと鼻腔を擽り…
「ティア…まっ…」
本気で頬にキスされると思った俺は慌ててティアの方へと顔を向けた。直後、唇に感じた事のない柔らかな感触。
閉じられたティアの瞳がソレに驚き、一瞬だけ見開いたものの静かにまたティアは瞳を閉じた。まるでこの一瞬を心に刻みつけるかの様に…。
唇と唇が触れていたのはどの位かは分からない。まるで永遠に感じられる程その時間は特別なものに感じた。
やがて、ティアの顔が離れていき、その顔は真っ赤に染まっているのが視界に入る。俺も間違いなく同じだろう。お互い言葉を発せないでいる。
そして事故とはいえ、キスした事に居ても立っても居られなくなったのか、立ち上がると慌てて部屋を出て行くティア…。
「事故とは言え唇と唇はまずくねっ?」
と、思うエルと、
「キキキキキキ、キスしちゃったよ!?こここれって婚約の証だよね!?キス迄したんだから間違いないよね!?エルも私を好きだったなんて…きゃあ~~~♡頑張って良かったよ~~」
と、思うティア。両者の思いにスレ違いが生じていることにはこの時は気付いてない。そして、そんなティアに救世主?が…。
ノックの音にそう応える母さん。そこは俺が応えるのは?とは口にはしない。母さん達は誰が来たのか分かっているみたいだ。そして俺もそれが誰なのかは不思議と分かる。
「失礼します。エルが…目醒めたと聞いて…」
「ティア」
思った通り部屋の中へと入って来たのはティア殿下だった。
「それじゃあ…ティア殿下。エルを宜しくお願いしますね?」
「は、はい」
そう言って母さん達は部屋を出ていく。「あ~しは残るし~~~」「わ、私も残ります~~~」そう言いながらミーニャに連行される様に部屋から連れ出されるのはマリンとレイラだ。
みんなが出ていった後、ベッドへと腰掛ける俺の横にちょこんっと座るティア。なんだか変に緊張してしまう。それとも肩と肩が触れ合う距離だからだろうか?
「ち、近くない?」
「えっと…い、嫌だった?」
「そんな訳ない…よ。あんまり近いとなんだか緊張しちゃうと言うか、何と言うか…」
「じゃあ…いいよね?」
「う、うん」
「エルが無事で…本当に良かった。物凄く心配したんだからね?」
「心配掛けてごめんね? それと…」
「なぁに?」
「ティアの生誕祭…行けなくて本当にごめん」
「…ばか…そんなのいいもん。何度も言うけどエルが無事だったからそれでいいの…。でも…今度はちゃんと来てよね?」
「うん。それは当然」
「じゃあ…許してあげる…エヘヘっ…」
そう言って笑うティアの笑顔はなんだか眩しく見えた。
「そ、それにしても、ティアがあんな無人島迄自ら来てくれるとは思わなかったよ」
「当然だよ?それにエルの伝言見つけたの私だもん」
「伝言って…鳥の足に着けたあれ?」
「うん。生息地や習性等、色々調べるのに時間が掛かってしまったけどね?」
「いや。アレを見つけてくれただけでも嬉しい」
そっかぁ…。アレはうまくいったのかぁ。やっぱり何でも試してみるもんだな。鳥さんありがとう。幸運の青い鳥だったのかも知れないな。
「こ、こんな時に言うのも…アレなんだけど…私ね、ランスから婚約して欲しいと言われたの…」
「…えっ? はっ?えっ?」
婚約?ティアとランスが…。そ、そうなのか。えっと…こういう時はおめでとうと言えばいいんだよな?
「え…っと……」
どうしたんだよ?おめでとうと言えばいいだけなのに何で言葉が出てこないんだよ…?ランスがティアに惚れていたのは一目瞭然だっただろ?幼馴染みたいな二人の婚約が決まったのならちゃんと言うべきだろ?
「そんな顔しないで? 心配しないで? ちゃんと断ったから…。でも…そんな風に思ってもらえてるなんて…思ってなかったから…嬉しい…」
「…はっ?」
いかん。思考が追いつかない…。そんな顔って俺はどんな顔してるんだ?笑顔を作ってる筈なんだが!?心配って何だ?俺が何の心配をすると言うんだ?それに…嬉しい?婚約がなくなった事が?ティアはランスが好きではなかったとかそういう事か!?あかん。全く分からん。
「あのね…エル…私…」
ちょっと冷静に考えてみよう。ランスがエルに婚約を申し込んだんだよな?
・・・違うわぁー!?ランスが俺に婚約を申し込んでどうするんだよっ!?鳥肌立ったわ!
「…でね、無事に帰って来てくれたから…お祝いに頬にキスしていい?」
俺はそっちの気は無いからな!?落ち着け落ち着け俺…。
「ちょ、ちょっと聞いてるの、エル?」
「えっ? うん、聞いてるけど…」
ヤバっ。なんて言ったか聞いてなかった。
「だ、だからね…。頬にキスしていい?」
「…はぃ?」
はっ?ティアは何と言った?キスって言ったか?流石に聞き間違いだよな?
「じゃ、じゃあ…」
ティアが俺の肩に両手を添えぐっと力を込めて、顔を寄せてくるのが分かる。花の様な甘い香りがふわりと鼻腔を擽り…
「ティア…まっ…」
本気で頬にキスされると思った俺は慌ててティアの方へと顔を向けた。直後、唇に感じた事のない柔らかな感触。
閉じられたティアの瞳がソレに驚き、一瞬だけ見開いたものの静かにまたティアは瞳を閉じた。まるでこの一瞬を心に刻みつけるかの様に…。
唇と唇が触れていたのはどの位かは分からない。まるで永遠に感じられる程その時間は特別なものに感じた。
やがて、ティアの顔が離れていき、その顔は真っ赤に染まっているのが視界に入る。俺も間違いなく同じだろう。お互い言葉を発せないでいる。
そして事故とはいえ、キスした事に居ても立っても居られなくなったのか、立ち上がると慌てて部屋を出て行くティア…。
「事故とは言え唇と唇はまずくねっ?」
と、思うエルと、
「キキキキキキ、キスしちゃったよ!?こここれって婚約の証だよね!?キス迄したんだから間違いないよね!?エルも私を好きだったなんて…きゃあ~~~♡頑張って良かったよ~~」
と、思うティア。両者の思いにスレ違いが生じていることにはこの時は気付いてない。そして、そんなティアに救世主?が…。
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